テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.01.23

老後はいくら必要か?蓄財・生活レベル見直しのススメ

 突然のリストラや傷病、そして定年退職にいたるまで、定期的な収入がなくなった時に頼りになるのが「貯蓄」である。備えあれば憂いなしというが、いま、ご自身でどれだけの貯蓄があるか把握しているだろうか。また、定年退職からの老後に向けて、老後破綻に備えてどれだけの貯蓄が必要か考えてみたことはあるだろうか。想定可能な子どもの教育資金から収入が途絶える定年退職からの収支、想定外の失業や事故を見越しての貯蓄は万全にしておくことを考えておきたい。

三大貯蓄時期を逃さない

 若い世代にとっては特に、結婚、出産、教育といったライフシーンに応じて、貯めやすい時期と貯めにくい時期を知っておくことは大きなアドバンテージとなる。人生の三大貯蓄時期は、結婚前の独身時、子どもの小学生時、子どもが独立してからの時期となる。この期間を見極めしっかりと貯蓄を増やしておきたい。

生涯収入と生涯支出、老後のシミュレーション

 一般的なサラリーマンは、給与・ボーナス・退職金が生涯収入としてカウントされる。定年退職後も働くことができれば、働いている期間だけ生涯収入は加算されるが、働くことができなければ定年退職までの収入総額から、残された生涯の必要経費としての支出分を賄うことになる。この期間の備えとして制度化されている「年金」も想定しつつ、生涯収入と生涯支出のシミュレーションから算出しておきたいのが、収入の途絶える期間に必要な「貯蓄額」だ。その前提として、現段階での年金受給額と、保険などの満期返礼金、住宅ローン残額と蓄財の実態を把握しておきたい。

見えない年金制度、収入が見込めない期間のための貯蓄

 現在の年金制度は基本的に65歳から受給が開始されることから、60歳定年退職から働かない選択をすると、5年間は「年金」をアテにできないことになる。つまり、「貯蓄」から支出を賄う収支を考えなくてはならない。
 高齢者人口の増加を背景に、今現役で働いている世代の年金受給額が少なくなる可能性と、受給開始が70歳になる可能性を考えると、「10年分の生活費支出に相当する貯蓄」が必要になると想定しておきたい。
 具体的な貯蓄額の試算としては、最低限と考える住居費を含む衣食住の生活費を仮に月あたり20万円とするなら、年間240万、10年で2400万となる。それぞれ、年金までの無収入期間を想定し、個人の感覚や居住地域の格差があるので、ご自身がストレスのない生活レベルを維持するために必要な月毎の生活費から、試算しておきたい。

必要な蓄財と生活レベルの見直しを!

 多くのサラリーマン世帯はそれぞれ年収に応じた生活を営んでいることだろう。食事のレベルや旅行などの余暇の過ごし方、そしてローンを含めた住宅事情など、その生活レベルが生涯収支から蓄財もふまえた生活スタイルであれば不安はない。しかし、今の収入から蓄財せずに、すべてを消費してしまう生活レベルであるとするなら、破綻が予測される。
 生活レベルの急激な変化は大きなストレスとなりかねない。ストレスは心身の健康に影響し、健康状態は生活費に反映される。病んでしまえば、医療費はもとより、働く可能性すら奪うからである。我慢出来る最低限の生活レベルを想定して、生涯の収支バランスがとれる蓄財とライフスタイルの改善を含めて準備しておきたい。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現

5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現

産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題

温暖化やエネルギー問題など、地球環境の持続可能性をめぐる議論はその緊急性が増している。そのような状況で日本はどのような社会を目指すべきなのか。モノの所有ではなく幸せを求める、持続可能な「プラチナ社会」の構想につ...
収録日:2025/04/21
追加日:2025/10/22
小宮山宏
東京大学第28代総長 株式会社三菱総合研究所 理事長 テンミニッツ・アカデミー座長
2

実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!

実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!

エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場

「エンタテインメントビジネス」とは何か。例えば日本では、株式欄での業種区分に「エンタテインメント」はない。そもそも日本は、経済産業としてエンタテインメントを理解していない。あえて定義するなら「コンテンツによって...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/10/21
水野道訓
元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役CEO
3

台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性

台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性

クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か

サヘル地域をはじめとして、近年、世界各地で多発しているクーデター。その背景や、クーデターとはそもそもどのような政治行為なのかを掘り下げることで国際政治を捉え直す本シリーズ。まず、未来の“if”として台湾でのクーデタ...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/04
上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯

ピアニスト江崎昌子氏が、ピアノ演奏を交えつつ「ショパンの音楽とポーランド」を紹介する連続シリーズ。第1話では、すべてのピアニストにとって「特別な作曲家」と言われる39年のショパンの生涯を駆け足で紹介する。1810年に生...
収録日:2022/10/13
追加日:2023/03/16
江崎昌子
洗足学園音楽大学・大学院教授 日本ショパン協会理事