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年々注目の集まる「ブラック企業大賞」とは?
「体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」これは、2008年6月に過労自殺した居酒屋チェーン大手「ワタミフードサービス」の新入社員(女性)がのこした手帳の文面だそうです。この文面は入社後1カ月半で記されたということですが、その後1カ月もたたずにその方は亡くなっています。当時、大きく報じられたこの過労自殺から、今年(2017年)で9年になろうとしていますが、日本の労働環境がはっきりとしたかたちで改善されているとは到底いえない状況が続いています。
2015年12月、過酷労働の果て自殺した電通社員(女性)の事件に象徴されるように、大中小といった企業の規模に限りません。こうした労働環境をつくり出している会社は「ブラック企業」と呼ばれ、流行語としての鮮度も落ちていないところを見る限り、いまだ改善されない労働環境を反映しているようです。
もともと「ブラック企業」は、暴力団などの反社会的団体と関連し違法行為を行っている会社を呼ぶことから派生し、後に若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって搾取する会社を呼ぶようになりました。2013年に非正規労働者が被害者となるブラックバイトという派生語も登場し、同年の「新語・流行語大賞」のトップ10にランキングされたことから、世の中的に問題意識が大きく高まることとなりました。
では、社会的にも注目されつつブラック企業の環境とは、具体的にどんな実態を示すのでしょうか。
・セクハラ・パワハラ
・いじめ
・長時間過密労働
・低賃金
・コンプライアンス違反
・育休・産休などの制度の不備
・労組への敵対度
・派遣差別
・派遣依存度
・残業代未払い(求人票でウソ)
これら指標は、ブラック企業の個別の事例から、それら企業を生み出す背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることをめざすことを掲げた「ブラック企業大賞」というサイトで示されている内容です。
被雇用者にとっては、ブラック環境の個別事例の調査やその問題の発信・解決も簡単ではなく、不当な処遇を受けていても声をあげにくい状況にあります。
また、ブラック企業を生み出す社会・経済的な構造についての分析もまた不十分といってよいでしょう。過労死などの事件によって、ブラック企業の存在が一時的に明るみにでても、企業全体・働く場全体の質の向上にはなかなか結びついていません。
さらに、環境を告発する被雇用者の正当性の判断を難しくさせるブラック社員も問題視されています。
こうした状況に公平性を意識した情報発信を旨とするのが、このサイトを運営している「ブラック企業大賞企画委員会」とのことです。
詳細はサイトを閲覧していただくとして、2016年の大賞に選ばれたのは、過労自殺を生み出した「電通」。そして、業界賞には、介護系「ディスグランデ介護株式会社」と印刷系「株式会社プリントパック」が選出されました。
ブラック企業大賞の発表は今年が5回目。2012年には「東京電力」、2013年は「ワタミフードサービス」、2014年は「ヤマダ電機」、2015年は「セブン-イレブン・ジャパン」が大賞に選ばれています。
こうしたブラック認定に企業サイドの受けとめ方についてですが、「ブラック企業大賞」サイト上では、2016年の業界賞を受賞した株式会社プリントパックが授賞式に出席した従業員である労働組合委員長に対して、「選考にはたらきかけていたかのような嫌疑をかけ『呼び出し状』を出し、さらには懲戒処分をほのめかすという驚くべき事態が生じている」と報告されています。これについては、その後の経過について注視すべきでしょう。
さまざまな報道については正しいリテラシーを持ちたいものですが、いずれにしても、企業サイドと被雇用者にとって双方メリットのある解決はできないものでしょうか。電通の事件では、今年(2017年)1月20日に親族と電通の間で謝罪や再発防止策などについて合意した文書が調印されたことが大きく報じられました。ここからどのように解決されていくのかはまだわかりませんが、ブラック企業という言葉が世の中から消えることを願うばかりです。
