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DATE/ 2016.04.02

上司が部下の能力を最大限に引き出すためにすべきこと

 ご自身の職場でも、取引先の会社でもよいのですが、それぞれの実力はあるのに、なぜか成果が出ないという組織の経験をしたことはないでしょうか?

 仕事で望まれる結果をだすためには、個々人の力を高めることが必要です。しかし、会社のように組織で成果を出していくには、個々人のスキルはもとより、そうした力を足し算だけではなく、掛け算に変えていくコミュニケーションの質を高めることがとても重要になってきます。

 成果が出ない組織の問題は、ひとえに管理職の問題といってもよいのですが、それでは問題を棚上げするだけで、解決にはつながりません。組織の問題は、上司と部下、同僚という組織の中でのコミュニケーションがどのようになっているかを見なおしてみることが、どちらの立場からでもアプローチできる最初のステップになります。

 組織の中のコミュニケーションの問題は、一言でいってしまえば「相性」、上司と部下、その「性格」の組み合わせによって引き起こされているケースが実に多くみられます。

 例えば、どんなことでも自分にしかできないという思い込みから自身の方法を押しつけ、部下の仕事に目を光らせている「秀才」タイプの上司と、自由奔放な状態でこそ成果が期待できる「天才」タイプの部下の組み合わせを想定してみましょう。

 遠からず、「秀才」タイプの上司は「天才」タイプの部下の方法が理解できず、部下の行動を制限していくことになりかねません。この組み合わせは、明らかに多く不幸な結果になることが予想されます。仕事で成果がでないばかりか、メンタルに影響してどちらかが退職を余儀なくされるレベルまで発展する懸念も否めません。

 おそらく、部下の仕事に目を光らせている「秀才」タイプの上司には、経験が少なく、あらゆることを受け入れていく「素直」なタイプの部下と組みあわせると、かなりの成果が期待できるでしょう。

 しかし、組織の中で与えられた組み合わせは、なかなか変えることは難しいのが現状です。少なからずできることは、ご自身の性格や思考を自覚的に変えてみるなど、コミュニケーションの方法を変えるというアプローチです。

 コミュニケーションはなにより、受け手と送り手の関係によって成されます。イソップの寓話「北風と太陽」を持ち出すまでもなく、よい結果を出すコミュニケーションは、それぞれの性格や仕事のスタイルをよく知ることが必須となります。それを知ることで、言葉や伝え方は自ずと変わってくるでしょう。

 新年度、新組織のなかで、上司と部下、同僚、クライアント、それぞれの性格をよく知り有効なコミュニケーションができるように心構えをしてみてはいかがでしょうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授