社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
『生きる意味って何だ?』に込めた2つの大きな願い
「生きる意味って何だ?」、皆さんはそんなことを考えたりしたことはないでしょうか。さらに進んで、「自分は何のために生きているのだ」「そもそも自分の人生にはどんな意味があるのだ」など、どんどんと「問い」が自分の内側のほうへ向かっていったことはないでしょうか。
そして、もしかしたら今も、そのような「問い」を抱き続けている、ということはないでしょうか。
「ビッグ・クエスチョンズ」は学術的な文脈での研究対象ともされ、人生における究極の探究対象ともいえる大切な問いです。しかし、多くの方が日々の生活に追われてなかなか向き合うことができない現実があるように思います。
そんな方にオススメの一冊として、関西大学文学部総合人文学科心理学専修准教授である村上祐介先生の著書『生きる意味って何だ? 人生のビッグ・クエスチョンズに向き合う』を紹介します。
村上先生の専門は、教育・学校心理学、スピリチュアリティ・宗教性の心理学、身体心理学で、大学では「自己をみつめる」という講義(自分や他人のありようを心理学の観点から振り返り、人間に対する理解を深める教養科目)も担当されています。
その経験と学術研究の知見を生かして、「ビッグ・クエスチョンズ」をひとりで抱えて悩んでいる方、さらにはそこまでじっくりとは考えていなくても日々の生活のなかで「自分の人生はこれでいいのか」と少なからず感じている方に向けて、村上先生は本書を執筆されました。
第I部《「自分」って何だ?―「私」と向き合う》のテーマは「自己」。「幸せ」という気持ちを多角的に考察し、「人生で本当に大切なもの」や「生きる意味」をといった何に価値を感じているのかということを考えることを通じて、自分自身の「ビッグ・クエスチョンズ」に向き合っていきます。
第II部《「愛」って何だ?―「他者」と関わる》のテーマは「他者」。社会的動物ともいわれる人間を取り巻く「友情」「恋愛」「家族」、そして「集団・文化」といった「他者との関わり」を通じて、「ビッグ・クエスチョンズ」を広げつつ育んでいきます。
第III部《「神様」って何だ?―「人間を超えた大きな力」を感じる》のテーマは「超越的存在」。人間が「神聖さ」を感じる対象としての「自然」や「宗教(神仏)」、さらには「スピリチュアリティ/霊性」といった「超越的存在」に焦点を当て、「ビッグ・クエスチョンズ」への意識を拡張しながら深めていきます。
特に、生きとし生けるものとの相互関連性を大切にする心の働きであり、かつ自己超越という心の特徴をもつ「スピリチュアリティ」という学術概念にフォーカスを当てた、第III部の第11章「スピリチュアリティ/霊性」を通じて考えてみる」では、教育・学校心理学だけでなく、スピリチュアリティ・宗教性の心理学も専門とされる村上先生の視点を追体験でき、オススメです。
各章で扱ってきたすべてのテーマと関連させながら、スピリチュアルな体験と関わりが予想される「多孔性」(多数の小さな穴が空いている性質の意。それらの穴から思考と感情が世界とダイレクトに影響しあうといったような「心」に関する文化的モデル)や「没入性」(感覚的な経験に埋没するなどのイマジネーション豊な心の働き)などを紹介しつつ、「今ここ」での悩みや苦しみといった「ビッグ・クエスチョンズ」を超える体験への可能性を示唆しています。
ぜひ、大学で村上先生の講義を受けているつもりになって、「自分と対話する時間」の一助となるように、本書を読んでみることをオススメします。そのうえで、本書を通じて考えた自分なりの「問いに対する答え」を、皆さんにとっての大切な方やわかり合いたいと感じる方などと共有し、存分に語り合ってみてはいかがでしょう。
村上先生は、「ビッグ・クエスチョンズを考えるという営みを、抽象的な事柄について思考を巡らせて完結するのではなく、今日、明日をより良く生きる足がかりにしてほしい」と述べ、神学者J・J・ファン・デル・レーウの「人生の“神秘”は、解かれるべき問題ではなく、経験されるべき現実である」という言葉を、彼の著書『The Conquest of Illusion(幻想の征服)』からの引用として紹介されています。
「ビッグ・クエスチョンズ」は皆さん固有の人生や世界への問いであると同時に、皆さん自身の世界や人生からの大いなる問いでもあるのではないでしょうか。本書をヒントにより良い生き方のために考える経験を重ねていく過程こそが大事であり、そこから自分なりの答えもみつかっていくように思えます。
そして、もしかしたら今も、そのような「問い」を抱き続けている、ということはないでしょうか。
「ビッグ・クエスチョンズ」って何だ?
