テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.12.05

「覆面パトカー」を見分けることは可能なのか?

 パトカーと聞いて思い浮かべるのは、車体が白黒で天井に赤い回転灯をつけたものではないでしょうか。これは通称「制服パトカー」と呼ばれているもの。これに対して、見た目は一般車両と変わらないパトカーがあります。いわゆる「覆面パトカー」です。ちょっと見ただけでは一般車両と変わらないように思える外見ですが、見分けるポイントなどはあるのでしょうか。

「交通取締用」と「捜査用」がある

 一口に覆面パトカーといっても「交通取締用」と「捜査用」があります。一般的によく見かけるものは「交通取締用」のものです。交通違反の取締りに使われる覆面パトカーの正式名称は「交通取締用四輪車(反転警光灯)」と言います。ちなみに白黒の一般的なパトカーで交通取締りに用いられる車両は「交通取締用四輪車(交通取締用無線自動車)」と言います。「反転警光灯」とは取締りを実施する時にルーフから出てくる警光灯のことです。

 この覆面パトカーには「交通課」に所属する警察官が乗車しています。特に高速道路や自動車専用道路などで取り締まりを行うのは、交通機動隊や高速道路交通警察隊(高速隊)などに所属している、専門的な教育を受けた警察官とのこと。一方、「捜査用」は刑事ドラマなどで見るような事件捜査や張り込みなどで使われる車。また政府関係者など、いわゆるVIPを警護するために使用する車もあります。

クラウンが多い理由

 交通取締用の覆面パトカーで使われる車でもっとも多いのは、スポーツタイプのセダン。さらに使用できる車には細かい基準があるので、条件を満たす車種は限られます。例えば多いのは、「トヨタクラウン」や「マークX」、「カムリ」「スバルレガシィB4」、「日産スカイライン」といったところが挙げられるようですが、実際はかなりの割合をクラウンが占めているようです。排気量は3リッター以上が基本なので、「クラウンロイヤル」であるとか、「クラウンアスリート」が採用されています。

 なぜクラウンが多いのかというと、トヨタがクラウンベースのパトカーモデルを開発しているから、ということのようです。以前は日産セドリックも多かったようですが、現在は撤退しています。パトカーに採用されるには入札が行われるわけですが、サイズ、ドア枚数などなどの条件がかなり細かく規定されています。これに応じるにはコストがかかるため、現在ではトヨタ以外はあまり入札に参加しないようです。

バックミラーが二つ設置されている

 またパトカーならではといえる特徴としては、バックミラーが二つ設置されているという点です。運転席と助手席の2人それぞれが確認できるようになっています。ただし、実際にはリアガラスにスモークが貼られていることが多いので、後ろからは確認しにくいかもしれません。また、トランクルームやルーフの上に警察用の無線送受信アンテナが設置されているということもあります。ただし、これも最近は小型化しているので目立たないようです。

 あとはナンバープレート。警察には管轄があるので覆面パトカーはその地域ナンバーです。以前は8ナンバー(特殊車両)のナンバープレートを使用していたこともあるようですが、現在では3ナンバーや5ナンバーの通常のナンバーなので、この辺りでは区別できません。ということで、後の見分け方はきちんと法律を守って走っている車、ということくらいしかありません。

 パトカーとはいえ、交通ルールを無視して走ることができるのは赤色灯やサイレンを稼働させているときだけです。覆面をしている(赤色灯を出したりしていない)時には交通ルールを厳守します。一説には、「高速道路では左車線をゆっくり走っているクラウンがいたら覆面と思え」というものもあります。

「左車線をゆっくり走っているクラウン」はもしかしたら

 ということで、結論としては「リアガラスにスモークを貼っていて、左車線をゆっくり走っているクラウン」は覆面パトカーかもしれない、というなんともぼんやりしたものになりそうです。もう少し細かく見ればいくつかポイントはあります。たとえばマークXであれば18インチホイールであるとか、リアに「+M」のマークがある(つまりMスーパーチャージャーを積んでいる)、などといった点もあります。ともあれ安全運転です。安全運転であればお世話になることはないので、見抜けなくても問題はない、という方が今のところもっとも間違いのない結論と言えそうです。

<参考サイト>
意外と知らない、覆面パトカーを見分ける方法。厄介になりたくない車両を外観だけで見分けるのは困難!?|Clicccar
https://clicccar.com/2021/09/29/1120329/#clicccar.com
【覆面パトカーの見分け方】車種やナンバーで分かる?クラウンセダン生産終了で覆面はどうなる?|MOBY
https://car-moby.jp/article/car-life/useful-information/unmarked-patrol-car/
警察も使う「覆面パトカー」は通称! 意外と知らない「正式な名称」とは|WEB CARTOP
https://www.webcartop.jp/2021/08/747318/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」

なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」

AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(2)江藤淳の「リアリズムの源流」

文芸評論を再考するに当たり、江藤淳氏の「リアリズムの源流」を振り返ってみる。一般的に日本で近代小説が始まった起源は坪内逍遥だといわれるが、江藤氏はそれに疑問を呈す。そして注目したのが、夏目漱石の「坊ちゃん」であ...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/02
與那覇潤
評論家
2

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ

国際政治の戦略を考える上で今やかかせない地政学の視座。今回のシリーズではヨーロッパに焦点を当て、地政学の観点から情勢分析をする。第1話目では、まず地政学の要点をおさらいし、常に揺れ動いてきた「ヨーロッパ」という領...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/05/05
小原雅博
東京大学名誉教授
3

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道

機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01
木下康司
元財務事務次官
4

「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?

「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?

キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか

キリスト教とは何か。「文明の衝突」が世界中で現実化する中、この問題は日本人にとっても重要なものになっている。上智大学神学部教授・竹内修一氏は、「キリスト教とは何か」という問いは、同時に「イエスとは誰なのか」も意...
収録日:2016/12/26
追加日:2017/02/28
竹内修一
上智大学神学部教授
5

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ

反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
柿埜真吾
経済学者