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DATE/ 2023.07.27

スマホの画面、割れたまま使っても大丈夫?

 スマホの画面はそれなりに強度のある強化ガラスでできています。また、最近はiPhone、Androidとも画面の強度は向上しているようです。軽くちょっとぶつけたくらいでは割れませんが、やはり落としたりすると割れることもあります。ただし、多少割れてもそのまま使用できることも多いです。そのまま使い続けることに問題はないのでしょうか。結論から言えば、画面が割れた状態で使い続けることはリスクが伴います。このリスクは大きく分けて次の3つ「浸水リスク」「誤作動または操作不能になるリスク」「怪我のリスク」に分類できます。以下、一つずつ見てみましょう。

浸水リスク

 スマホは機密性が高く設計されています。特に防水加工が施されたスマホはこの辺りが徹底しているわけですが、割れれば元も子もありません。少し雨に濡れただけでも割れたところから水分が内部に入ります。ちょっとした割れ(欠け)程度だから大丈夫だろうと、これまでと同じような使い方をしていると、突然スマホが動かなくなることも考えられます。

 特に雨に濡れたり、濡れた手で触ったりして水分と直接触れなかったとしても、大気中には水分が多く含まれています。またポケットに入れていたりすれば、汗が直接割れ目から本体内に染み込むことも考えられます。割れているというだけで、通常よりもかなり水分に対して脆弱になっていると考えておきましょう。水没となると画面交換に加えた修理代金が必要になったり、データの損失リスクが高まったりします。

誤作動または操作不能になるリスク

 スマホの画面は指の微弱な静電気で操作しますが、画面が割れるとこの反応が意図しないものになったり、全く反応しなくなったりします。また割れたところから埃が入り込んだりすることにより、状況が悪化することもあるようです。誤作動によって勝手に電話が発信されたりすると、周囲にも迷惑がかかることは言うまでもありません。さらに指紋センサーやカメラあたりに割れが入るとそれぞれ動作不良になったり、場合によっては、顔認証できなくなったりする可能性もあります。

 はじめは軽微な割れだったものがポケットやバッグの中で圧迫されたりして割れが広がり、結果的にセンサー部分やカメラ周辺にまで広がることもあるようです。また、こういった形で圧力が加わらなくとも、普段の操作として指でタップするだけでも画面には圧力が加わります。割れて脆弱になっている画面であれば、多かれ少なかれ、割れが拡がって誤作動のリスクが高まります。

怪我をするリスク

 スマホの画面はガラスなので、割れた部分は鋭利です。特にスワイプしたりする操作をすると指で圧力を加えながら動かすことになり、状況によっては割れたガラスが刺さったりして怪我するかもしれません。気をつけようと思っていても、画面に夢中になったときには割れていることを忘れている可能性もあります。

 また一度目はそこまで大きな割れは起きなかったとしても、何度か落とすと断面から破片が脱落することもあるようです。これが室内で起きた場合、一緒にいる人や家族やペットに被害が起こる可能性もあります。画面保護用のガラスフィルムを装着していると、運がよければ本体のガラスの代わりにガラスフィルムが割れるだけで済むかもしれません。しかし、もし割れたガラスフィルムをつけたままにしておけば、事態は同様に悪化する可能性があります。

早めに修理を

 画面交換の修理は保険や補償プランに入っているかどうかで大きく金額が変わります。保険や補償プランに入っていれば、修理は数千円程度で済む場合もあるようです。自分で入った覚えがなくても、キャリアなどでは積極的に進められて入っている可能性もあります。一方、保険や補償プランに入っていない場合、修理代金は数万円程度まで跳ねあがる可能性があります。

 ともあれ、できるだけ早い段階で修理した方が良さそうです。なかなか修理に出すタイミングがないという場合、当面の応急処置としてスマホ用の保護フィルムを貼りましょう。ネット上でも販売されていますが、家電量販店以外やキャリアのショップ、100円ショップなどでさまざまなものが販売されています。できるだけ画面全体を保護できるものを選びましょう。これでとりあえずは、ここに挙げたリスクを一定程度回避できる可能性はあります。ただしこれは応急処置と考えて、早めに修理したほうがよさそうです。

<参考>
スマホ用ガラスフィルム、ひび割れしたら交換を 破断部でけが|ニッポン消費者新聞
https://www.jc-press.com/?p=4649
スマホ画面はなぜ割れる?ガラスは年々強度が増しているのに実感できない理由|DIAMOND online
https://diamond.jp/articles/-/320685
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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授