戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
昭和陸軍の派閥抗争には三つの要因があった
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(2)派閥化の要因
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
大正時代は大正デモクラシーといわれるように、非常に爛熟した消費文化がはやった時代だとイメージする人は多いが、実際は違っていた。脆弱であったし、非常に日本がもがきだした時代であった。外在的要因によって昭和の陸軍の大きな派閥抗争につながっていくのだが、そこには三つの要因があったという。(全7話中第2話)
時間:10分05秒
収録日:2018年12月25日
追加日:2022年8月19日
≪全文≫

●大正時代は日本がもがき出した時代だった


中西 このバーデン=バーデンの盟約から全てが始まってくるわけですけれども、こういう問題意識を持っていたのは彼らだけではなく、当時のエリートたちは軍人に限らず皆、そう思っていました。日本はこのまま遅れた農業国家で、あるいは第一次大戦で急速な工業化が進んだけれども、戦争が終わると途端に脆弱な馬脚を現して、長期不況に陥りそうな情勢だったわけです。その中で、日本を現代国家として、現代、つまり当時の1920年代の現代の世界の第一線の国として立ち向かえるように、主に戦争、総力戦というものを頭の片隅において新しい国家づくりを考えるという問題意識で出発します。

 これが昭和20年に至る、その後の四半世紀の日本の大きな方向を決める象徴的出来事でした。ですから、大正時代はわれわれのイメージでは非常に繁栄して、日本は三大国の一角である、あるいは国内の民主化が進んで大正デモクラシーといわれた、あるいはモボとかモガとか、非常に爛熟した消費文化がはやった時代だと、今、イメージする人は多いと思うのですが、実は大正時代は非常に日本がもがきだした時代なのです。

 我が国が世界に比して、世界に伍して明治の時代に一所懸命、坂の上の雲を目指して駆け上がってきたが、これでは駄目だ、世界から遅れている、と「落伍する日本」という時代です。特に、第一次大戦にフルに参戦した国々が、よくも悪しくも超速の近代化を遂げたわけです。戦争はすごいものですね。

 特に第一次大戦は国家総動員戦ですから、それが当たり前になって、イギリスをはじめとして、高度な近代産業を中心とする消費社会が生まれたわけですが、翻って日本を見れば、第一次大戦からは距離を置いて、非常に楽な、お金もうけだけができるチャンスが多くて、交戦国にどんどん輸出をし、日本産業は未曽有の発展をするわけですが、結局のところ、それは本当に身に付いた産業の発展にならなかったことが、戦後すぐ明らかになります。大正9(1920)年の不況で、途端に不況に陥ってしまいます。そんな国は日本だけなのです。それほど脆弱でした。

 あるいはナショナリズムが戦後どの国でも非常に強まります。いわゆる「ウィルソンの民族自決主義」というものが、ものすごく法外としてアジアにまで及んできます。朝鮮半島では三・一万歳事件が起こり、日本からの独立に向け朝...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(4)ダーウィンの進化論と自然淘汰の理論
『種の起源』…ダーウィンとウォレスの自然淘汰の理論
長谷川眞理子
逆境に対峙する哲学(9)先人の知恵という友
本居宣長も白隠もハイデガーも友となる――大切なのは?
津崎良典
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(6)秀吉との信頼関係と秀長の軍事能力
文武両道の名将…大大名たちを魅了した秀長の器量とは?
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文