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安くて高品質!プライベートブランド商品のメリットは
最近よく見かける「PB」ってなに?
スーパーやドラッグストアで買い物をしていると、同じ品目でも比較的価格が安い商品が並んでいることがありますよね。それを手に取ってよく見てみると、「PB」いわゆる「プライベートブランド」の商品ということも多いのではないでしょうか。PBとは、小売業者や流通業者が独自に企画・販売しているブランドのこと。店名を冠していることが多いため、「ストアブランド」と呼ばれることもあります。イオンの「トップバリュ」、セブンイレブンの「セブンプレミアム」、ドン・キホーテの「情熱価格」、スギ薬局の「Sセレクト」などがよく知られています。
ブランドといえばメーカー発のものを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、こちらはPBに対して「NB」、「ナショナルブランド」と呼ばれます。NBはPBより価格帯が高めなことが多いですが、PBのように販売店が限定されず、同じクオリティの商品をいろいろなお店で買える利点があります。
また、似た形態に「OEM」、「オリジナル・エクイップメント・マニュファクチュアリング」がありますが、この場合はメーカーがすでに持っている技術で他社ブランドの商品を製作します。小売店側は企画やデザインに関わらないため、PBとは異なります。
これがより突き詰められると、自社で企画・製造・販売を手掛ける「SPA」、「スペシャリティ・ストアリテーラー・オブ・プライベートレーベル・アパレル」になります。日本語では製造小売業と訳され、主にアパレルブランドに見られる形態です。最初にSPAをはじめたのはアメリカのGAPといわれ、現在では国内のユニクロ、海外のH&MやZARAなど、人気のファストファッションはほとんどがSPAです。
小売店にとってのPBのメリット
近年は冒頭にご紹介した以外にも、スーパーやコンビニがさまざまなPBを展開しています。これはもちろん、小売店にとってメリットが大きいから。具体的には次のような点が上げられます。商品の利益率が高い:PBはNBと比べて広告費、中間マージンなどを抑えられるうえ、自社の流通経路を利用することで配送も無駄なく行えます。このため、同じ原価の製品をより低コストで販売できるので利益率が高くなります。
価格を自由に設定できる:自社製品なのでもちろん価格設定は自由です。しかも「利益率が高い」ので、多くの場合はNBより安い価格帯での販売が可能になり、価格競争で優位に立てます。PBが安く買える理由は、このような仕組みによるものなのです。
独自の商品を開発できる:NBを仕入れている限りは、いくつかの商品からより希望に近いものを選ぶしかありません。しかしPBなら企画開発から手掛けられるので、希望通りの商品がつくれます。さらに、これがヒットすれば利益を独占できます。
顧客のニーズに細かく対応できる:小売店には顧客の意見が直接寄せられることも多いです。このとき、PBなら「独自の商品を開発できる」のですぐに意見を反映して商品を改良できます。多くの顧客の支持を得られれば、PBの力で顧客を囲い込むことも可能です。
もちろん消費者にもメリットがある
当然ながら、PBのメリットは小売店だけのものではありません。むしろ、小売店がヒットを狙って送り出しているものなので、消費者にこそメリットがあるといえるでしょう。中でも一番大きなメリットはやはり、価格が安いことですよね。以前は安いなりに品質もあまり良くないPBが見られましたが、消費者の権利が重視されるようになった近年ではPBもNBと差のないクオリティのものが並ぶようになりました。安心してPBを愛用している方も多いのではないでしょうか。
またNBの製造元がPBも製造していることがありますが、PBは製造元の表示が食品表示法によって義務づけられており、きちんと確認できます。たとえばセブンプレミアムはパッケージに記載されていますし、トップバリュはパッケージの番号を使用して検索システムから調べられます。
なお加工食品及び添加物の表示に関しては令和2年3月31日までが経過措置期間となっており、それ以降は製造所と製造者の省略が禁止されるなど、さらに厳格な方向へ切り替えが進みます。消費者としてはよりいっそう安心してPBを購入できますね。
価格が安いうえに今後は品質の保証も進むPB。庶民の強い味方として、さらに生活に浸透していくことでしょう。
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