テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.01.28

態度が悪い、無神経…嫌な医師を見抜くポイント

 病院で病気について質問をしたら、面倒くさそうに答えが返ってきて、嫌な気持ちになった…。年配の医者の高圧的な態度に、ついカチンとなった…。もしかしたら、それはドクハラ(ドクターハラスメント)といえるかもしれない。ドクターハラスメントとは、医師の無神経ともいえる言葉、態度、雰囲気で患者を傷つけている状態のこと。外科医の故・土屋繁裕氏が提唱しはじめた言葉だ。

「この人ドクハラ医師?」と感じたら

 一口にドクハラ、といってもいろんなタイプがあるという。例えば、「これは急いで手術をしなきゃ、治らないよ」と脅したり、精神的に弱っている人に「そういう性格だから病気になるんだ」と迫ったり。さらには「こんな体じゃ嫁に行けないな」と女性にセクハラまがいの言葉を浴びせたり、子どもの診療時に「(子どもがこうなったのは)親の責任だね」と言い放ったり…。

 一生忘れられない心の傷を受ける患者さんも多いのだとか。しかし泣き寝入りする場合がほとんどだとも。心ない言葉で傷つくことのないよう、土屋氏による「ドクハラ医師を見抜くチェックポイント」を紹介しておこう。

【ドクハラ医師を見抜くチェックポイント】
1:あいさつをするか
2:威張らないか
3:患者から目をそらさないか
4:怒らないか
5:治療を急がないか、薬が多くないか
6:知ったかぶりをしないか
7:専門用語を羅列しないか
8:手術や治療の自慢話をしないか
9:恩着せがましくないか
10:説明なしに検査をしないか

 ただ、運悪くドクハラ医師に遭遇したとしても、その医師に対して、面と向かって「先生、それはドクハラですよ」、とは言えないかもしれない。しかし、その態度こそ、ドクハラ医師が増える原因の一つと考えることもできる。「お医者さんに任せておけば大丈夫」と医師に依存し、間違っているところがあったとしても指摘しないでおけば、ドクハラ医師が横行してしまう可能性が高いということだ。

ドクハラに遭わないために意識すべき10箇条

 そこで提案したいのが、医師の診察を受ける側が少しずつ意識を変えていくこと。土屋先生が提唱する、患者さんに向けた10箇条を紹介していこう。

【患者さんの意識を変えるための10箇条】
1.医者や、病院は、患者が選ぶもの(そこしかない、という固定観念をなくす)。
2.自分の病気は、できるだけ勉強しよう。情報を集めよう。
3.病気の経過、疑問点などはまとめておく(メモなどを医療サイドに渡すとお互いの理解が早くなり、時間の節約になる)。
4.疑問点は聞こう。
5.説明を疑問に感じたら、セカンドオピニオンを取る勇気を。
6.重要な説明のときは、録音をする(あとから調べるためにも)。
7.医者は契約をした技術者。自分の希望や要請を語ろう。
8.自分の心情を語ることをいとわない。そこからまた、人間関係が深まる。
9.家族も医者に意見を言おう。
10.悪しき習慣である、医者や病院へのつけ届け(贈り物)をしない。

 自分が患者になったとき、主体的に医師と関わることがドクハラ医師による被害を防ぐと同時に、納得のいく治療を目指すことにもつながっていく。30~40代から生活習慣病などの心配が生まれ、病院に行く機会は増えてくるはずだ。そうしたときに備えて、少しずつ意識を変えていくといいだろう。

<参考文献>
・『ストップ ザ ドクハラ』(土屋繁裕著、扶桑社)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力

人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
2

日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い

日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い

続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担

国民の税負担を増やすか、政府の財政支出を増やすか。前回の講義《日本人の「所得の謎」徹底分析》に続き、見解の分かれる日本の財政に関する議論を今一度整理し、見通しを与える当講義。まずは日本の財政と国民の負担の現在地...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
養田功一郎
元三井住友DSアセットマネジメント執行役員 YODA LAB代表 金融・経済・歴史研究者
3

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ

海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
沖野郷子
東京大学大気海洋研究所教授 理学博士
4

外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか

外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか

外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い

外交とは国益を最大化しなければいけないのだが……。35年にもわたる外交官経験を持つ小原氏が8年がかりで書き上げた著書『外交とは何か 不戦不敗の要諦』(中公新書)。小原氏曰く、外交とは「つかみどころのないほど裾野が広い...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/05
小原雅博
東京大学名誉教授
5

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査

現在の宇宙開発は「国際月探査」を合言葉に掲げている。だが月は人類の移住先にも適さず、探査にさほどメリットがない。にもかかわらずなぜ「月探査」が目標として掲げられているのか。それは冷戦後、宇宙開発の目標を失った各...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/16
川口淳一郎
宇宙工学者 工学博士