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本当のことは「身も蓋もない」、身も蓋もあるのは「きれいごと」

魂の芸術(9)本当に社会を動かす「悪」の力とは

概要・テキスト
「家族を捨てた人間は冷たい悪人だ」というなら、仏陀は、まちがいなく「冷たい悪人」の代表例になってしまうだろう。逆にいえば、それが真実なのだ。女房子どもも捨てるような非情な男でなければ、社会を指導するなどということは無理な場合がある。極端に言えば。それがわかる社会に、もう一回戻らないとダメなのだ。そういう意味で、「悪人じゃないとダメ」であり、「悪いことをするのが正しい」と考えるべきだ。(全10話中第9話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:10:22
収録日:2019/09/11
追加日:2020/01/03
カテゴリー:
≪全文≫

●今の政治家は全員、芸能人


―― 幕藩体制にしても、徳川家康がうまく作った統治の仕組みが、ある段階から形式主義になってしまいました。

執行 絶対なります。

―― 形式主義で動いて、「お前はこの畳の後ろの2枚目に座れ」とか全部やっていたわけです。そんなことをやって行き詰まったおかげで、ペリーがきた時に老中が阿部正弘だったこともあり、勝海舟や小栗上野介が登用され、福沢諭吉も蕃書調所に潜り込めた。目利きがいると、別選の人が出てくるわけです。勝の系譜でいけば、最後は竜馬の弟子の陸奥宗光まで出てくる。

 でも、結局あのくらいでしょうか。あの時代は金銀交換比率を間違えてしまい、ものすごく米が上がってインフレになりました。経済がガタガタになって、混乱の幕末が10年あって、明治国家ができてから西南の役まで10年、この20年で再構築するわけです。人材の見つけ方も変わるし、登用の仕方も変わります。ああいう感じでしょうか、今の日本に求められるのは。

執行 少し違います。あの時代は大衆がそれほど力を持っていません。だから人材を選べました。貧乏人だろうが何だろうが。人材を選ぶエリート層、つまり武士階級がいましたが、今はいないですから。

―― 武士階級のような、しっかりしたところもなくなってしまった。

執行 昔は階級社会ですから。ヨーロッパも階級があって、エリート階級の人間が、貧乏人の優秀な子どもを選ぶわけです。では今、誰が選ぶかというと、大衆です。大衆は芸能人しか選びませんよ。

 大衆が悪いわけじゃないんです。大衆というのは、そういうものなんです。だから今の政治家は全員、芸能人だというのです。だって人気取りだけですから。自分の人気取りをしている人間を芸能人と言うのです。人気があるほど偉い。これは悪いのではなく、芸能とはそういうものなのです。だから必然的に選挙制度の政治家は、芸能人になるのです。

 芸能人は武士でもないしエリートでもないのですから、これはもう無理です。だから日本はきついです。アメリカのほうがまだましで、選挙制度と言っても日本みたいに本当に信じているわけではなく、キリスト教もまだ生きています。もっと違う要素が入っていて、日本みたいに選挙制度で政治が全面的に動いていません。ヨーロッパもそうです。

―― 日本は選挙制度から議会制から、欧米から持ってきました。でも彼らは...
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