社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
手柄を横取りする「自己愛性パーソナリティ障害」上司の対処法
あなたのまわりに、何でも自分の手柄にしようとする上司や同僚はいないだろうか。もしかしたら、それは「自己愛性パーソナリティ障害」かもしれない。
自己愛性パーソナリティ障害の人は、とにかく「賞賛」を求めて行動する。仕事では、自分の手柄になることにばかり興味を示し、ミスや賞賛とは関係ない雑務は平気で部下に押し付ける。自分を褒めてくれる取り巻きと、雑務や現実問題を処理してくれる便利な存在を集め、必要なくなれば、どちらも冷たく排除する傾向がある。
こんな上司に当たったら、部下はたまったものではない。どのように対処したらよいのだろうか。そもそもパーソナリティ障害とはどういったものだろうか。
自己愛性パーソナリティ障害のほかには、最高と最低の気分を往復する「境界性」、いつも主人公を演じる「演技性」、悪を生きがいにする「反社会性」、人を信じられない「妄想性」、頭の中で生きている「失調性」、親密な関係を求めずに孤独を愛する「シゾイド」、失敗や傷つくことを極度に恐れる「回避性」、一人では生きていけない「依存性」、義務感が強すぎる「強迫性」といったパーソナリティ障害がある。すべてバランスの問題で、いずれにしても極端すぎるのだ。パーソナリティ障害者は、2~3のタイプを同時に抱えるケースが珍しくない。
環境でもっとも影響が大きいのが、「自己愛の成熟プロセス」である。1歳半から3歳までの「母子分離」の時期と、続く4~5歳までが自己愛の発達にとって重要な段階で、この時期に、母親の愛を感じながら少しずつ母親の手を離れる必要がある。しかし、急速に分離させられたり、いつまでも母親が手離さないと、自己愛が十分に成熟しない。いつまでも親から卒業できず、自分をきちんと愛せない人間に育ち、果てはパーソナリティ障害となってしまうのである。他にもPTSDなどが要因かもしれないといわれているが、最大の理由は両親との関係である。
あとは、とにかく賞賛する側にまわるほかない。賞賛に徹していれば、自分のすばらしさがわかる人物として、そのうちあなたの言葉に少しずつ耳を傾けてくれるようになるだろう。
自己愛性パーソナリティ障害の人は、とにかく「賞賛」を求めて行動する。仕事では、自分の手柄になることにばかり興味を示し、ミスや賞賛とは関係ない雑務は平気で部下に押し付ける。自分を褒めてくれる取り巻きと、雑務や現実問題を処理してくれる便利な存在を集め、必要なくなれば、どちらも冷たく排除する傾向がある。
こんな上司に当たったら、部下はたまったものではない。どのように対処したらよいのだろうか。そもそもパーソナリティ障害とはどういったものだろうか。
極端に偏った考え方や行動パターンが問題
「パーソナリティ障害」とは、偏った考え方や行動パターンのため、家庭生活や社会生活に支障をきたした状態を指す。大きく分けて10タイプあるが、共通するのは自分に強いこだわりがあり、とても傷つきやすいことだ。対等の信頼関係を築くのが苦手で、愛し下手である。自己愛性パーソナリティ障害のほかには、最高と最低の気分を往復する「境界性」、いつも主人公を演じる「演技性」、悪を生きがいにする「反社会性」、人を信じられない「妄想性」、頭の中で生きている「失調性」、親密な関係を求めずに孤独を愛する「シゾイド」、失敗や傷つくことを極度に恐れる「回避性」、一人では生きていけない「依存性」、義務感が強すぎる「強迫性」といったパーソナリティ障害がある。すべてバランスの問題で、いずれにしても極端すぎるのだ。パーソナリティ障害者は、2~3のタイプを同時に抱えるケースが珍しくない。
自己愛の成熟に問題があると、なりやすい
パーソナリティ障害の原因は、遺伝と環境がおおよそ半分ずつと言われている。もともとパーソナリティ障害になりやすい人、なりにくい人が存在するのだが、すべてが遺伝子で決まるわけではないということだ。環境でもっとも影響が大きいのが、「自己愛の成熟プロセス」である。1歳半から3歳までの「母子分離」の時期と、続く4~5歳までが自己愛の発達にとって重要な段階で、この時期に、母親の愛を感じながら少しずつ母親の手を離れる必要がある。しかし、急速に分離させられたり、いつまでも母親が手離さないと、自己愛が十分に成熟しない。いつまでも親から卒業できず、自分をきちんと愛せない人間に育ち、果てはパーソナリティ障害となってしまうのである。他にもPTSDなどが要因かもしれないといわれているが、最大の理由は両親との関係である。
子育ての希薄化・空疎化が、根本的な原因
なかでも急増しているのが、境界性パーソナリティ障害だが、その原因は、幼少期に父母から「必要な愛情を適切に注がれなかった」ことにあるという。現代の親たちは、子育ての最中も親たちが仕事や楽しみ、自己実現に忙しいため、愛情の替わりに代替物を与えることが多く、子どもが無条件に愛情を与えられるケースは少ない。一方には子育てに熱中するあまり、過剰な期待をかける親がいる。どちらにしても、母子分離のプロセスがスムーズでないため、自己愛の成熟を妨げるのだ。さらに、核家族化と地域社会の衰退がこの傾向に拍車をかけている。親に子育てを教えられる存在が、周囲から確実に減っているからだ。自己愛性パーソナリティ障害への対処法
最後に、冒頭で紹介した自己愛性パーソナリティ障害者を動かす方法をお伝えしたい。ズバリ効果的なのは、義務や道理を説くより、不安や嫉妬心、功名心を刺激することだ。自己愛性パーソナリティ障害者は基本的に小心で、嫉妬深く、負けん気が強いので、競争心をあおるとモチベーションに火が付く場合が多いのである。あとは、とにかく賞賛する側にまわるほかない。賞賛に徹していれば、自分のすばらしさがわかる人物として、そのうちあなたの言葉に少しずつ耳を傾けてくれるようになるだろう。
<参考文献>
・『パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか』(岡田尊司著 PHP研究所)
・『パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか』(岡田尊司著 PHP研究所)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的
第2次トランプ政権の危険性と本質(2)トランプ関税のおかしな発想
「トランプ関税」といわれる関税政策を積極的に行う第二次トランプ政権だが、この政策によるショックから株価が乱高下している。この政策は二国間の貿易収支を問題視し、それを「損得」で判断してのものだが、そもそもその考え...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/17
大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本
デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性
アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?
編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税
会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。
第2次トランプ...
第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城
世界を混乱させるトランプ関税攻勢の狙い(1)「相互関税」とは何か?
トランプ大統領は、2025年4月2日(アメリカ時間)に貿易相手国に「相互関税」を課すと発表し、「解放の日」だと唱えた。しかし、「相互関税」の考え方は、まったくよくわからないのが実状だ。はたして、トランプ大統領がめざす...
収録日:2025/04/04
追加日:2025/04/10
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24