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自己の魂を信じ、そのなかに芸術を押し込めよ

魂の芸術(6)「自分が愛する芸術」を持つ大切さ

概要・テキスト
芸術作品について、誰かの解釈を信じたら、その芸術は自らの魂には響いてこない。どの芸術に、どのようなつながりがあるのか。精神的な連関性はどこにあるのか。それらはすべて自分自身で感じ取るべきものなのである。自らの魂に感応した芸術作品を愛し抜き、自分自身の魂に押し込んでいく。そうすることによって、自己の魂は成長していくのである。(全10話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:10:55
収録日:2019/09/11
追加日:2019/12/13
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≪全文≫

●山口長男―宇宙の力を凝縮する


執行 ここにあるのは山口長男(ちょうなん)の絵です。彼は武蔵野美術大学の教授で、戸嶋靖昌が若いころ、芸術論を学んだときに一番影響を受けた画家です。本名は「たけお」で、戸嶋と平野は無名でしたが、山口長男はすごく有名です。これは「聚(しゅう)」(集まるの意)という題名で、僕は「縄文の魂」を感じます。日本の縄文時代の魂の原点を感じます。

―― 原日本人ですね、縄文ですから。やはり直感力というか、超越した知性が要るのですね。

執行 そう思います。そしてこの山口長男が、戸嶋に一番影響を与えています。見比べると全然違いますが、実は山口長男の持っている宇宙的な力から、戸嶋は自分の画風を引き出しているのです。

――山口から戸嶋に行くという流れが、よくわからないですね。

執行 一般にはわかりませんが、山口長男は、言葉は少し難しいのですが、宇宙の力を絵画に凝縮している人です。だから宇宙から地上に降り注ぐ力を、いろいろな形で表しています。この「生」という作品もそうです。だから山口長男から学んだ人は、宇宙のエネルギーを絵画に落とし込むことができる。その原点が山口の絵なのです。

 平野遼も、山口長男が先生ではないですが、山口長男をすごく尊敬していたことが後でわかりました。平野遼の絵画も、山口長男の絵が元にあるのです。そして山口長男の絵の中でも特に遠心力を自分の絵の中に取り入れたのが戸嶋で、求心力を取り入れたのが平野遼なのです。

―― やはり影響しあうわけですね。

執行 全部そうです。共振なのです。

―― 先生には、それが非常に見えるのですね。

執行 全部わかります。これとこれがつながり、あれが出てきたなとか。これも正解が何かをわかっていたら、もう出てきません。

―― 誰かの解釈を信じるだけで、自分で感じ入ったものではないから。

執行 これはもう「間違っていい」と思わなければ、できません。ただ面白いもので、たとえ独断と偏見で出した解答でも、いずれそれが本当にそうだったと、後から資料でわかることが結構多いのです。

―― 後からわかってくるのですね。最初は直感でも、その後は何度も見ながら考え続けるわけですからね。

執行 もちろん、そうです。

―― ここが違うところですね。

執行 ハイデッガーもそうですし、学問も取り入れて、いろいろ見ている...
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