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融通が利かない人の特徴は?
“融通が利かない人”と聞くと、あなたはどんな人を思い浮かべるでしょうか。日本最大の国語辞典『日本国語大辞典』では、「融通が利かない」の対義語にあたる「融通が利く」ことを「臨機応変にうまく処理できる」と定義しています。
他方、『日本方言大辞典』を紐解いて、「融通」の“利かない”索引例を引いてみると、「生真面目で融通の利かない」「けちで融通が利かない」「堅苦しく融通が利かない」「偏屈で融通が利かない」「頑固で融通が利かない」と掲載されています。
以上から“融通が利かない人”は“臨機応変にうまく処理できない人”であり、さらに具体的に見ていくと「生真面目」「けち」「堅苦しい」「偏屈」「頑固」などの特徴を持っていることがうかがえてきます。
そこで今一度『日本国語大辞典』に戻り「生真面目」「けち」「堅苦しい」「偏屈」「頑固」を通して、融通が利かない人の特徴を探ってみたいと思います。
「生真面目」の意味には、「きわめてまじめなこと」が含まれています。また「生真面目」は、「本来のままの状態で、まじりけのないこと」を意味する「生」と、「誠実である。まごころがこもっていて、飾りけがない。誠意がある」といった「真面目」に分けることができ、本来的にはどちらも好ましい特徴といえます。しかし、いくら良い特徴であっても、過ぎれば悪い作用を及ぼすことは免れません。
融通が利かない「生真面目」な人は、「生」という極端に走ってしまったために、せっかくの長所である「真面目」の特性を生かせていない状態であるといえます。
【融通が利かない人の特徴・2】「けち」
「けち」の意味には、「金銭や品物などを惜しがって出さない(「吝嗇」とも)」「みみっちいさま」「どうでもよいような小さいことにこだわる」「料簡が狭い」が含まれています。つまり「けち」な人は出し惜しみをする性質が過剰に表出され、それによって人間関係に弊害が出ている状態ともいえます。さらに「けち」な人には、自分も相手もいらないものを押し付けて恩を着せるといった大変困った性質があります。
融通が利かない「けち」な人は、些細な事や狭い単位の損得でしか物事を判断できないほど視野が狭くなってしまったために、かえって大きな損をしていることに気が付けていない状態であるといえます。
【融通が利かない人の特徴・3】「堅苦しい」
「堅苦しい」の意味には、「態度、人柄などが、きまじめで厳格すぎる感じ」「形式ばっていて、うちとけない」が含まれています。つまり「堅苦しい」人は状況や自他含めた心情よりも、信条・規則・建前・ルールといった、本来は社会や人間関係をよりよくするための手段を適用することを目的化し、それらによって自己の思考も他者との関係性も息苦しくさせてしまいます。
融通が利かない「堅苦しい」人は、形式があることの本質をとらえられないために形式の型にとらわれてしまい、かえって関係性を壊したり硬直化させたりといったマイナスの作用を発生させている状態であるといえます。
【融通が利かない人の特徴・4】「偏屈」
「偏屈」の意味には、「性質がかたより、それに執する」「片意地」が含まれています。また「偏屈」は、「考えや態度、処置などが不均衡、または不公平なこと」を意味する「偏り」と、「かがむこと。転じて、服従すること。不当に屈辱的な立場に置かれること」といった「屈」に分けることができ、それらから、考え方や行動に“勝手な解釈”という偏りがあり、しかも偏った自身の考え方や行動の結果に対しては意固地となるような性質がうかがえてきます。
融通が利かない「偏屈」な人は、偏った思考や視点からうがった見方をし、かつ自分からは変わろうとする意志や言動がないために、自他ともに不満であっても窮屈な状況から抜け出せない状態にあるといえます。
【融通が利かない人の特徴・5】「頑固」
「頑固」の意味には、「かたくなで、なかなか考えや態度をまげようとしない」が含まれています。また「頑固」は、「すなおでなく、心がねじけているさま。心がひねくれていて、うちとけないさま」を意味する「頑な」と、「ものの形状や状態がしっかりしていて、それを変化させることが難しいさま」といった「固い」に分けることができ、それらから、思考や状況がねじれて凝り固まってしまっている様子が連想されます。