上記のような自己をみつめる過程で抱く「問い」、すなわち「人生に関する根本的な問い」を、学術的な文脈では「ビッグ・クエスチョンズ(Big Question)」と呼びます。「ビッグ・クエスチョンズ」は学術的な文脈での研究対象ともされ、人生における究極の探究対象ともいえる大切な問いです。しかし、多くの方が日々の生活に追われてなかなか向き合うことができない現実があるように思います。
そんな方にオススメの一冊として、関西大学文学部総合人文学科心理学専修准教授である村上祐介先生の著書『生きる意味って何だ? 人生のビッグ・クエスチョンズに向き合う』を紹介します。
村上先生の専門は、教育・学校心理学、スピリチュアリティ・宗教性の心理学、身体心理学で、大学では「自己をみつめる」という講義(自分や他人のありようを心理学の観点から振り返り、人間に対する理解を深める教養科目)も担当されています。
その経験と学術研究の知見を生かして、「ビッグ・クエスチョンズ」をひとりで抱えて悩んでいる方、さらにはそこまでじっくりとは考えていなくても日々の生活のなかで「自分の人生はこれでいいのか」と少なからず感じている方に向けて、村上先生は本書を執筆されました。
多様な「ビッグ・クエスチョンズ」
「ビッグ・クエスチョンズ」は膨大かつ多岐にわたりますが、本書では以下のように、テーマ別に3部構成でまとめて列挙しています。第I部《「自分」って何だ?―「私」と向き合う》のテーマは「自己」。「幸せ」という気持ちを多角的に考察し、「人生で本当に大切なもの」や「生きる意味」をといった何に価値を感じているのかということを考えることを通じて、自分自身の「ビッグ・クエスチョンズ」に向き合っていきます。
第II部《「愛」って何だ?―「他者」と関わる》のテーマは「他者」。社会的動物ともいわれる人間を取り巻く「友情」「恋愛」「家族」、そして「集団・文化」といった「他者との関わり」を通じて、「ビッグ・クエスチョンズ」を広げつつ育んでいきます。
第III部《「神様」って何だ?―「人間を超えた大きな力」を感じる》のテーマは「超越的存在」。人間が「神聖さ」を感じる対象としての「自然」や「宗教(神仏)」、さらには「スピリチュアリティ/霊性」といった「超越的存在」に焦点を当て、「ビッグ・クエスチョンズ」への意識を拡張しながら深めていきます。
特に、生きとし生けるものとの相互関連性を大切にする心の働きであり、かつ自己超越という心の特徴をもつ「スピリチュアリティ」という学術概念にフォーカスを当てた、第III部の第11章「スピリチュアリティ/霊性」を通じて考えてみる」では、教育・学校心理学だけでなく、スピリチュアリティ・宗教性の心理学も専門とされる村上先生の視点を追体験でき、オススメです。
各章で扱ってきたすべてのテーマと関連させながら、スピリチュアルな体験と関わりが予想される「多孔性」(多数の小さな穴が空いている性質の意。それらの穴から思考と感情が世界とダイレクトに影響しあうといったような「心」に関する文化的モデル)や「没入性」(感覚的な経験に埋没するなどのイマジネーション豊な心の働き)などを紹介しつつ、「今ここ」での悩みや苦しみといった「ビッグ・クエスチョンズ」を超える体験への可能性を示唆しています。
本書に込めた2つの大きな願い
村上先生が本書に込めた2つの大きな願いは、(1)主に心理学の立場から自分のあり方や生き方を振り返る視点を提供したい、(2)より良い生き方を考えるヒントを一人でも多くの方がつかんでほしい、というものです。ぜひ、大学で村上先生の講義を受けているつもりになって、「自分と対話する時間」の一助となるように、本書を読んでみることをオススメします。そのうえで、本書を通じて考えた自分なりの「問いに対する答え」を、皆さんにとっての大切な方やわかり合いたいと感じる方などと共有し、存分に語り合ってみてはいかがでしょう。
