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ヘルスケア産業で「稼ぐ」ことの重要性

医療とビジネスの健全な関係(6)ビジネススクールの役割

真野俊樹
中央大学大学院戦略経営研究科 教授/多摩大学大学院 特任教授/医師
概要・テキスト
ヘルスケア分野では「稼ぐ、もうかる」ということはあまり語られてこなかったが、国の予算で医療費がカバーできない状況が迫っている今、きちんとしたビジネスモデルを持ってヘルスケアを考えるのは必須のことなのだ。シリーズ最終話では、ビジネスとしてのヘルスケアを学ぶ意味、およびビジネススクールの役割について論じる。(全6話中第6話)
≪全文≫

●ビジネススクールでヘルスケアを学ぶわけ


 前回、アジアがヘルスケアビジネスの一つのターゲットになるのではないかという話をしました。それ以前にも高齢化が進むに当たって、地域包括ケアというコンセプトが出ました。しかし、課題はいかに持続可能性を担保していくかということであり、そこでお金のことも含めてビジネスモデルを考えなければいけないという話をしてきました。

 そのようなことで、私としては、今すぐにこれをやると良いという解決策は提案しにくいのですが、ビジネススクールでヘルスケアというものを考えて、新しいビジネスモデルをどんどんつくっていこう、そしてそれを世の中に発信していったり、場合によっては起業していく、というようなことができるのではないか、と実は思っているわけです。それが、「ビジネススクールでヘルスケアを学ぶわけ」ということになるのです。


●ヘルスケア産業で「稼ぐ」ことの重要性


 もっというと、当然「ヘルスケア産業の中でいかに稼ぐか」という話になります。ヘルスケアの世界は、もともとあまり「稼ぐ」という表現は好きではない人が多いのですが、国の予算、つまり税金や保険料の中だけで、どこまでそれが維持できるかというのは、もう時間の問題だと思います。消費税などを例えば25パーセントとかにすれば別ですが、全て国の予算でできない時期が来るということです。そのような状況ですから、稼ぐことの重要性を改めて考えた方が良いと思います。その意味で私の最新の著書は『医療で「稼ぐ」のは悪いことなのだろうか? 医療立国の可能性、その課題と展望』(薬事日報社)です。

 ストレートにいうと、例えば、日本の病院に海外のお客さんが多く、そこが自由診療で結構なお金を獲得していたとします。そうして、最先端の医療機器を買いました。つまり、外国人の患者さんから稼いだお金で、最先端の医療機器を買った、ということです。では、そこに日本人が患者として行ったとき、その医療機器を使ってもらえないのかといえば、それは使ってもらえるわけです。

 ですから、日本のお金だけではなく、外国人のお金だけれどもそれが結果的に日本に還流してくるといったこともあり得ます。あるいは、そういうこともしないと、逆に診療報酬の中だけでは最先端の医療機器が買えなくなるような時代も来るかもしれないということです。そういう意味で、「稼...
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