テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
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だんじりと一緒で、絵を描くときは「勢い」「迷わない」

勢いと余白(3)マグマのようなエネルギー

概要・テキスト
子どもの頃からだんじりを曳いていたコシノジュンコ氏は、絵も「勢い」で描く。だんじりは「一気」「団結」が重要だが、それと同じで、迷うとおかしくなってしまうからである。また三姉妹で競走しながら育ったため、自分の個性を大事にしてきた。三姉妹はよく「似ている」と言われるが、共通点は「親が一緒」という以外ない。ただ母親は三姉妹に「どの指切っても痛いねん」と言ってくれた。そんななかで育ったコシノ氏は、絵は「頭」で描いているのではないという。(全11話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:09:57
収録日:2022/10/06
追加日:2022/12/30
カテゴリー:
≪全文≫

●迷うとおかしくなるから、ためて「エイッ!」っとやる


コシノ 三姉妹でも、私がだんじりを曳いていたんです。今でも帰ったら、まず法被を着ます。

執行 そうですか。

コシノ そう。全然変わりません。

執行 子どもの頃から曳いていましたよね。

コシノ そうです。やめられなくてね。 「もう、いい加減にしいや」みたいな感じです(笑)。だけど、やめられなくて。それが自分の勢いの中に、精神的にずっと尾を引いている。だからこれは自分自身の個性であり、宝ですよね、きっと。

執行 宝というレベルじゃない。そのものです。

コシノ だから絵を描くときに、私は「勢い」なんです。「迷わない」。迷ったりすると転んでしまうのです、だんじりは。「一気」なんです。

執行 あれは、そうですね。

コシノ もう一気、団結、バッと行かないと。それには「ためる」のです。ためないと。ためるときの、この変な空気がいいんです。

執行 爆発ということ?

コシノ ためて、ためて、「ウゥーッ」って行くんです。だんじりは、そうなのです。ゆっくりダラダラしているように見えますが、走る前に「ウゥー」という、この空気感がいいんです。見ている人も、全員息が止まる感じです。

執行 勢いがなかったら、かえって危険ですよね。

コシノ 勢いがないと曲がれないし、一致団結できないんです。そのようなものが私の絵にあると思います。

執行 全部あります。

コシノ 迷うとおかしくなってしまうのです。だから、ためて「エイッ!」っとやらないと。「ためる」というのが、すごく大切です。

執行 それはコシノさんの全てに表れていますね。ファッションもそうですが。

コシノ それと、ライバルの中で大きくなったから、「みんなと一緒」が嫌なんです。それぞれ自分の個性がないと生きていかれないみたいな。常に競争みたいな中で、何をやってもそうだったから、「オリジナリティ」とか「自分の生き方」とか「個性」というのを、しっかり持たないと流されてしまう。絵とか何とかではなく、人間の生き方が。そうやって小さい頃から育っているので、何かに見えてきますね。

執行 岸和田の持っていた、昔のいいエネルギーを、コシノ家の人間が、お母さんを含めて集約していますよね。岸和田という場所で歴史が育んだ一つの雰囲気があって、その雰囲気をコシノ家が収斂(しゅう...
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