村上先生は、「ビッグ・クエスチョンズを考えるという営みを、抽象的な事柄について思考を巡らせて完結するのではなく、今日、明日をより良く生きる足がかりにしてほしい」と述べ、神学者J・J・ファン・デル・レーウの「人生の“神秘”は、解かれるべき問題ではなく、経験されるべき現実である」という言葉を、彼の著書『The Conquest of Illusion(幻想の征服)』からの引用として紹介されています。
「ビッグ・クエスチョンズ」は皆さん固有の人生や世界への問いであると同時に、皆さん自身の世界や人生からの大いなる問いでもあるのではないでしょうか。本書をヒントにより良い生き方のために考える経験を重ねていく過程こそが大事であり、そこから自分なりの答えもみつかっていくように思えます。
<参考文献>
『生きる意味って何だ? 人生のビッグ・クエスチョンズに向き合う』(村上祐介著、創元社)
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4382
<参考サイト>
村上祐介先生のゼミのホームページ
https://wps.itc.kansai-u.ac.jp/yumura/
『生きる意味って何だ? 人生のビッグ・クエスチョンズに向き合う』(村上祐介著、創元社)
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4382
<参考サイト>
村上祐介先生のゼミのホームページ
https://wps.itc.kansai-u.ac.jp/yumura/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
サヘル地域をはじめとして、近年、世界各地で多発しているクーデター。その背景や、クーデターとはそもそもどのような政治行為なのかを掘り下げることで国際政治を捉え直す本シリーズ。まず、未来の“if”として台湾でのクーデタ...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/04
経済発展から「国家の安全」へ…転換された国家戦略目標
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(2)国家戦略目標の転換
「習近平中国」における内政において、最も重要な特徴は国家戦略目標の転換だと垂氏は言う。鄧小平時代の経済発展から国家の安全へ舵が取られ、「富より安全」を社会秩序の根底とするのが習近平中国の方向性となる。国家安全委...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/02
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
人の成長にとって、弱点の克服よりも重要なのは強みを伸ばすことだ。ではいかにして自分の強みに気づいていけばいいのか。指導者はどのようにしてそれを気づかせ、支援していけばいいのか。ピーター・ドラッカーの話をはじめ、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/10/01
生物学からわかる「ヒトの配偶や子育て」で大切なこと
編集部ラジオ2025(22)長谷川眞理子先生の「子育て」講義
育児・子育ては、いつだって、誰にとっても大問題です。とりわけ社会が複雑化し、流動化し、激変している現在においては、さまざまな問題も噴出しています。どう考えるべきか、判断が難しい問題も山積です。
このよう...
このよう...
収録日:2025/08/25
追加日:2025/10/01
中国の「国進民退」に危機感…これからの日中関係を読む
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(5)日本外交の進むべき道
日本周辺での有事の可能性が叫ばれる中、日米関係を重視しながらも、隣国・中国とはどうやって関係を築いていくべきか。習近平政権以前の中国の在り方から振り返りながら、これからの中国との付き合い方を考える。また、シリア...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/10/03