テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2015.07.27

二者択一で迷ったら両方とれ!「陰陽論」のススメ

 暗いイメージの「陰」と明るいイメージの「陽」。

 老荘思想家の田口佳史氏によると、そもそも「陰」とは、内に向かう「充実・革新」の力、「陽」は外に向かう「拡大・発展」の力で、2つは対立する二者択一の存在ではなく、ともに補いながら同時に一つの物事を形作っている、という。

 陰陽論を理解する上で分かりやすい例えとして田口氏が挙げたのは、なんとアサヒビールの「スーパードライ」だ。

 スーパードライが登場する前のビール業界の常識は、「コク」タイプか「キレ」タイプのいずれかだった。「コク」はドロッ、「キレ」はスッ。この相反する2つを同時に実現することなど、到底、不可能だと思われていた。

 ところがスーパードライは、その両方を実現したのだ。

 田口氏は、スーパードライを知ったとき、まさに「陰陽を和した」完璧な商品だと感じたという。

 二者択一でどちらかを選ばなければいけない局面に直面したら、両方を採るにはどうしたらいいのか、心を空っぽにして考えてほしい、と田口氏はいう。

 「心を空っぽにして考えること」を老荘思想では、「冲気(ちゅうき)」という。

 ノーベル賞を取った方に「どうやって思いついたのですか?」と聞くと、大体「もうひたすら我を忘れて取り組んだだけです」という答えが返ってくる。

 仕事でもプライベートでも、二者択一を迫られたらこのコラムを一度思い出してほしい。「冲気」によって両方を和すれれば、きっと素晴らしい結論を得られるのではないだろうか?

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

トランプ政治と民主主義の危機…カント哲学から考える

トランプ政治と民主主義の危機…カント哲学から考える

編集部ラジオ2025(9)デモクラシーの危機と「哲学」

いま、世界各国で「デモクラシーの危機」が高まっています。これまでの常識を超えたドラスティックな政策を次々と打ち出す第2次トランプ政権はもちろん、欧州各国の政治状況もポピュリズム的な面を強くしています。また、ロシア...
収録日:2025/04/03
追加日:2025/05/22
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
2

日本のインテリジェンスは大丈夫か…行政機関の対応に愕然

日本のインテリジェンスは大丈夫か…行政機関の対応に愕然

医療から考える国家安全保障上の脅威(4)国家インテリジェンスの課題

「日本のインテリジェンスは大丈夫なのか」という声が海外から聞かれるという。例えば北朝鮮のミサイルに搭載されている化学剤について、「エイジング」と呼ばれる拮抗薬投与までの制限時間の観点からはまったく見当違いの神経...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/22
山口芳裕
杏林大学医学部教授
3

イヌ、ネコ、ニワトリ…弥生時代の役割と縄文時代との違い

イヌ、ネコ、ニワトリ…弥生時代の役割と縄文時代との違い

弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(10)弥生人と動物

われわれにとって馴染み深いイヌやネコなどの動物。縄文時代や弥生時代は、その役割、位置づけはどうなっていたのか。また、現代との違いはどこにあるのか。出土品から見えてくる動物との関係について、当時の食生活にも触れな...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/21
藤尾慎一郎
国立歴史民俗博物館 名誉教授
4

メタボリックシンドロームを単なる肥満と侮ってはいけない

メタボリックシンドロームを単なる肥満と侮ってはいけない

健診結果から考える健康管理・新5カ条(6)メタボを侮ってはいけない

「メタボリックシンドローム」を単なる肥満と侮ってはいけない。内臓脂肪が蓄積すると、血糖値や血圧の上昇を招き、さまざまな健康リスクを高めることになってしまう。自覚症状のないまま血管障害が進行するリスクの上昇を防ぐ...
収録日:2025/01/10
追加日:2025/05/20
野口緑
大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 特任准教授
5

デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題

デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題

危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化

ショーヴィニズム(排外主義)、反エリート主義、反多元性を特徴とする政治勢力が台頭するなどポピュリズムと呼ばれる動きが活発化する中、「デモクラシーは大丈夫なのか」という危惧がかなり強まっている。アメリカのトランプ...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/03/28
齋藤純一
早稲田大学政治経済学術院政治経済学部教授