テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.09.13

今どきの新入社員はPCが使えない?

 若者が年輩者にパソコンの使い方を教える…そのような光景はもう過去のものになったのかも知れません。

 新卒入社の社員で、パソコンの扱い方が分からないという若者が増加してきているといわれています。たとえ大卒の新入社員でも。

スマホの普及が最大要因

 原因として挙がるのは、スマートフォンの普及です。今どきの若者は、ツールを使ったコミュニケーションは多様なアプリがあり、どこへも手軽に持ち運べるスマートフォンでほとんど行ってしまうのでパソコンに触れる機会がないのです。

 実はこれは、若者に限った話ではなく、スマートフォンやタブレットを利用している中年以降の人々にもあてはまる話です。

 ガラケー時代、パソコンを持っている人は、外では携帯だけれども、家ではパソコンという人が圧倒的に多かったものでした。しかし、家の中のどこでも持ち運べて、画面も美しく、操作感覚もパソコンよりも気持ちのいいスマートフォンやタブレットが登場して以降、パソコンを持っていてもめったに開かなくなったという人が急増しました。

若者ははじめからスマホしか知らない

 パソコンが最も操作性のよいインターネットのツールだった時代が終わると、そもそもはじめからスマートフォンだけでインターネットにアクセスし、パソコンを知らない世代が出てきました。

 この世代が最近話題になるパソコンが使えない若者だといえます。彼らは、学校のレポートを提出する際も手書きか、それこそスマートフォンでテキストを打って提出するといいます。

 もちろん、それだけでは不便なのでパソコンを使用する若者もいるわけですが、いつまでもガラケーで済ませ、スマートフォンの操作を覚えようとしない年配者がいるのと同じように、便利でもパソコンを覚えようとせず、スマートフォンだけを使い続けるという若者もいるのです。

職場ではやはりパソコンが中心

 しかし、ホワイトカラーの職場では、資料作成やコミュニケーションはパソコンでの業務が中心になります。

 表計算や図面作成などはパソコンを使えば楽でも、スマートフォンの小さな画面で済ませようとすると、大変な労力になるでしょう。そもそもソフト(アプリ)も限られます。なので、スマホ世代の若者が就職すると大変苦労するという話になっているのです。

さすがに優秀な学生を採用すれば、パソコンが使えないということは少ないかと思われますが、就職のことを真剣に考えなかったり、インターンや学生団体の事務仕事など、パソコンを使用するような活動を行ってこなかった学生は、すでに同期と差をつけられている状態です。

 採用する職場の方も、パソコンスキルを習得させるのは、それなりにコストがかかるものなので、スキルのない若者を敬遠する動きは広がるでしょう。今は人口減に備えた人材囲い込みの時期なので、多少能力に疑問符がついても若者であれば就職できるという労働市場ですが、今後は如実に格差が出てくるかも知れません。

しかし、ツールが進化する可能性も

 とはいえ、今後はツールの方が、つまりパソコンの方が変わるという話もあります。例えば、スマートフォンは必ずしもパソコンよりもテキストの入力速度が遅いとはいえません。

 それは何もフリック入力の神業があるということでなく、音声入力の問題です。今の若者は音声入力で、フリック入力はもちろん、パソコンのキーボード入力よりも素晴らしいテキスト入力でコミュニケーションをとっている若者が増え始めました。

 また、高性能のタブレットを職場に導入する企業も増え始めています。タイプライターにその起源を持つキーボード入力よりも、より直感的に扱える、音声入力や、タップ入力、場合によっては考えただけで入力できるような形にインターフェイスが進化をとげれば、直感的に情報機器を扱える世代の方がやはり有利になります。

 今のスマートフォンのレベルでは、パソコンよりも業務に役立つとは必ずしもいえません。しかし10年後は分からないというのが、実際のところだといえるでしょう。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
2

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(2)ChatGPT開発秘話

仕事をはじめさまざまな生活シーンで多様な役割をこなすチャットボットとなった「ChatGPT」。OpenAIが公開したこのサービスが世界中を驚かせるまでには、その創業に携わったサム・アルトマンとイーロン・マスクの対立など紆余曲...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/26
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
3

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか

普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
山内昌之
東京大学名誉教授
4

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

編集部ラジオ2024:4月24日(水)

ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。

そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア