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DATE/ 2020.04.15

「在宅勤務」を上手くこなすコツは?

 社会の情報インフラが拡充し、なにより多くのビジネスパーソンから個人や状況に応じた多様な働き方が求められている現在、新たな働き方の可能性として、「在宅勤務」や「テレワーク」といった働き方に注目が集まり、期待が高まっています。さらに政府は、「働き方改革」の旗印に「テレワーク」を推進し、その一例として「在宅勤務」も奨励してきました。

 まずは「在宅勤務」について、定義を整理しておきましょう。『日本国語大辞典』で「在宅勤務」を引くと、「企業の従業員や委嘱社員などが出社せずに、自宅でまかされた仕事をすること。自宅のパソコンと企業のホストコンピュータを接続するなどして行なう」と書かれています。つまり「在宅勤務」は、雇用関係にある従業員が職場のオフィスではなく、自宅で働くことを指します

 そして、「在宅勤務」の上位概念に、「働き方改革」でも推進されてきた「テレワーク」があります。『現代用語の基礎知識 2019』によると「テレワーク」は「ITを利用した、場所・時間にとらわれない働き方」とされています。つまりこちらは、雇用関係に関わらず、また、自宅以外の場所で働くことも可能です。

 ほかにも「在宅勤務」に近しい働き方や用語として、「在宅ワーク」「モバイルワーク」「SOHO(ソーホー)ワーク」「リモートワーク」などがあります。なお、2020年4月現在では、「在宅勤務」や「テレワーク」といった用語の使われ方が媒体によって厳密に区別されていなかったり併記されていたりする場合がありますので、ご注意ください。

 今回は冒頭で紹介した「在宅勤務」にフォーカスし、うまくこなす5つのコツを見ていきたいと思います。

コツ1)仕事場と情報の整理

 まずは、「仕事をする場所」を区別し、仕事用の情報を場に応じて整理してください。

 「在宅勤務」では自宅が職場になるため、物理的にも意識的にも公私の区別がつきにくくなる恐れが高くなります。そこで、まずは物理的に、自宅の中で「仕事をする場所」と「仕事をしない場所」を区別して、公私の区別をつけてしまいましょう。そして、できるだけ「仕事をする場所」には、仕事に不要な物を置かないように片付けて、仕事用の場と情報を整理してくだい。

 ただし、住宅事情によって厳密に区別が難しい場合もあると思います。ですが、その場合でも、「仕事をする場所」の意識づけを行うように心がけてください。そして、できるだけ仕事の最中に仕事と関係のない余計な物が目に入らないデスクの配置にするなど、できる範囲で試みてください。また、場所を分けることは、業務に使う資料を散逸させたり漏洩させたりしないためにも、よい方法の一つとなっています。

 なお、企業によってビデオチャットツールを使う場合など、背景に余計な物が映らないようにあらかじめ片付けたり整理したりすることも、その後の人間関係の維持やプライバシー保護、自身のストレス低減のために有効です。

コツ2)規則を守って役割を演じる

 次に、就業規則および始業時間・休憩時間・終業時間等を守り、役割を演じてください。

 仕事モードに切り替えるためにも、起床時には着替えて、出社する場合と同様の朝のルーティンをあえて行うなどの工夫も効果的です。「在宅勤務」は一日中仕事をすることを意味しているわけではありませんが、だからといって自宅で時間にとらわれずに自由に働くことと同義でもありません。たとえ勤務先が自宅であっても、雇用関係に基づく就業規則等によって、企業ごとに就業規則があるはずです。ですから、就業規則に則り始業時間・休憩時間・終業時間等を守ったうえで、自分のモチベーションを自身で高めて、仕事に臨む必要があります。

 そのためにも、通勤時と変らないビジネスパーソンとして行動によって自覚を促すことが、長い目で見ればよい結果をもたらすように思います。自宅においても公私のオンとオフを切り替えて、職場でビジネスパーソンとしての役割に徹しているように、業務時はビジネスパーソンの役割を演じてみてください。

 ただし、職場と違って「在宅勤務」時の環境は千差万別で、時間に応じてきっちりと区切れない人も多いでしょう。状況に応じて適宜柔軟に役割を変えて対応することも、仕事を続けるために大事になってきます。なにが大原則であって、どんなことが大きな目的なのかを常に意識し照合しながら自分を律し、かつ不安があれば一人で抱え込んだり勝手な判断をしたりしないで、その都度早めに上司に相談するように心掛けてください。

コツ3)運動と一息を欠かさない

 そして、意識的に運動量を増やし、定期的に必ず一息入れてださい。

 通勤など移動機会が減り、逆に家に居る時間が増えることによって、どうしても運動不足にも陥りやすくなってしまいます。また、オフィス環境とは違い、自宅の椅子や机がパソコンや事務作業などに適していない場合は姿勢にも悪影響をおよぼし、普段とは違ったコリがたまりやすいといった問題も起こります。例えば1時間に1回は立ったり体を伸ばしたりするなど、意識的に多めに体を動かすようにしてください。また、休憩時間に軽いストレッチや体操などを行うこともおすすめです。

