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横井小楠に学ぶ、日本の特性を生かした世界との向き合い方

日本の特性とは何か~「日本的」の本質(7)異文化とどう向き合うか

田口佳史
東洋思想研究家
概要・テキスト
横井小楠
日本は「安堵感」や「鋭い感性と深い精神性」という素晴らしい特性を持っているが、日本は世界とどうつきあっていくべきか。その方法、考え方を、西欧列強と対峙した激動の幕末・維新期の思想家・横井小楠に学ぶ。シリーズレクチャー「日本の特性とは何か」最終話は質疑応答編。(全7話中第7話)
時間:06:06
収録日:2020/01/08
追加日:2020/06/10
キーワード:
≪全文≫

●海外の異文化とつきあうとき、日本の特性をどう考えればいいか


田口 今回のシリーズでは、なぜ日本的というものが必要なのかということで、日本の転換期の在り方と、それから日本的というものの意味合い、そのスタートの概念、また持っていただきたい知識などについてお話をしました。何かご質問があればお答えしたいと思っています。

―― 日本の特性である「安堵感」「鋭い感性と深い精神性」は本当に素晴らしい。一方、海外の異文化と向き合うとき、そこがお人好しのような感じで出てしまい、弱点になってしまうのでは。海外の政治や経済を見ると、腹黒くて普通というところもあるからです。先生はどうお考えでしょうか。

田口 横井小楠は、次のように言っているんですよね。当時、西洋列強がものすごい軍事力で日本に、というよりアジアにどんどん攻めてきた。あれをどう受け取るかによって全然事態は変わるんだよと。

 そこで、「横井、あなたはどういうふうに受け取るのか」と聞かれた。当時、大方の日本人は攘夷思想で、要するに外国人はみんな叩き切るという、そういう非常に乱暴な、つまり人間のやることじゃないと言っているわけですよね。

 そこで、われわれはどうするか。西洋が近代西洋思想を持って日本の思想、主に儒教に対して挑戦してきたんだ。どっちが勝つかやってみようじゃないかと言ってきたんだよと。したがって、われわれは儒教をもう1回整然と整備し直して、逆に西洋思想を育んでやらなきゃいけないんだと。

 具体的にいうと、どういうことか。ああそうか、領土が欲しいかと。それで来たんだなと。欲しけりゃいくらでもやるけどね。要するに領土を取るというのはなかなか大変だよ。取った後がすごく大変なんだよ。それよりは、どうだ、一緒に協力して、あなたの国を世界一の富んだ国にするという、そういうことのほうが、死人も出ないし、いいんじゃないか。そこには東洋道徳、西洋技術という考え方があって、われわれは道徳を、基本のほうを提供するから、あなたのほうは技術を提供して、お互いに発展繁栄の道を、共生観を持って歩んでみたらどうかといって、西洋人を育んでやる。その気持ちがないと、争ってしまうのです。


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