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DATE/ 2019.11.26

年末調整で取り戻す!配偶者控除・扶養控除・特別支出控除まとめ

 令和元年10月1日からの消費税率(地方消費税を含む)が10%に引き上げられると 同時に、消費税の軽減税率制度が実施されました。

 こうした日々の納税もありますが、一般的な会社に勤めるサラリーマンは、納税が給与の源泉徴収と年末調整の仕組みによって自動化されています。そのため、制度変更に疎くなり、取り戻せるいくつかの節税のチャンスを逃している可能性があります。

 サラリーマン現役世代を直撃する税負担を凌ぐために、まずやるべきことは、節税のための知識を得ることにほかなりません。今回は、そんな税金を取り戻せるチャンスについてお伝えします。

サラリーマンの確定申告

 サラリーマンが税金を取り戻すための方法は確定申告になります。給与やボーナスなど会社からの所得については年末調整として税金の調整がされますが、会社以外からの収入(副業など)、個人的に発生する控除、そして「年末調整」の申告に間に合わなかった事柄を最終的に調整するのが「確定申告」になります。

 サラリーマンにとって確定申告は義務ではありませんが、税金を取り戻せるチャンスになりますので、以下のケースに該当する場合は特に確定申告することをオススメします。

1)年末調整で申告できなかった
・生命保険などの証書が見つかった
・1年目の住宅ローン控除をし忘れた
・結婚して配偶者が扶養に入った
・配偶者の収入が減り、扶養に入った

2)たくさんの医療費を支払った
・家族全員分の医療費が所得の5%を超えた(所得が200万円以上の場合は10万円)
・特定の市販薬や健康診断を利用した
 → 健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29(2017)年1月1日から令和3(2021)年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合 において、その年中に支払ったその対価の額の合計額が12000円を超えるときは、その超える部分の金額について、その年分の総所得金額等から控除できます。

3)副収入があった
・副収入が20万円を越えた(必要経費も認められる)
・給与所得が2カ所以上ある場合

4)仕事の必要経費を個人で支払った
・会社が必要経費と認めた費用の合計額が「同年の給与所得控除額の2分の1」を超えた(通勤費、転居費、研修費、資格取得費。単身赴任帰宅旅費、書籍など)

5)寄付やふるさと納税をした
・国が定めた団体に寄付をした(日本赤十字社など)
・6つ以上の自治体にふるさと納税をした(5つ以内の自治体にふるさと納税した場合は、「ふるさと納税ワンストップ特例」から確定申告は不要)

6)株式、債券、投資信託、暗号通貨等の売買を行った
・投資で損失が出た
・株式の配当金や投信の分配金をもらった(給与所得の税率が20%以上の場合、申告のメリットがない)
・NISA投資で、配当金を銀行口座や郵便局の窓口などで受け取っている(給与所得の税率が20%以上の場合、申告のメリットがない)

7)会社を退職した
・無職、フリーランスとなった
・退職金をもらった

8)災害や盗難にあった
・泥棒に入られた
・自然災害で被災した

9)マイホームの売買やリフォームをした
・マイホームを売買した
・住宅ローンを組んで家を買って入居した人(適用一年目は確定申告が必要)
・住宅ローンを組んでリフォームをした
・バリアフリーや省エネ、3世代同居のためのリフォームをした
・耐震工事をした(住宅ローン控除との併用も可)
・相続などで得た空き家を売って利益を得た

確定申告のための情報収集

 税金を取り戻せる各種控除については様々な条件がありますが、国税庁のサイトで確認しつつ、上記項目に該当する方は、ぜひ確定申告にチャレンジしていただけたらと思います。

<参考サイト>
・国税庁:給与所得者と還付申告
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/shoto302.htm
・厚生労働省:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000510729.pdf
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