 さらに、定期的に深呼吸をして心身ともにリセットする、こまめに水分を摂取して常に口と喉を乾燥した状態としないことなどを心がけてください。特に後者はウィルス等の感染症予防に効果的ともいわれており、目安としては「15分毎に一口水を飲むのがよい」とされています(たとえウィルスが口に入ったとしても、水などの飲み物によって食道から胃に入ってしまえば、胃酸によりウィルスは死滅する。しかし、喉の乾燥によりウィルスが誤嚥されて気管支や肺に侵入してしまうと、気管支炎や肺炎などの危険性が高まるため)。

コツ4)積極的なコミュニケーション

 さらに、仕事仲間はもちろん、家族や友達など、コミュニケーションが取りやすい人とは、積極的にコミュニケーションをとってください。

 会社に出勤して仕事をする際、職場の仲間とちょっとした会話をすることは案外ストレス解消や気分転換になったりしています。しかし、在宅勤務では一人で仕事をすることや長時間にわたって誰ともしゃべれない場合も多く、気分が落ち込んだり気が滅入りやすくなったりしがちです。そこで、通勤の場合よりも積極的に、仕事仲間とコミュニケーションをとることを心がけてください。

 具体例として、企業によっては電話やメールなどだけでなく、チャットツールやビデオチャットツールなどを導入している場合があると思います。業務上よく利用する場合は十分かもしれませんが、業務連絡や非常時だけであまり使っていない場合は、例えば始業時や終業時の声掛けや休憩時間の雑談などにも活用してほしいと思います。なお、普段は「めんどくさいな…」と思っている人こそ、意識して積極的にコミュニケーションをとることをおすすめします。

 そして、家族や同居人がいる人は、その人たちとも積極的にコミュニケーションを図るようにしてください。在宅である以上、家の中の人間関係を良好に保つことは通勤時以上に重要であることを、肝に銘じてくだい。また、基本的に他者との会話の総量が減っていたり、コミュニケーションの固定化が強化されていたりするため、できれば仕事関係者や家族以外の気軽なコミュニティの仲間や友達などとも、負担のない範囲でかつ、あたたかでポジティブなコミュニケーションをとるようにしてみてください。

コツ5)1日の業務量決定とタスク管理の工夫

 最後に、業務内容から逆算して1日の業務量を決定し、1日ごとにやり抜ける工夫をしてください。

 在宅であっても勤務である以上、当たり前ですが期限や納期までの成果物やノルマの達成が要求されます。まずは業務の内容を棚卸し、次に期限や納期に対して逆算して1日の業務量を決め、さらに1日ごとにやり抜くために「ToDoリスト」や時間割りを作成したりスケジュールを整理したりして、タスクを適宜区切って、数時間単位もしくは、最長でも1日ごとに管理を行う工夫を試みてほしいと思います。

 また、企業風土に応じつつも十分な報連相を心掛け、日々、仕事も自身のモチベーションも滞らないように注意してください。なお、滞ったりさぼったりしそうな自覚がある人ほど、「ToDoリスト」や報連相のフィードバックによって、自身の仕事の可視化および外部化を行うことが効果的です。

今と未来をうまくこなすための「在宅勤務」

 なかなか進まなかった「在宅勤務」が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行と対策によってはからずも注目が高まり、たとえ準備が不十分な企業であっても前倒し的に導入に踏み切るケースが増えています。

 さらに近未来を考えると、日本社会では「在宅勤務」を増やすことがより必要となってくることも、大いに予想されます。職住が一体となる「在宅勤務」が増えることは、多かれ少なかれ社会構造にも変化をもたらすことになるでしょう。今と未来を見据えて、よりよい「在宅勤務」をうまくこなすことが求められています。

<参考文献・参考サイト>
・テレワークで はじめる 働き方改革 - 厚生労働省
https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category7/01_01.pdf
・『テレワーク』(佐藤彰男著、岩波新書)
・「テレワーク」『現代用語の基礎知識 2019』(自由国民社)
・「在宅勤務」『日本国語大辞典』(小学館)
・上手な「在宅勤務」のコツ | Google Cloud Blog
https://cloud.google.com/blog/ja/products/productivity-collaboration/make-work-from-home-work-for-you
・「テレワーク奮闘記「ラクで自由な働き方なんかじゃない」」『AERA』(3月23日号、朝日新聞出版)
・「あぁ、「テレワーク」が大変すぎる!」『週刊ポスト』(4月10日号、小学館)
・「新型コロナ感染パニックその4 ざんねんなテレワークずかん」『週刊プレイボーイ』(2020年3月23日号、集英社)
・「テレワーク・ショック」『SPA!』(2020年3月17日号、扶桑社)

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