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DATE/ 2016.05.07

日米で比較する女性の高年収職業ランキング(前編)

 女性活躍推進法が始まっています。「元気な女性は増えている」と感じる方が多いと思いますが、実際の現状はどうなのでしょうか。今回は、女性が高収入を得られる職業をランキング形式で日米比較をしてみました。比較的女性が働きやすく、実際に働いている職場をご紹介するため、アメリカでは24%以上、日本では18%以上の女性が働く職業を対象としています。

 平均年収の男女別調査が始まったのは1979年。当時のアメリカ女性は男性の62.3%の平均年収でしたが、2012年にはその差を80.3%に縮めています。かたや同期間の日本女性は、男性の51.1%からスタートして、53.3%にしか到達していません。日本では、まだまだ女性に厳しい現実があるのです。

では、気になるランキング結果を見ていきましょう。前編では10位から6位までを発表します。以下、数字は平均年収と各職業の女性進出率。米国の年収情報は、ニュースサイト「Chron」より、1ドル=122円換算。日本国内の情報は「年収ラボ」の情報を参考にさせていただきました。

10位は米:アクチュアリー、日本:公認会計士・税理士

 アクチュアリーは保険数理士とも呼ばれます。統計や確率などを使ってリスクや不確実性の分析を行い、保険や年金、資産運用のための資料をつくります。公認会計士と税理士では必要な資格も守備範囲も違いますが、厚労省統計では同じ職種と見なされているようです。

米:アクチュアリー/1149万円/35.1%
日:公認会計士・税理士/501万円/35%

9位は米:検眼士、日本:歯科医師

 メガネをつくるのに視力測定や目の検査はつきもの。日本では店頭で行うことも多いのですが、アメリカでは「検眼士(医)」という専門家に相談しなければなりません(眼科医とは別の職種)。女性歯科医は、日本でも4人に1人を占めるように。繊細な指先やデリケートな患者対応力から、「歯医者は女医さん」と決めている人も増えました。

米:検眼士/1156万円/37.5%
日:歯科医師/538万円/27.3%

8位は米:数学者、日本:獣医師

数学者とは聞き慣れない職種ですが、おおむね数学専門の教授と考えればいいでしょう(なかにはNASAなどの政府機関に携わる人も)。女性は8位ですが、男性は3位の高待遇で知られています。日本の獣医師は、3人に1人が女性。患獣の状態によっては泊まり込みも当たり前なので、家庭との両立が課題です。



米:数学者/1156万円/24.6%
日:獣医師/548万円/36.6%

7位は米:ITプロジェクトマネジャー、日本:高校教員

 プロジェクトマネジャー(PM)は、文字通りプロジェクト単位で案件の計画・遂行に責任を負う管理者。日本でも憧れの職種ですが、プロジェクトが動いている期間はほぼ私生活はありません。日本の高校教員は、なんといっても男女同一賃金なのが魅力。産休・育休なども充実しています。

米:PM/1250万円/27.3%
日:高校教員/621万円/30.2%

6位は米:エコノミスト、日本:大学講師

 エコノミストは日本では経済学者を指しますが、アメリカでは証券会社などで顧客に株取引のアドバイスなどをする専門家。大学講師は、教授になるための必須ステップですが、その前にオーバードクターや助手の期間を低収入で耐える必要があります。

米:エコノミスト/1254万円/27.3%
日:大学講師/638万円/33%

 日米で比較した「女性の年収が高い職業」6位~10位、意外な発見はあったでしょうか?気になる5位以上のランキングについては、後編をお楽しみに。
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