社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.03.10

あなたは大丈夫?飲食店でのマナー4選

 飲食店でのマナーの悪い客とのトラブルに関する話題が、SNSやニュースサイトで度々炎上しています。それに比例して、お店のホームページやSNSのアカウント等に、ルールや注意書きを掲載する店舗も日に日に増えていると感じることも。悪意なくやっていることがお店にとっては迷惑なこともありますし、「なんだか店員さんの態度が冷たい」と感じる時は実は自分の振る舞いのせいだったなんていうこともあります。改めて、飲食店を利用する際に守りたいマナーについて考えてみましょう。

調査から見る「すべきこと」と「していること」

 まずは『ホットペッパーグルメ外食総研』による調査を元に、「飲食店でした方が良いと思うことランキング」を見てみましょう。

1位・米粒などを残さず綺麗に食べる
2位・テーブルの上に荷物を置かない
同率2位・店員に敬語を使う
3位・退店時に「ごちそうさま」を店員に言う
4位・席で電話をしない

 以上の5つは約8割の人が「したほうが良い」と考えているポイント。マナーだけではなく、お店へのリスペクトや感謝を表す項目も目立っています。

 一方、実際に「飲食店で行っていることランキング」を見てみると以下に。

1位・米粒などを残さず綺麗に食べる
2位・店員に敬語を使う
3位・紙ナプキンなど自分で使ったものはまとめておく
4位・少なくとも人数分の品数を注文する
5位・テーブルの上に荷物を置かない

 以上5つは約9割の人が「行っていること」。「した方が良いと思うこと」上位3項目が実践されており、お店や店員への配慮を感じるポイントが高くなっています。

 また、中には「した方が良いと思うこと」と「行っていること」が乖離しているものも。最もその差が大きかったのは「店内や料理の写真を撮るときに店員に許可を取る」。他の客も撮影しているから、SNSなどに投稿がされているから、と撮影OKと判断して断りなく写真撮影をしてしまうことは多くの人が経験があると思います。それでもやはり一言「撮影しても良いですか?」と聞くのがスマートです。その次に来るのは「急ぎの用事以外で食事中にスマホに触らない」。飲食店でのスマホの扱いを意識しているが出来ていないと感じている人が多いのかもしれません。

これだけは守りたい、飲食店でのマナー4つ

 上記の結果は飲食店を利用する客側の意識ですが、飲食店で働く人からの声も併せて飲食店での守りたいマナーを4つご紹介。

1・店内や料理を撮影する時は許可を取る。

 客側も意識を強く持ってはいるのですが、あまり実践できていない撮影許可のマナー。最近では断りもなく動画を撮り始める客、撮影だけして料理をほとんど食べない客も多くなり、お店側も困っている話をよく聞きます。また料理だけでなく他のお客さんまで映り込み、クレームが出る場合もあるそうです。撮影OKのお店であっても一言あるだけで「良いお客さん」という印象に。

2・時間や予約に関するルールを守る。

 ドリンク一杯で長時間居座ったり、時間制限や退店時間を伝えてもなかなか帰らない客はお店への営業妨害にもなりかねません。また予約時間の遅刻やキャンセルする際も何も連絡がないのもマナー違反。近頃タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉もよく聞くようになりましたが、飲食店にとってもタイパは重要とのこと。利用する時間にも常識的な意識を持つことが求められています。

3・他の客に迷惑を掛けないように配慮する。

 大きな声で話す、酔ってトイレを占領して汚す、子供が騒いで走り回るなど、お店側にはもちろん他の客にも迷惑を掛ける行為には気をつけたいものです。またナンパや絡み酒など、居合わせた客に直接的に不快な思いをさせるのもNG。飲食店は他の客と共有する場所でもありますから、自分たちさえ楽しければ良いという考え方はやめましょう。

4・「こっちは客だ」と偉そうにしない。

 調査でも店員さんに敬語を使う、入店退店時の挨拶をするようにしている人も多かったように、客に礼儀があればお店の対応も良くなるもの。メニューに無いものを頼んだり、「これ下げて」と偉そうに命令したり、少しのことでキレたり「こっちは金を払っている」とばかりに振る舞うのはみっともないの一言。気持ちよく食事をしたいのなら、わがままを通すのではなく、お店への配慮や雰囲気を壊さない振る舞いを。

 マナーの悪い客とのトラブルを防ぐために様々な対策をしている飲食店も多くなった印象がありますが、色々と制約やルールを設けられると利用しにくいと思うこともあるでしょう。しかしお店側が求めているのは特別なルールではなく、常識的なマナーである場合がほとんど。店側も客側も気持ち良い時間を共有できるように、最低限守るべきマナーを意識したいものですね。

<参考サイト>
・食べ終わったお皿は重ねる? 料理の写真撮影に店員さんの許可は必要? 「飲食店でのマナーだと思うこと」ランキング発表│ホットペッパー
https://www.hotpepper.jp/ggs/2024/01/食べ終わったお皿は重ねる?-料理の写真撮影に店/trend/article/食べ終わったお皿は重ねる?-料理の写真撮影に店/20240131
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる

「逆境とは何に逆らうことなのか」「人はそもそも逆境でしか思考しないのではないか」――哲学者鼎談のテーマは「逆境に対峙する哲学」だったが、冒頭からまさに根源的な問いが続いていく。ヨーロッパ近世、ヨーロッパ現代、日本...
収録日:2025/07/24
追加日:2025/12/19
2

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割

豊臣と羽柴…二つの名前で語られる秀吉と秀長だが、その違いは何なのか。また、これまで秀長には秀吉の「補佐役」というイメージがあったが、史実ではどうなのか。実はこれまで伝えられてきた羽柴(豊臣)兄弟のエピソードにはか...
収録日:2025/10/20
追加日:2025/12/18
黒田基樹
駿河台大学法学部教授 日本史学博士
3

古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著

古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著

渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会

渡部昇一氏には、若き頃に留学したドイツでの体験を記した『ドイツ留学記(上・下)』(講談社現代新書)という名著がある。1955年(昭和30年)から3年間、ドイツに留学した渡部昇一氏が、その留学で身近に接したヨーロッパ文明...
収録日:2021/08/06
追加日:2021/10/23
渡部玄一
チェロ奏者
4

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授
5

「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない

「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない

「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会

アメリカが日本の運命を左右する国であることは、安全保障を考えても、経済を考えても、否定する人は少ないだろう。だが、そのような国であるにもかかわらず、日本人は、本当に「アメリカ」のことを理解できているだろうか。日...
収録日:2022/11/04
追加日:2023/01/06
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授