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お金持ちは長生きする?「年収と寿命」の関係
人生は不公平。とはいえ「お金持ちほど長生きする」といわれると、ちょっとムズムズしてきます。そこで、平均寿命と年収の間には確かな関係があるのかどうか、調べてみました。
その結果、例えば1940年生まれの55歳男性を比較すると、「上から1割の裕福層」が34.9年の余命を持つのに比べ、「下から1割の貧困層」は24.2年の余命しか持たないことが分かったのです。これは1920年生まれの場合が29.0年と22.6年の差であったことと比べると、明らかな格差拡大です。
女性でもほぼ同様の傾向が見られ、1940年生まれの55歳女性の場合、「上から1割の裕福層」は35.3年、「下から1割の貧困層」は25.8年という結果が出ています。さらに、男性ではどの階層でも1920年生まれより1940年生まれの余命が長かったのですが、女性では所得下位40パーセントのところで逆転が起こっています。
結論からいえば、「教育年数が短い人は、教育年数が長い人より、死亡リスクが約1.5倍高く、所得が少ない人は、所得が多い人より、死亡リスクが2倍近く高い」のが現実だということです。
それによると、家計支出が多いほど、総エネルギー、脂質、タンパク質、炭水化物、カルシウム、ビタミン、食物繊維などを多くとっていることがわかりました。さらに、多くの栄養素で、家計支出が多いほど、厚労省による「日本人の食事摂取基準」の推奨量をとっている人の割合も高くなっています。一言でいうと、「家計支出が少ないほど栄養摂取状態が悪い」ことがわかったのです。
食生活による健康への影響は女性のほうが明らかなようです。家計支出が少ない女性ほど、心臓病や脳卒中などの循環器疾患のリスク要因である肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの割合が高いからです。
健康診断一つとっても、所得の少ない人では受診控えが多く、パート、アルバイト、自営業者などでは健診の受診率が低くなっています。さらに国民皆保険制度の下にありながら、現実には約160万人の無保険者がいることも推計されています。
次の理由は、おなじみの「ストレス」です。仕事上のストレスもありますが、他人と比べて自分は豊かではないと感じる「相対的剥奪感」によるストレスも大きな比率を占めます。
たとえば、自分の年収は500万円で、周囲の人の年収は300万円だとします。もし、これが逆に自分の年収が300万円で、周囲の人の年収が500万円だとしたら、どうでしょう。「他人と比べて自分は豊かではない」という劣等感が、現実に健康をむしばむ可能性を指摘したものです。
三つ目は「人間関係」です。人間関係のネットワークが小さいと、他者からのサポートが少なくなるなどの要因で、健康状態は悪くなるのです。日本の高齢者約13000人を4年間追跡して「友達との交流が少ない人は死亡リスクが高い」と指摘したのは、本研究の成果でしょう。
最後に「生活習慣」の問題があります。社会階層が高い人ほど、健康に良い行動をとることがわかっていて、学歴や所得が高いほど運動習慣を持っています。さらに食品摂取については、学歴の高さがバランスの良さとつながっていることがわかりました。逆に社会階層が低い人では喫煙率が高く、運動習慣が少ないなど、健康に悪い生活習慣が多いのです。
これが、21世紀の世界の現実。さて、どう立ち向かうべきでしょうか。
悲報?朗報?「お金持ちほど長生き」の風評は真実
“裕福になればなるほど長生きできる”―このショッキングな研究成果が「ウォールストリート・ジャーナル」に掲載されたのは2014年の4月でした。ブルッキングス研究所のエコノミスト、バリー・ボスワース氏の分析結果を報道したもので、同氏はミシガン大学による研究データを分析。2万6000人の米国人を対象に、加齢に伴う健康と仕事の変化を追跡しました。その結果、例えば1940年生まれの55歳男性を比較すると、「上から1割の裕福層」が34.9年の余命を持つのに比べ、「下から1割の貧困層」は24.2年の余命しか持たないことが分かったのです。これは1920年生まれの場合が29.0年と22.6年の差であったことと比べると、明らかな格差拡大です。
女性でもほぼ同様の傾向が見られ、1940年生まれの55歳女性の場合、「上から1割の裕福層」は35.3年、「下から1割の貧困層」は25.8年という結果が出ています。さらに、男性ではどの階層でも1920年生まれより1940年生まれの余命が長かったのですが、女性では所得下位40パーセントのところで逆転が起こっています。
日本にも「お金持ち長生き説」は当てはまるのか?
一億総中流のはずだった日本にも「格差社会」の波が到来して長いですが、同様の研究は平成21年~25年にスタートしています。その成果は「日本の『健康社会格差』の実態を知ろう」のレポートにまとめられているので、ぜひ一読をおすすめします。結論からいえば、「教育年数が短い人は、教育年数が長い人より、死亡リスクが約1.5倍高く、所得が少ない人は、所得が多い人より、死亡リスクが2倍近く高い」のが現実だということです。
「健康格差」は、まず食生活から生まれる
同レポートの中には、男女それぞれ約11000人のデータを「家計支出額」の多寡により4つの階層に分けた分析があります。それによると、家計支出が多いほど、総エネルギー、脂質、タンパク質、炭水化物、カルシウム、ビタミン、食物繊維などを多くとっていることがわかりました。さらに、多くの栄養素で、家計支出が多いほど、厚労省による「日本人の食事摂取基準」の推奨量をとっている人の割合も高くなっています。一言でいうと、「家計支出が少ないほど栄養摂取状態が悪い」ことがわかったのです。
食生活による健康への影響は女性のほうが明らかなようです。家計支出が少ない女性ほど、心臓病や脳卒中などの循環器疾患のリスク要因である肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの割合が高いからです。
所得が少ないと健康状態が悪くなる4つの理由
まず、収入が少ないと健康維持に必要なモノやサービスを十分に購入できず、医療へのアクセスにも格差があるという「物質的な制限」が理由に挙げられます。健康診断一つとっても、所得の少ない人では受診控えが多く、パート、アルバイト、自営業者などでは健診の受診率が低くなっています。さらに国民皆保険制度の下にありながら、現実には約160万人の無保険者がいることも推計されています。
次の理由は、おなじみの「ストレス」です。仕事上のストレスもありますが、他人と比べて自分は豊かではないと感じる「相対的剥奪感」によるストレスも大きな比率を占めます。
たとえば、自分の年収は500万円で、周囲の人の年収は300万円だとします。もし、これが逆に自分の年収が300万円で、周囲の人の年収が500万円だとしたら、どうでしょう。「他人と比べて自分は豊かではない」という劣等感が、現実に健康をむしばむ可能性を指摘したものです。
三つ目は「人間関係」です。人間関係のネットワークが小さいと、他者からのサポートが少なくなるなどの要因で、健康状態は悪くなるのです。日本の高齢者約13000人を4年間追跡して「友達との交流が少ない人は死亡リスクが高い」と指摘したのは、本研究の成果でしょう。
最後に「生活習慣」の問題があります。社会階層が高い人ほど、健康に良い行動をとることがわかっていて、学歴や所得が高いほど運動習慣を持っています。さらに食品摂取については、学歴の高さがバランスの良さとつながっていることがわかりました。逆に社会階層が低い人では喫煙率が高く、運動習慣が少ないなど、健康に悪い生活習慣が多いのです。
これが、21世紀の世界の現実。さて、どう立ち向かうべきでしょうか。
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