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なぜ「魂を燃焼させる」芸術を後世に残すべきなのか

魂の芸術(3)芸術だけが魂を賦活する

概要・テキスト
芸術だけに、魂を揺さぶる力がある。だからこそ、そのような芸術を集め、後世に残していかなくてはならない。感性は「頭」ではよみがえらない。「心」からよみがえるのである。200年後、もし日本人の魂がもう潰れていたとしても、残された芸術を好きになってくれる人がいれば、「燃えるような魂」がその人の魂の中で、必ずや生き返ってくる。(全10話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:13:10
収録日:2019/09/11
追加日:2019/11/22
カテゴリー:
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≪全文≫

●命を吸い上げるものが素晴らしい


―― 宗教がなくなった時代には、もう芸術しかなくなったのですね。

執行 いろいろなものを見渡して、今でも魂を燃焼して、全生涯を犠牲にしてでもいいというのは芸術だけです。悪い言葉で言うと、芸術が人間の命を吸い上げるのです。でも、命を吸い上げてくれるものがなければ、人間というのはダメなのです。

―― 命を吸い上げてくれるものがあるから、どんどん向上できる、成長できる。

執行 向上して、ボロボロになって死ぬことができる。「愛する」だってそうです。誰かを愛したら、その人に命を取られてしまいます。愛した人間の命を取り上げるのが「愛された」ということで、同じ意味なのです。

 国だってそうです。だからいい国は、国民に死を命ずることができる。「国家のためにお前死ね」と言って、国民が喜んで戦争に行って死ぬ。そういう国家が、やはり歴史上、素晴らしい国家です。

 ローマ帝国が素晴らしかった頃もそうですし、有名なテルモピュレーの戦いでレオニダス率いる兵士たちは、スパルタという国家のために全員が喜んで死にました。読んだ人は、みんな感動すると思います。あれもスパルタという国家が、みんなの命を吸い上げたのです。

―― だからスパルタは覇権国家になるわけですね。

執行 素晴らしいわけです。だんだん没落しますが、勃興期は素晴らしかった。明治の日本も、近いものがありました。

―― 日露戦争くらいまでは、それがありましたね。

執行 日露戦争が限度です。あれから、なぜか日本人も傲慢になって、自分の国が大したものだと思いだした。

―― おごりが出てくるのですね。

執行 それでおかしくなったのです。よく言われるように、武士がいなくなって、おかしな学校出ばかりが偉くなったから。

―― 江戸時代の教育を受けた将軍が残ってるあいだは、まだ強かったけれど。

執行 乃木希典をはじめ、江戸時代の教育を受けた人が司令官だった最後が、日露戦争です。あそこまでは、人間がまだ生きていた。

―― 同じ軍隊とは思えません。

執行 明治の軍隊と昭和の陸軍では、もう別の国です。

―― それはマッカーサーも言っています。

執行 明治の日本には、マッカーサーも感動しています。

―― マッカーサーの父親が、乃木希典や東郷平八郎らを見ています。

執行 アメリカ海軍のニミッツ提督も...
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