融通が利かない「頑固」な人は、思考や物事のとらえ方がねじれやゆがみのために通常と違ってしまっているために、ますます自他とのギャップを苦々しく思い言動まで固まってしまっている状態であるといえます。
「臨機応変」は「機に臨み変化に応じて、適切な手段を施すこと。型通りの処置にとらわれないこと」を意味します。つまり融通とは本質的に、変化と親和性が高く、型破りを好むことが見えてきます。
ですから、自分が“融通が利かない人”と感じたのなら、自分の思考に「臨機応変」を取り入れてください。例えば、いつもと違う考え方を取り入れる、あえて普段の自分が使わない手段を試す、意見が合わない人にこそ助言をお願いしてみるなど、“機に応じて変化こそを臨む”という態度を取り入れてみてほしいと思います。
一方、相手が“融通が利かない人”と感じたのなら、あなたと相手の“関係性”が“融通が利かない”状態になっているととらえて、“関係性”に「臨機応変」を取り入れてみてください。相手(=他者)を変えることは至難ですが、あなた(=自分)が関与している“関係性”であれば、自身の具体的な行動によって変化を起こせる可能性が格段に上がるからです。
性格や人それぞれの特徴は、見方やとらえ方で長所にも短所にもなり得ます。また、各人に備わった特徴は、本来良し悪しでジャッジされる性質のものではなく、優れた道具と同様に機に応じて“使うか”“育むか”のどちらかだけです。
具体的な行動に臨む際はそのことを念頭に置きつつ、「生真面目」「けち」「堅苦しい」「偏屈」「頑固」といった“融通が利かない人”の特徴を参照しつつ、翻ってあなたに備わった“融通を利かせられる特徴”を“使うか”“育むか”で、自分の状況や他者との関係性をよりよく変えていってください。
他方、『日本方言大辞典』を紐解いて、「融通」の“利かない”索引例を引いてみると、「生真面目で融通の利かない」「けちで融通が利かない」「堅苦しく融通が利かない」「偏屈で融通が利かない」「頑固で融通が利かない」と掲載されています。
以上から“融通が利かない人”は“臨機応変にうまく処理できない人”であり、さらに具体的に見ていくと「生真面目」「けち」「堅苦しい」「偏屈」「頑固」などの特徴を持っていることがうかがえてきます。
そこで今一度『日本国語大辞典』に戻り「生真面目」「けち」「堅苦しい」「偏屈」「頑固」を通して、融通が利かない人の特徴を探ってみたいと思います。
“融通が利かない人”の五大特徴
【融通が利かない人の特徴・1】「生真面目」「生真面目」の意味には、「きわめてまじめなこと」が含まれています。また「生真面目」は、「本来のままの状態で、まじりけのないこと」を意味する「生」と、「誠実である。まごころがこもっていて、飾りけがない。誠意がある」といった「真面目」に分けることができ、本来的にはどちらも好ましい特徴といえます。しかし、いくら良い特徴であっても、過ぎれば悪い作用を及ぼすことは免れません。
融通が利かない「生真面目」な人は、「生」という極端に走ってしまったために、せっかくの長所である「真面目」の特性を生かせていない状態であるといえます。
【融通が利かない人の特徴・2】「けち」
「けち」の意味には、「金銭や品物などを惜しがって出さない(「吝嗇」とも)」「みみっちいさま」「どうでもよいような小さいことにこだわる」「料簡が狭い」が含まれています。つまり「けち」な人は出し惜しみをする性質が過剰に表出され、それによって人間関係に弊害が出ている状態ともいえます。さらに「けち」な人には、自分も相手もいらないものを押し付けて恩を着せるといった大変困った性質があります。
融通が利かない「けち」な人は、些細な事や狭い単位の損得でしか物事を判断できないほど視野が狭くなってしまったために、かえって大きな損をしていることに気が付けていない状態であるといえます。
【融通が利かない人の特徴・3】「堅苦しい」
「堅苦しい」の意味には、「態度、人柄などが、きまじめで厳格すぎる感じ」「形式ばっていて、うちとけない」が含まれています。つまり「堅苦しい」人は状況や自他含めた心情よりも、信条・規則・建前・ルールといった、本来は社会や人間関係をよりよくするための手段を適用することを目的化し、それらによって自己の思考も他者との関係性も息苦しくさせてしまいます。
融通が利かない「堅苦しい」人は、形式があることの本質をとらえられないために形式の型にとらわれてしまい、かえって関係性を壊したり硬直化させたりといったマイナスの作用を発生させている状態であるといえます。
