社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
出世せずとも幸せ?スーパーヒラ社員という働き方
少子高齢化の影響で人口ピラミッドが崩れた現在、年功序列で齢を重ねれば自動的に出世するということは過去の話。少ないポストを争って、昔以上に激しい競争を勝ち抜かなくてはいけなくなりました。
しかも実力主義でない組織がどんどん淘汰されている中、若年層管理職の割合は増加し、地位と年齢の逆転はもう当たり前の世の中です。4、50代以上のおじさん世代が誇りをもって働くのはとても大変な世の中になりました。
ヒラ社員だからといって仕事ができないわけではありません。むしろスーパーといわれるほどに、仕事はできる人材でしょう。ただ、ポスト争いに時間や精神力を割かず、自分の職分に全精力を投入しているというわけです。
ポジションはヒラでも、彼らはその職能で評価され、尊敬を集めているのです。場合によっては、社内調整に明け暮れる管理職よりも、世の中に有用な付加価値を生み出すスーパーヒラの方が、よっぽど社会に貢献しているとも言えるかも知れません。
営業や研究開発、マーケティングや経理といったひとつひとつの職能で秀でた人が、そのことを評価され管理職になっても特に成果を出せないということはよくあります。
同時に、ヒラとしてはいまひとつパっとしなかった社員が、大量離職などで急に管理職をまかされた結果、予想外に力を発揮するということもあるのです。
もちろん今までの仕事の能力が急にアップするわけではありません。営業は下手でも、経理は計算間違いだらけでも、マネジメントという才能がもともとあったということです。
団体スポーツの世界では昔から、「名選手は名監督にあらず」という言葉がささやかれてきましたが、これはビジネスパーソンの世界でも同じことなのです。
しかし、現在はITエンジニアなど人手不足のジャンルでは、5,000円の時給も珍しくありません。彼らはもちろん管理職ではありません。しかし、大手企業の管理職なみの給料をもらっています。
場合によっては、管理職よりも高い給与をもらう専門職も増えてきました。報酬を決める要素はシンプルにその専門領域の社会的なニーズと、個人の能力の高さです。
スーパーヒラが「スーパー」といわれるのも、その能力の高さがゆえです。生み出す価値が高ければ、その分報酬も評価も高いというわけです。
本当に会社が嫌になったら、専門性にさえ優れていれば、転職も可能です(ただし日本企業の場合、その会社でしか通用しない専門性も多いので要注意ですが)。せっかく上がった出世の階段をまた一から昇りなおさなくてはいけないので、なかなか転職に踏み切れない管理職志向の働き方とは違うのです。
とある調査では、40代の4割がスーパーヒラという働き方を理想と答えたそうですが、それもうなずけます。
現代は人も仕事も激しく変化する社会です。10年後には今ある仕事のいくつかは消えている可能性はあるでしょう。その一方で新しい仕事もいくつか増えていることでしょう。すでにこの20年ほど、そういった時代でした。
そもそもひとつの企業で順調に出世して、ちゃんと定年を迎えるという働き方自体が時代遅れになってしまったのです。時代の変化についていきながら、自分特有の能力をはぐくみ、社内政治ではない本当の実績を積んでいくという、本来の仕事の形が求められる時代なのです。
スーパーヒラという働き方は、いたずらに出世競争を繰り広げるよりも、安全で安心、心も充実する働き方なのかも知れません。
しかも実力主義でない組織がどんどん淘汰されている中、若年層管理職の割合は増加し、地位と年齢の逆転はもう当たり前の世の中です。4、50代以上のおじさん世代が誇りをもって働くのはとても大変な世の中になりました。
地位とは関係なしにイキイキ働くおじさんたち
一方、ヒラ社員としてイキイキ働く中高年が増えてきたのもまた事実。彼らは「スーパーヒラ」といわれ、会社の中でも重宝される存在です。ヒラ社員だからといって仕事ができないわけではありません。むしろスーパーといわれるほどに、仕事はできる人材でしょう。ただ、ポスト争いに時間や精神力を割かず、自分の職分に全精力を投入しているというわけです。
ポジションはヒラでも、彼らはその職能で評価され、尊敬を集めているのです。場合によっては、社内調整に明け暮れる管理職よりも、世の中に有用な付加価値を生み出すスーパーヒラの方が、よっぽど社会に貢献しているとも言えるかも知れません。
名プレイヤーは名監督にあらず
最近では、管理職の職分であるマネジメントも、そもそもひとつのスキルとしてとらえなおされてきています。営業や研究開発、マーケティングや経理といったひとつひとつの職能で秀でた人が、そのことを評価され管理職になっても特に成果を出せないということはよくあります。
