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DATE/ 2016.06.28

男子テニス世界王者を大躍進させた「食事療法」とは?

 錦織圭選手の目覚ましい活躍が注目される男子プロテニス界ですが、男子プロテニス界で圧倒的な王者として君臨するのがセルビア出身のノバク・ジョコビッチ選手です。

 いまでこそ、揺るぎない戦績を誇りますが、2010年までは、どんなにトレーニングをしても、試合中に度々襲われる謎の腹痛などで勝ちきれないプレイヤーでした。

ジョコビッチを変えたのは「グルテンフリー」

 そんなジョコビッチ選手を大きく変えたのは、栄養学が専門のイゴール・チェトイエビッチ博士との出会いです。博士は単純な検査をして、ジョコビッチ選手がグルテン・アレルギーであることを見抜きました。

 グルテンに対してアレルギーを持っている人が小麦粉類を摂取すると、小腸が過敏に反応して消化不良になり、吐き気や痛み、腸疾患などを引き起こす場合があります。このアレルギー反応がとても強い場合は、「セリアック病」という腸から栄養の吸収ができなくなる恐れもあるといわれています。

 ジョコビッチ選手のケースとも重なりますが、自覚症状がない軽いアレルギーの人も含めると、グルテンに対する過敏症の人は年々増加傾向にあるそうです。

 基本的に和食にはグルテンが少ないことから、日本人にとってジョコビッチ選手のようなアレルギー症はそれほど知られてはいませんでした。しかし、うどんに加え。パンやパスタなどの小麦粉食が多くなっていることから、慢性的な下痢や腹痛などにより体調不良が続いているようであれば、グルテン・アレルギーの可能性をふくめ専門医に相談することをおすすめします。

 また、グルテンの中に含まれる「グリアジン」という物質には食欲を促進させる働きがあり、パンやケーキを食べだすと止まらないという現象を起こすことが知られています。ダイエットにおいても小麦粉類をとらない「グルテンフリー」として、その効果が期待されています。

食事療法によりランキング1位に

 ジョコビッチ選手の話に戻すと、2011年からグルテンフリーの食事療法により体調を完全なものとして、いきなりこの年に3つのグランドスラム(全豪、ウィンブルドン、全米オープン)を制し、ランキング1位に躍り出ました。

 実家がピザ屋であるというのも皮肉な巡り合わせでしたが、食事から人生を変えた「自分を制御できる力の大きさが、あなたの人生の質を決める」、そんなジョコビッチ選手の言葉には耳を傾ける価値があります。

<参考文献>
『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(ノバク・ジョコビッチ著、タカ大丸訳 三五館)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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