【融通が利かない人の特徴・4】「偏屈」
「偏屈」の意味には、「性質がかたより、それに執する」「片意地」が含まれています。また「偏屈」は、「考えや態度、処置などが不均衡、または不公平なこと」を意味する「偏り」と、「かがむこと。転じて、服従すること。不当に屈辱的な立場に置かれること」といった「屈」に分けることができ、それらから、考え方や行動に“勝手な解釈”という偏りがあり、しかも偏った自身の考え方や行動の結果に対しては意固地となるような性質がうかがえてきます。
融通が利かない「偏屈」な人は、偏った思考や視点からうがった見方をし、かつ自分からは変わろうとする意志や言動がないために、自他ともに不満であっても窮屈な状況から抜け出せない状態にあるといえます。
【融通が利かない人の特徴・5】「頑固」
「頑固」の意味には、「かたくなで、なかなか考えや態度をまげようとしない」が含まれています。また「頑固」は、「すなおでなく、心がねじけているさま。心がひねくれていて、うちとけないさま」を意味する「頑な」と、「ものの形状や状態がしっかりしていて、それを変化させることが難しいさま」といった「固い」に分けることができ、それらから、思考や状況がねじれて凝り固まってしまっている様子が連想されます。
融通が利かない「頑固」な人は、思考や物事のとらえ方がねじれやゆがみのために通常と違ってしまっているために、ますます自他とのギャップを苦々しく思い言動まで固まってしまっている状態であるといえます。
“融通が利かない人”は私?それともあなた?
冒頭で紹介したように、“融通が利かない人”の最大公約数は、“臨機応変にうまく処理できない人”だといえるかもしれません。「臨機応変」は「機に臨み変化に応じて、適切な手段を施すこと。型通りの処置にとらわれないこと」を意味します。つまり融通とは本質的に、変化と親和性が高く、型破りを好むことが見えてきます。
ですから、自分が“融通が利かない人”と感じたのなら、自分の思考に「臨機応変」を取り入れてください。例えば、いつもと違う考え方を取り入れる、あえて普段の自分が使わない手段を試す、意見が合わない人にこそ助言をお願いしてみるなど、“機に応じて変化こそを臨む”という態度を取り入れてみてほしいと思います。
一方、相手が“融通が利かない人”と感じたのなら、あなたと相手の“関係性”が“融通が利かない”状態になっているととらえて、“関係性”に「臨機応変」を取り入れてみてください。相手(=他者)を変えることは至難ですが、あなた(=自分)が関与している“関係性”であれば、自身の具体的な行動によって変化を起こせる可能性が格段に上がるからです。
性格や人それぞれの特徴は、見方やとらえ方で長所にも短所にもなり得ます。また、各人に備わった特徴は、本来良し悪しでジャッジされる性質のものではなく、優れた道具と同様に機に応じて“使うか”“育むか”のどちらかだけです。
具体的な行動に臨む際はそのことを念頭に置きつつ、「生真面目」「けち」「堅苦しい」「偏屈」「頑固」といった“融通が利かない人”の特徴を参照しつつ、翻ってあなたに備わった“融通を利かせられる特徴”を“使うか”“育むか”で、自分の状況や他者との関係性をよりよく変えていってください。
<参考文献>
・「融通」『日本国語大辞典』(小学館)
・「融通」『日本方言大辞典』(小学館)
・「生真面目」『日本国語大辞典』(小学館)
・「けち」『日本国語大辞典』(小学館)
・「堅苦しい」『日本国語大辞典』(小学館)
・「偏屈」『日本国語大辞典』(小学館)
・「頑固」『日本国語大辞典』(小学館)
・「臨機応変」『日本国語大辞典』(小学館)
・『世界でひとつだけの幸せ』(マーティン・セリグマン著、小林裕子訳、アスペクト)
・「融通」『日本国語大辞典』(小学館)
・「融通」『日本方言大辞典』(小学館)
・「生真面目」『日本国語大辞典』(小学館)
・「けち」『日本国語大辞典』(小学館)
・「堅苦しい」『日本国語大辞典』(小学館)
・「偏屈」『日本国語大辞典』(小学館)
・「頑固」『日本国語大辞典』(小学館)
・「臨機応変」『日本国語大辞典』(小学館)
・『世界でひとつだけの幸せ』(マーティン・セリグマン著、小林裕子訳、アスペクト)
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