同時に、ヒラとしてはいまひとつパっとしなかった社員が、大量離職などで急に管理職をまかされた結果、予想外に力を発揮するということもあるのです。
もちろん今までの仕事の能力が急にアップするわけではありません。営業は下手でも、経理は計算間違いだらけでも、マネジメントという才能がもともとあったということです。
団体スポーツの世界では昔から、「名選手は名監督にあらず」という言葉がささやかれてきましたが、これはビジネスパーソンの世界でも同じことなのです。
各専門分野の習熟度で給料が決まる
10年ほど前、「ハケンの品格」というドラマがヒットしました。超高級のスーパー派遣社員が仕事の様々な難問を解決していくという話ですが、主人公は非正規雇用にもかかわらずその能力の高さから時給は破格の3,500円という設定でした。しかし、現在はITエンジニアなど人手不足のジャンルでは、5,000円の時給も珍しくありません。彼らはもちろん管理職ではありません。しかし、大手企業の管理職なみの給料をもらっています。
場合によっては、管理職よりも高い給与をもらう専門職も増えてきました。報酬を決める要素はシンプルにその専門領域の社会的なニーズと、個人の能力の高さです。
スーパーヒラが「スーパー」といわれるのも、その能力の高さがゆえです。生み出す価値が高ければ、その分報酬も評価も高いというわけです。
ワークライフバランスに優れた働き方
管理職ではないので、時間は自由になりますし、忙しくても時間外手当はちゃんとつきます。職能で評価されているので、人間関係に煩わされたり社内政治にふりまわされる心配も少ないでしょう。本当に会社が嫌になったら、専門性にさえ優れていれば、転職も可能です(ただし日本企業の場合、その会社でしか通用しない専門性も多いので要注意ですが)。せっかく上がった出世の階段をまた一から昇りなおさなくてはいけないので、なかなか転職に踏み切れない管理職志向の働き方とは違うのです。
とある調査では、40代の4割がスーパーヒラという働き方を理想と答えたそうですが、それもうなずけます。
社会が流動化している
もちろん管理職志向の人も、マネジメントの専門性を高めることは可能です。MBAを取得するのもそのひとつでしょう。そうすれば、転職をするたびに地位もうなぎのぼりにアップしていくというエリート的な働き方も可能になるでしょう。現代は人も仕事も激しく変化する社会です。10年後には今ある仕事のいくつかは消えている可能性はあるでしょう。その一方で新しい仕事もいくつか増えていることでしょう。すでにこの20年ほど、そういった時代でした。
そもそもひとつの企業で順調に出世して、ちゃんと定年を迎えるという働き方自体が時代遅れになってしまったのです。時代の変化についていきながら、自分特有の能力をはぐくみ、社内政治ではない本当の実績を積んでいくという、本来の仕事の形が求められる時代なのです。
スーパーヒラという働き方は、いたずらに出世競争を繰り広げるよりも、安全で安心、心も充実する働き方なのかも知れません。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価
歴史の探り方、活かし方(5)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈下〉
豊臣秀次事件に対する見方を変えた『武功夜話』だが、実は偽書疑惑もある。今回は、そのことに鋭く迫っていく。『武功夜話』は、豊臣秀吉に仕えて大名まで上り詰めた前野長康の功績を中心に記された史料だが、その発表・出版の...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/28
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻して...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/25
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
この人生を生きていくうえで、「歴史」をひもとくと貴重なヒントにいくつも出会えます。では、実際にはどのように歴史をひもといていけばいいのか。
今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/27
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02


