社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
人の集中力の限界は起きてから〇時間!
みなさんは、1日に睡眠時間をどれくらいとっていますか?人が1日に必要とする睡眠時間の平均は8時間とされていますが、それよりも短いという人も多いのではないでしょうか。なかには「昨日は十分寝たから、今日は徹夜もいけるぞ!」なんて、がんばってしまう人もいるかもしれません。
しかし、その「今日はいけるぞ」の裏には、意外な睡眠の落とし穴があるのです。
健康な成人を対象として「人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは起床後何時間までか」という調査をした結果、きちんと効率よく仕事ができる限界は、せいぜい12~13時間。15時間を過ぎると、なんと酒気帯び状態と変わらないというのです。
深夜にかけて、気分が妙に楽しくなったり明るくなったり、まるでお酒を飲んだような状態を「深夜のテンション」や「ナチュラルハイ」などということがありますが、起床後15時間という時間経過を考えると、脳は実際にお酒を飲んだような状態になるということなのですね。
飲酒運転が禁止されているのは、アルコールによって注意力が散漫になり、大きな事故に繋がりかねないからです。ということは、起床後15時間の状態は、いくら自分は元気だと思っていても、知らず知らずのうちにヒューマンエラーや事故を起こしてしまう可能性が高くなるともいえます。
このデータを見ると、日本は「睡眠をとる」ということをおざなりにしがちな国だといえるのではないでしょうか。見方を変えると、例えばコーヒーを飲んでカフェインをとったり、あるいは運動をしたりして眠気を抑えるなど、いかに自分を眠らせないかという術に長けているといえるのかもしれません。
日本人がなぜ眠らないかということに、「スマホの普及」や「仕事の忙しさ」、「勤勉さ」などが理由としてあげられますが、大きな要因のひとつとして「睡眠教育」の不足という点があります。
「睡眠教育」という言葉に「?」が浮かんだ方も多いですよね。睡眠が体にどんな効果をもたらすのか、どう大切なのかということを教えることが「睡眠教育」です。実は、海外ではメジャーな教育で、子どもから大人まで、この「睡眠教育」を受けている人が多く、睡眠を確保することに対して、日本とは教育段階で大きく意識が違うといわれています。
睡眠不足を自覚していれば、「寝よう」という意思もでてきますが、判断能力が低下しているにもかかわらず、眠気を自覚していないということもあります。知らず知らずのうちに効率は下がり、トータルで見たとき、仕事の遅れが目立ち、大きなミスをしてしまうということもあるのです。
一昔前、受験の格言に「四当五落」というものがありました。4時間睡眠で勉強に勤しんだ者は受かり、5時間睡眠を取った者は落ちるというものです。実際のところはよくわかりませんが、日本には、目的のため、成果のために睡眠時間をけずるという習慣が今もまだ色濃く残っていると感じます。そんな状況ですから、日本で長時間睡眠が美徳となるにはまだまだ時間がかかるかもしれませんが、それぞれが適切な睡眠と休みをとるなどして、少しずつでも睡眠との付き合い方を変えていけるといいですね。
しかし、その「今日はいけるぞ」の裏には、意外な睡眠の落とし穴があるのです。
酒気帯び状態とイコールになる、起床後15時間
「睡眠不足が作業効率を落とさせる」というのは有名な話ですが、一方で「そうなるのは慢性的な睡眠不足の時だけ」と思う方も多いと思います。しかし、2014年に厚生労働省が出した「健康づくりのための睡眠指針」には、こんな研究成果が記載されています。健康な成人を対象として「人間が十分に覚醒して作業を行うことが可能なのは起床後何時間までか」という調査をした結果、きちんと効率よく仕事ができる限界は、せいぜい12~13時間。15時間を過ぎると、なんと酒気帯び状態と変わらないというのです。
深夜にかけて、気分が妙に楽しくなったり明るくなったり、まるでお酒を飲んだような状態を「深夜のテンション」や「ナチュラルハイ」などということがありますが、起床後15時間という時間経過を考えると、脳は実際にお酒を飲んだような状態になるということなのですね。
飲酒運転が禁止されているのは、アルコールによって注意力が散漫になり、大きな事故に繋がりかねないからです。ということは、起床後15時間の状態は、いくら自分は元気だと思っていても、知らず知らずのうちにヒューマンエラーや事故を起こしてしまう可能性が高くなるともいえます。
眠らない国、日本に足りない「睡眠教育」
2014年に経済協力開発機構(OECD)が世界29か国を対象に15~64歳の国民平均睡眠時間を調べた調査結果では、アメリカの8時間36分、中国の9時間2分に対して、日本は最下位の韓国に次いで28位。平均睡眠時間は7時間43分というものでした。このデータを見ると、日本は「睡眠をとる」ということをおざなりにしがちな国だといえるのではないでしょうか。見方を変えると、例えばコーヒーを飲んでカフェインをとったり、あるいは運動をしたりして眠気を抑えるなど、いかに自分を眠らせないかという術に長けているといえるのかもしれません。
日本人がなぜ眠らないかということに、「スマホの普及」や「仕事の忙しさ」、「勤勉さ」などが理由としてあげられますが、大きな要因のひとつとして「睡眠教育」の不足という点があります。
「睡眠教育」という言葉に「?」が浮かんだ方も多いですよね。睡眠が体にどんな効果をもたらすのか、どう大切なのかということを教えることが「睡眠教育」です。実は、海外ではメジャーな教育で、子どもから大人まで、この「睡眠教育」を受けている人が多く、睡眠を確保することに対して、日本とは教育段階で大きく意識が違うといわれています。
睡眠不足が経済におよぼす損失は3兆円以上!
2006年に日本大学医学部の内山真教授が発表された試算結果によると、睡眠不足や眠気による作業効率の低下、それに伴うさまざまなトラブルなどで、3兆4,693億円もの損失があるといわれています。睡眠不足を自覚していれば、「寝よう」という意思もでてきますが、判断能力が低下しているにもかかわらず、眠気を自覚していないということもあります。知らず知らずのうちに効率は下がり、トータルで見たとき、仕事の遅れが目立ち、大きなミスをしてしまうということもあるのです。
一昔前、受験の格言に「四当五落」というものがありました。4時間睡眠で勉強に勤しんだ者は受かり、5時間睡眠を取った者は落ちるというものです。実際のところはよくわかりませんが、日本には、目的のため、成果のために睡眠時間をけずるという習慣が今もまだ色濃く残っていると感じます。そんな状況ですから、日本で長時間睡眠が美徳となるにはまだまだ時間がかかるかもしれませんが、それぞれが適切な睡眠と休みをとるなどして、少しずつでも睡眠との付き合い方を変えていけるといいですね。
<参考サイト>
厚生労働省健康局:健康づくりのための睡眠指針2014
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
厚生労働省健康局:健康づくりのための睡眠指針2014
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
ある国について、あるいはその社会についての詳細な実状は、なかなか外側からではわからないところがあります。やはり、その国についてよくよく知るためには、そこに住んでみるのがいちばんでしょう。さらにいえば、たんに住む...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/20
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10