2015年12月、過酷労働の果て自殺した電通社員(女性)の事件に象徴されるように、大中小といった企業の規模に限りません。こうした労働環境をつくり出している会社は「ブラック企業」と呼ばれ、流行語としての鮮度も落ちていないところを見る限り、いまだ改善されない労働環境を反映しているようです。
もともと「ブラック企業」は、暴力団などの反社会的団体と関連し違法行為を行っている会社を呼ぶことから派生し、後に若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって搾取する会社を呼ぶようになりました。2013年に非正規労働者が被害者となるブラックバイトという派生語も登場し、同年の「新語・流行語大賞」のトップ10にランキングされたことから、世の中的に問題意識が大きく高まることとなりました。
では、社会的にも注目されつつブラック企業の環境とは、具体的にどんな実態を示すのでしょうか。
ブラック企業を見極める指標
・長時間労働・セクハラ・パワハラ
・いじめ
・長時間過密労働
・低賃金
・コンプライアンス違反
・育休・産休などの制度の不備
・労組への敵対度
・派遣差別
・派遣依存度
・残業代未払い(求人票でウソ)
これら指標は、ブラック企業の個別の事例から、それら企業を生み出す背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることをめざすことを掲げた「ブラック企業大賞」というサイトで示されている内容です。
被雇用者にとっては、ブラック環境の個別事例の調査やその問題の発信・解決も簡単ではなく、不当な処遇を受けていても声をあげにくい状況にあります。
また、ブラック企業を生み出す社会・経済的な構造についての分析もまた不十分といってよいでしょう。過労死などの事件によって、ブラック企業の存在が一時的に明るみにでても、企業全体・働く場全体の質の向上にはなかなか結びついていません。
さらに、環境を告発する被雇用者の正当性の判断を難しくさせるブラック社員も問題視されています。
こうした状況に公平性を意識した情報発信を旨とするのが、このサイトを運営している「ブラック企業大賞企画委員会」とのことです。
ブラック企業大賞2016は?
2016年のノミネート企業は、株式会社エイジス、株式会社電通、株式会社ドン・キホーテ、株式会社プリントパック、関西電力株式会社、佐川急便株式会社、サトレストランシステムズ株式会社、宗教法人仁和寺、ディスグランデ介護株式会社(「茶話本舗」FC企業)、日本郵便株式会社、DWE Japan株式会社(「しゃぶしゃぶ温野菜」FC企業)の11社でした。詳細はサイトを閲覧していただくとして、2016年の大賞に選ばれたのは、過労自殺を生み出した「電通」。そして、業界賞には、介護系「ディスグランデ介護株式会社」と印刷系「株式会社プリントパック」が選出されました。
ブラック企業大賞の発表は今年が5回目。2012年には「東京電力」、2013年は「ワタミフードサービス」、2014年は「ヤマダ電機」、2015年は「セブン-イレブン・ジャパン」が大賞に選ばれています。
こうしたブラック認定に企業サイドの受けとめ方についてですが、「ブラック企業大賞」サイト上では、2016年の業界賞を受賞した株式会社プリントパックが授賞式に出席した従業員である労働組合委員長に対して、「選考にはたらきかけていたかのような嫌疑をかけ『呼び出し状』を出し、さらには懲戒処分をほのめかすという驚くべき事態が生じている」と報告されています。これについては、その後の経過について注視すべきでしょう。
さまざまな報道については正しいリテラシーを持ちたいものですが、いずれにしても、企業サイドと被雇用者にとって双方メリットのある解決はできないものでしょうか。電通の事件では、今年(2017年)1月20日に親族と電通の間で謝罪や再発防止策などについて合意した文書が調印されたことが大きく報じられました。ここからどのように解決されていくのかはまだわかりませんが、ブラック企業という言葉が世の中から消えることを願うばかりです。
<参考サイト>
・ブラック企業大賞
http://blackcorpaward.blogspot.jp/
・ブラック企業大賞
http://blackcorpaward.blogspot.jp/
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