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年齢を「なし」にすれば、みんなが平等になり面白くなる

勢いと余白(5)肉体にも年齢にも囚われない

概要・テキスト
コシノジュンコ氏はブロードウェイミュージカル『Pacific Overtures』の100着以上ある衣装のすべてを3日でデザインした。これは、江戸時代から、明治、さらに現代にまでわたる衣装のデザインだった。映画『火の鳥』の衣装デザインをしたときも、見えない古代と未来と、宇宙がつながっていると感じた。そもそもコシノ氏は「年齢なんて、なくていい」「年齢をなくしたら面白い」という。そう考えれば子どももみんな個性的に見え、むしろ子どものほうが自由であることがわかるというのである。これも岸和田に息づく「スサノオ」の精神かもしれない。最も身近なものを血肉にした人が、世界に通用する人になるのである。(全11話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:14
収録日:2022/10/06
追加日:2023/01/13
カテゴリー:
≪全文≫

●宇宙は、見えない空間や時代とつながっている


コシノ ブロードウェイで『Pacific Overtures』(ミュージカル「太平洋序曲」)をやったんです。そのときもニューヨークと東京で、今みたいにメールがあるわけではなく連絡が大変だから、お話が来て3日間で全部やったのです。江戸時代から現代まで、全部のデザインを一気にやったのです。やはり「勢い」というのは、気持ちが入れば、できますね。考えじゃなく、もう「ブワー」っと動くというのでしょうか。3日間でやりました。

執行 衣装?

コシノ デザインです。

―― 枚数でいうと、どのぐらいになるんですか。

コシノ 100点は軽いですね。

執行 100点ぐらいはあるでしょうね、あれ全部だから。

コシノ それも江戸時代、ちょんまげの時代、大名の時代、徳川の時代から、明治天皇になって、現代まで全部やるわけです。あまりにも違うのです。だけど、「私、そういうの弱いわ」と言いながら、できるものなんですね。その気にならないとダメですね。あれも、だんじりの力かな(笑)。

執行 そう、だんじりの中に入っている。

コシノ そうかもしれない。もう動いちゃって、「動くしかない!」みたいな。

執行 古代エネルギーですよ。原始、縄文の力。

コシノ 縄文なんです、私。

執行 だから古代エネルギーです。古代エネルギーは根源的には生命エネルギーです。だからコシノ作品は生命的なんです。私は理論でも「生命賛歌」というものを書きましたが、コシノ芸術の生命賛歌は、原始性なんです。

 私のコシノ芸術の理論でいうと、コシノ芸術は「未来の芸術」だと信じています。これから人間は、魂を大切にした「霊性文明」に入らなければならない。現に、入っていくと思っています。その時代を牽引する芸術だと思うのです。

 どうして未来の霊性文明を牽引できるかというと、古代を把握しているからです。古代が新しい時代を作るというのが、私は人類学の一つの理論だと思っています。

コシノ 私は『火の鳥』の衣装をやったときに、そういうふうに思いました。過去の原始的なもの、ゼロから始まって、そのずっと先の、見えない先まで宇宙でつながっていると思ったのです。

 だから、今、自分はここにいるけれど、見えない両方の世界ですよね、見えない想像の世界です。それと、宇宙はつながっている。宇宙というのは地球のこ...
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