テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.03.31

「レジオネラ菌」感染するとどうなる?

 福岡の老舗温泉旅館で、本来は週1回大浴場の水を取り替えるところを年2回しか取り替えておらず、基準値の最大3700倍ものレジオネラ菌が検出されたというニュースが報じられ、驚いた方も多いのではないでしょうか。これまでもレジオネラ菌が基準値を超えていて営業停止となる施設はあったものの、今回の数値は多くの人に衝撃を与えるのに十分なものでした。

 大浴場の水を替えないことは汚い、衛生的に大きな問題もあることは分かるものの、そもそもレジオネラ菌とは?という疑問も持たれたことでしょう。身近にありながら、時には死亡するリスクも孕んでいるこのレジオネラ菌についてご説明しましょう。

レジオネラ菌とは?

 レジオネラ菌は河川、湖、温泉や土壌など自然界に存在する細菌で、レジオネラ属菌として現在では60種類ほどが発見されています。おもな感染経路としてはレジオネラ属菌に汚染された細かい霧やしぶきや、土壌の粉塵を吸入すること、となっています。ヒトからヒトへの感染はないとされています。

 レジオネラ菌に感染すると、軽症で済むケースと重症、最悪の場合死に至るケースとがあります。軽症で済むケースは「ポンティアック熱」と呼ばれ、一時的に発熱、悪寒、筋肉痛などの症状が起こりますが、数日で自然に治癒します。

 一方、重症になる場合は「レジオネラ肺炎」と呼ばれ、全身の倦怠感、頭痛、筋肉痛などの症状に始まり、高熱、寒気、呼吸困難などに進行することも。肺炎になって死亡したケースがこれまでも確認されているため、軽い病気だとみくびってはいけません。病気の進行が早く、致死率の高い病気であるという認識を持っておきましょう。特に高齢者や新生児、免疫が低下している場合には発症リスクが高いとされているので注意が必要です。

どんなところにいる菌なのか?

 レジオネラ菌は自然界に存在する細菌と上述しましたが、人工環境水にも存在しています。冷却塔水、循環式浴槽水など水温20℃以上の人工環境水の衛生状態が悪い状態は、細菌を餌とするアメーバなどが生息しやすい環境となり、そのアメーバに寄生する形でレジオネラ菌が発生します。こうした水のしぶきや霧を吸い込むことで菌に感染してしまうのです。

 つまり、加湿器や循環式浴槽を使っている家庭の場合にはレジオネラ菌が身近にいる可能性が非常に高くなっていると言い換えることもできます。加湿器も風呂も常に清潔な状態を保つことで、レジオネラ菌が発生しにくい対策をとることが大切です。

 また、海外旅行中に感染するケースも確認されています。ここ数年では中国、韓国、トルコ、イタリア、台湾へ旅行して感染したケースもあるということです。国内でも7月、9月といった旅行シーズンに感染例が多いことから、旅行中の入浴が原因となることも多いようです。

実は感染者数は増加傾向にある

 日本でのレジオネラ菌の感染報告は年々増加傾向にあります。これは検査法の開発・普及に伴う一面もある一方、今後高齢化が加速する日本では感染者数の増加も懸念されます。レジオネラ菌に対するワクチンなどはないため、もし感染した場合には早期発見・早期治療が鍵になります。自宅で行える対策はきちんと行い、レジオネラ菌と無縁でいられるように心がけましょう。

<参考サイト>
・レジオネラ症
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00393.html#Q5
・大浴場の湯 年2回しか交換せず 二日市温泉 大丸別荘が謝罪|NHK 福岡のニュース
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20230228/5010019398.html
・レジオネラ症の届出状況、2011年第1週~2021年第35週
https://www.niid.go.jp/niid/ja/legionella-m/legionella-idwrs/10791-legionella-20211201.html
・大阪市:レジオネラ症~家庭での予防について~ (…>健康・医療>感染症・病気に関すること)
https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000005669.html
・旅館・公衆浴場等におけるレジオネラ症防止対策についてのホームページ
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/legionella/about.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,200本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

昭和は気合い…!?令和のコミュニケーションで大事なこと

昭和は気合い…!?令和のコミュニケーションで大事なこと

メンタルヘルスの現在地とこれから(2)職場のコミュニケーション

時代に伴ってコミュニケーションは変化する。昭和の時代、職場では今でいうハラスメント(パワハラ、セクハラなど)的なコミュニケーションをよく見かけたが、現在では「マイクロアグレッション」といわれる、本人も自覚しない...
収録日:2024/04/17
追加日:2024/06/22
斎藤環
精神科医
2

世界が驚いた!コロナ禍の日本人をジョークにすると…

世界が驚いた!コロナ禍の日本人をジョークにすると…

世界のジョーク集で考える笑いの手法と精神(2)世界と日本のジョークの違い

ルーマニアで集めたジョークを皮切りに、「世界のジョーク集」に発展させていった早坂氏。その中で気づいたのは、世界と日本のジョークではマナーに違いがあるということである。例えば、欧州ではジョークを話す人に対してある...
収録日:2024/03/14
追加日:2024/06/21
早坂隆
ノンフィクション作家
3

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生

ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
4

躍進する「グローバル・サウス」77カ国が世界に与える影響

躍進する「グローバル・サウス」77カ国が世界に与える影響

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(1)グローバル・サウスの影響力

世界の政治・経済をリードしてきたG7を中心とする先進諸国の影響力は徐々に薄れつつある。それに対して、BRICSを筆頭にして「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国・途上国の台頭が目覚ましい。現在、国連によるとグローバル・...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/03
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

地域間の不均衡解消、電力移動を可能にする「3つの階層」

地域間の不均衡解消、電力移動を可能にする「3つの階層」

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(7)電力供給の「3つの階層」

カーボンニュートラルな再生可能エネルギーを生み出す技術は、すでに確立されつつある。問題は、それをいかにして社会に実装し、使用率を高めるかである。分散型の電力供給が前提となる中で、地域間や消費者間の電力移動を可能...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/05/25
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者