テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.03.02

ニュースでよく聞く「未明」はいつのこと?

 「関東では明日○日未明にかけて雨になるでしょう」「本日未明、容疑者が逮捕されました」……天気予報やニュースで聞くこの「未明」という言葉。時間帯を表すのだろうけど、なんとなく分かるようで分からない……という人は多いのではないでしょうか。この「未明」のほか、「深夜」「明け方」「日中」といった“時を表す用語”には、実はそれぞれきちんと時間帯が決まっているのです。

 今回はそんな“時を表す用語”について解説します。

「未明」「明け方」「夜遅く」……朝、夜の時間帯を表す言葉

 未明とは、読んで字のごとく夜が明けきらない時のことです。本来の意味、つまり辞書に載っている意味では午前3時~日の出前を指しますが、気象庁では「午前0時~午前3時頃」と定義しています。字面から「明らかになっていない(いつ頃かわからない)」という意味で認識している方も多いようですが、間違えないようにしましょう。

 ニュースでもこの「午前0時~午前3時頃」を指して使われることが多いですが、場合によっては「午前0時~夜明けまで」か「夜遅い時間全体」を表すことも。いずれにしても「日にちを過ぎたあとの一定期間(午前0時以降)」を指すことがほとんどのようです。

 そのほか、「未明」と似たような時間帯を指す言葉はいくつかあります。それぞれの時間の境界はどこでしょうか。気象庁ではこれらの言葉にも細かく時間帯を定義していますので、それを参考に並べて見ると、以下のようになります。

<夜間帯>
21時頃~24時(0時)頃……【夜遅く】
0時~3時頃……【未明】
3時頃~6時頃……【明け方】
(※気象庁「1日の時間細分図(府県天気予報の場合)」より抜粋)

 以上のように、だいたい3時間ごとに区切って伝えていることがわかります。同じく朝~お昼の時間帯も、以下のように3時間ごとに言葉を使い分けているそうです。

<朝~昼間帯>
6時頃~9時頃……【朝】
9時頃~12時頃……【昼前】
12時ちょうど……【正午】
12時頃~15時頃……【昼過ぎ】
15時頃~18時頃……【夕方】
18時頃~21時頃……【夜のはじめ頃】

「夜明け前」「早朝」「日中」……あいまいな時間を表す言葉

 そのほか、一見するといつの時間か分かりにくい、ちょっとややこしい気象予報用語をご紹介しましょう。

【きょう一杯、あす一杯】
 「きょう一杯」とは予報発表時(5時または11時)からその日の24時まで。「あす一杯」とは「あすの0時~24時」のことです。

 “一杯”とは有る限りを尽くす様、ありったけという意味なので、その日のすべての時間帯を指します。

【夜明け、夜明け前】
 「明け方」が3時頃~6時頃を指すのに対し、「夜明け」は“日の出の前の空が薄明るくなる頃”という意味で、時間帯は決まっていません。季節によって日の出の時間は変わるので、それに合わせた汎用的な言葉ということになるでしょう。

 そして「夜明け前(明け方前)」とは、“日の出の前2時間くらい”とされています。「明け方」と混同しやすいため気象庁ではこの言葉の使用を控え、「明け方」のほうを積極的に用いているようです。

【早朝、午前中、午後】
 「朝」が6時頃~9時頃を表すのに対し、「早朝」の定義は“一般の人が活動を始める前”で、だいたい「夜明け(薄明るくなる頃)」から1~2時間とされています。

 「午前中」は一般的には午前0時~正午までですが、天気予報では“予報発表時から正午までの期間”を指す時に使われます。それに対し「午後」は12時~24時です。

【日中】
 「明日日中の最高気温は……」という使われ方をする「日中」は、午前9時頃から18時頃までとなっています。そのあとの18時頃から24時頃は「夜」です。夜の間ずっと、を表す言葉は「夜通し」となります。

【夜半】
 0時の前後、それぞれ30分間くらいを合わせた1時間くらいを指します。ただし“日常的に使われない言葉”のため、気象庁の発表では使用を控えることになっています。

 いかがでしたか。普段何気なく聞いている予報用語も、その言葉の時間帯が分かると予定も立てやすくなりますよね。天気予報やニュースでこれらの用語を聞いた時には、ぜひ思い出してみてください。

<参考サイト>
・時に関する用語(気象庁)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/toki.html

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯

ピアニスト江崎昌子氏が、ピアノ演奏を交えつつ「ショパンの音楽とポーランド」を紹介する連続シリーズ。第1話では、すべてのピアニストにとって「特別な作曲家」と言われる39年のショパンの生涯を駆け足で紹介する。1810年に生...
収録日:2022/10/13
追加日:2023/03/16
江崎昌子
洗足学園音楽大学・大学院教授 日本ショパン協会理事
2

国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?

国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?

習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー

「時間は中国に有利」というのが中国の認識だが、中国の国力はすでに衰え始めているとの見方を提示した垂氏。また、台湾問題の解決が習近平主席のレガシーになり得るかだが、かつての香港返還問題を事例として、その可能性につ...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/16
垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使
3

歴史のif…2.26事件はなぜ成功しなかったのか

歴史のif…2.26事件はなぜ成功しなかったのか

クーデターの条件~台湾を事例に考える(5)世直しクーデターとその成功条件

クーデターには、腐敗した政治を正常化するために行われる「世直しクーデター」の側面もある。そうしたクーデターは、日本では江戸時代の「大塩平八郎の乱」が該当するが、台湾においては困難ではないか。それはなぜか。今回は...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/17
上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?

今井むつみ先生が2024年秋に発刊された岩波新書『学力喪失――認知科学による回復への道筋』は、とても話題になった一冊です。今回、テンミニッツ・アカデミーでは、本書の内容について著者の今井先生にわかりやすくお話しいただ...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/10/16