社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
アジアン・ソウルフード「納豆」
「日本人はなぜ納豆なんて食べられるの、信じられない!」という外国人はいまだに多いようだ。そういった反応が多いからだろうか、私たちは「納豆は日本固有の食べ物だ」と思いがちだが、実はそうではない。
しかし、一言で納豆といっても、形状、料理法などは地域によってさまざまだ。例えば形状でいえば、日本では「糸引き納豆」が一般的だが、他の国の納豆は、むしろ糸が引かない納豆のほうが多いらしい。さらに、実は粒状納豆以外に、ひきわり状納豆、干し納豆、蒸し納豆、乾燥せんべい状納豆、味噌状納豆などがあり、粒状をあまり食べない地域も多い。
味付けも辛かったり甘かったりといろいろ。日本では古来、麦わらで納豆を作ってきたが、ほかの国ではさまざまな植物を使っており、いまでは植物をまったく使わずにプラスチックバッグで大量に作る地域もある。納豆文化は、それぞれ日本とはかなり異なるのだ。横山智『納豆の起源』を参考に、その一端をかいつまんでご紹介する。
タイ北部の民族タイ・ヤイの村では、各家庭が自宅で軽く糸を引く納豆を作り、日常的にさまざまな料理に使っている。自家製納豆を作るタイ・ヤイの人々の納豆へのこだわりは、スーパーで既製品の納豆を買うだけの日本人よりも、ずっと強いという。それからタイ北部では、日本に似て納豆をもち米と一緒に食べる習慣がある。
ラオスやタイはひきわり状の納豆が多いのだが、ミャンマーは粒状納豆がポピュラーだ。ただ、ごはんと一緒に納豆を食べる習慣はない。ラオス、タイ、ミャンマーともに、乾燥せんべい状の納豆がよく見られるのも大きな特徴だ。
世界の納豆の食べ方や味付け、つくり方は、実にバリエーション豊富だが、納豆そのものの基本的な味はどこも同じ。納豆好きなら、ほとんどの食べ方を美味しく味わえるようだ。アジア旅行の楽しみとして、一つ納豆料理を探してみてはいかがだろうか。
納豆は、日本だけの食べ物ではない!
納豆は、ラオス、タイ、ミャンマー、遠くインド・ネパールまで、東南アジアを中心に広く食べられているのだ。ラオスやタイでは「トゥアナオ」、ミャンマーでは「ぺーボゥッ」、インド・ネパールでは「キネマ」などと呼ばれているという。カンボジアには、「シエン」という独特の熟成納豆もある。しかし、一言で納豆といっても、形状、料理法などは地域によってさまざまだ。例えば形状でいえば、日本では「糸引き納豆」が一般的だが、他の国の納豆は、むしろ糸が引かない納豆のほうが多いらしい。さらに、実は粒状納豆以外に、ひきわり状納豆、干し納豆、蒸し納豆、乾燥せんべい状納豆、味噌状納豆などがあり、粒状をあまり食べない地域も多い。
味付けも辛かったり甘かったりといろいろ。日本では古来、麦わらで納豆を作ってきたが、ほかの国ではさまざまな植物を使っており、いまでは植物をまったく使わずにプラスチックバッグで大量に作る地域もある。納豆文化は、それぞれ日本とはかなり異なるのだ。横山智『納豆の起源』を参考に、その一端をかいつまんでご紹介する。
タイ北部では、もち米と一緒に食べる
ラオス北部やタイ北部では、納豆「トゥアナオ」はメジャーな食べ物だ。特によく食べられているのが「カオ・ソーイ」(タイではカオ・ソーイ・ナムナー)で、納豆をたっぷり混ぜた豚そぼろソースをかけた米麺である。タイ北部の民族タイ・ヤイの村では、各家庭が自宅で軽く糸を引く納豆を作り、日常的にさまざまな料理に使っている。自家製納豆を作るタイ・ヤイの人々の納豆へのこだわりは、スーパーで既製品の納豆を買うだけの日本人よりも、ずっと強いという。それからタイ北部では、日本に似て納豆をもち米と一緒に食べる習慣がある。
ミャンマーの一部では、糸引き納豆が人気
ミャンマーでも、タイ系民族が多く住むシャン州、カチン州などでは、日常的に納豆「ぺーボゥッ」を食べている。特にカチン州の一部では、日本の納豆とほとんど変わらない糸引き納豆が売られており、糸引きが強いほうが美味しくて売れるという感覚も日本人と近い。ラオスやタイはひきわり状の納豆が多いのだが、ミャンマーは粒状納豆がポピュラーだ。ただ、ごはんと一緒に納豆を食べる習慣はない。ラオス、タイ、ミャンマーともに、乾燥せんべい状の納豆がよく見られるのも大きな特徴だ。
遠くネパールでも納豆を食べる
日本から遠く離れたヒマラヤに住むネパール系の人々も、納豆「キネマ」をよく食べる。ほとんどが糸引き納豆から作られた干し納豆だ。彼らがよく作るメニューは、なんと、干し納豆をお湯で戻してカレーに入れる「納豆カレー」だ。また、ネパールでは自家製納豆が一般的だが、驚いたことに新聞紙と段ボールを使って作る人が多い。世界の納豆の食べ方や味付け、つくり方は、実にバリエーション豊富だが、納豆そのものの基本的な味はどこも同じ。納豆好きなら、ほとんどの食べ方を美味しく味わえるようだ。アジア旅行の楽しみとして、一つ納豆料理を探してみてはいかがだろうか。
<参考文献>
・『納豆の起源』(横山智著 NHK出版)
・『納豆の起源』(横山智著 NHK出版)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
叩き潰せ、正しいのは自分だけ…ロイ・コーンの教えとは
[深掘り]世界を壊すトランプ関税(1)トランプ大統領の動機と思考
トランプ政権が発表した関税政策は、世界を大きな混乱に落とし込んでいる。はたして、トランプ大統領の「動機」や「思考」の淵源とはいかなるものなのか。そして世界はどうなってしまうのか。
島田晴雄先生には、...
島田晴雄先生には、...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/04/25
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
フェイクが含まれた情報や陰謀論が跋扈する一方、多様性が尊重されるようになり多元化する人々の価値観。そうした現代社会で、いかにして私たちはともに公共性を保って生きていけるのか。多様でありながらいかに共存・共生でき...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/04/25
水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性
水から考える「持続可能」な未来(8)人材育成と水道事業の課題
日本企業の水資源に関するリスク開示の現状はどうなっているか。革新的な「超越人材」を生み育てるために必要な心構えとは何か。老朽化する水道インフラの更新について、海外のように日本も水道事業に民間資本が入る可能性はあ...
収録日:2024/09/14
追加日:2025/04/24
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
銀河の中心にある巨大なブラックホールは一体何なのか。それを考えるためには、宇宙にある数多の銀河の構造について正しく理解する必要がある。私たちが住むこの太陽系は、天の川銀河という巨大な銀河のごくごく小さな一部分で...
収録日:2018/10/31
追加日:2019/03/26
実は考古学者と人類学者で違う!? 渡来系弥生人の定義
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(6)弥生人のDNA
後の二重構造説の見直しにつながっていく「ヤポネシアゲノムプロジェクト」は、これまで手薄だった弥生人のDNA分析によって、古代人の分布について新たな見方を示した。そして、鳥取県にある青谷上寺地遺跡の調査では、現代日本...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/04/23