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DATE/ 2016.10.08

「完全食」と呼ばれる食材とは一体何なのか

 「完全食」と聞いて、皆さんはどんな食べ物を連想するでしょうか。いくつかありますが、特によく言われるものが、卵、納豆、玄米、ヨーグルト、さつまいも、などです。たしかに体によさそうなイメージがあるものばかりですよね。

 しかし、よくその栄養素を見てみると、実は人間の健康維持にとって大事な成分がなかったりすることも事実。ということで、「完全食」というように言われるいくつかの食材について検証します。

 日常生活で卵を食べないことは不可能ではないか、というくらいに卵は身近な食べ物です。「卵かけごはん」は、簡単に栄養を摂取できる代表格と言えるのではないでしょうか。他にもゆで卵、目玉焼きなどなど、時間をかけずにつくることができるので便利です。

 たしかに卵は、人間の体内でつくれない必須アミノ酸をたいへんバランスよく含んでいます。食品たんぱく質の栄養価を科学的に示す方法として「アミノ酸スコア」と呼ばれるものがあります。このスコアが100に近いほど、人間にとっての必須アミノ酸を含んでいると言えるのですが、このスコア、卵はなんと100です。

 ですが、卵は「食物繊維」と「ビタミンC」が含まれていません。「食物繊維」と「ビタミンC」といえば、緑黄色野菜です。卵を食べるときは、たまごサラダがおススメです。

納豆

 納豆が完全食といわれているポイントは、大豆イソフラボン、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、鉄など)、食物繊維などが多く含まれている点です。またホルモンバランスを整えてくれる成分も含まれています。

 ですが残念ながら、ビタミンAやビタミンCが含まれていないのです。他にも抗酸化作用のあるβカロテンも含まれていません。

 そこでまず、ビタミンを補うために長ネギを刻んで入れるという手があります。それから、なんといっても焼きのりです。焼きのりにはビタミンAとC、βカロテン、カルシウムといった納豆に不足している成分が多分に含まれています。

玄米

 玄米の食物繊維は白米のおよそ4.6倍含まれています。さらに、血行をよくしてくれるビタミンEや糖質をエネルギーに変えるビタミンB1、代謝に関連するビタミンB2など実に様々な栄養素がバランスよく含まれています。

 ただし、玄米に含まれていない栄養素はビタミンCやナトリウム。これらを補うのが、漬物やみそ汁です。また、栄養とは別に、玄米はお腹をこわしやすい人もいるでしょう。これは食物繊維が多いことの裏返しです。水分を多くして柔らかく炊き、とにかくよく噛むことをおススメします。また白米と混ぜて炊くことも上手に栄養をとる方法です。

乳製品

 牛乳といえばカルシウム。給食でも必ず出てきましたよね。牛乳には、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルがたいへんバランスよく含まれています。

 一方、牛乳にほとんど含まれていない成分は食物繊維です。また、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、鉄分なども少量です。

 牛乳や乳製品はビタミンCや食物繊維がたくさん摂取できる果物や野菜を一緒に食べるといいでしょう。牛乳を使ったフルーツジュースもおススメです。またビタミンEが多く含まれるナッツは美肌効果もあるそうです。

一つだけ食べていれば大丈夫という「完全食」は存在しない

 こう見ていくと、これ一つだけ食べていれば大丈夫、という厳密な意味での「完全食」は存在しないと考えていいようです。ですが、ここに挙げた食材はどれもたいへんバランスに優れています。今回はその足りないところをちょい足しで補う方法をご紹介しました。ぜひとも生活に取り入れて充実した食生活にしましょう。
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