●ボランティアがお金になる時代
執行 やはり伸びている時代は、明治にしても、本などに取り上げるものは優れたものに決まっているのです。
―― 高度成長期もそうですね。
執行 もちろん、かわいそうな話もあります。でも、かわいそうな人は主人公ではない。それは陰で助けるもので、人に言うものでもないし、当たり前のことです。人助けは、人に言うことではないのです。言ったところで、もう本当の人助けではなくなる。
―― 陰徳ではなくなるからですね。
執行 そうです。ボランティアなんて、今はスタンプがあって、社会評価の対象になっています。でも、ボランティアは評価されないからボランティアなのです。
―― 確かにそうですね。
執行 収入もない。評価も受けない。だからボランティアだったはずなのに、今やそれがお金になるし、評価基準になっている。
―― すごい話ですよね。
執行 でも現実に今そうなっています。そういうところまで来ているということです。だから、最初の話に戻ると、今一番みんなが嫌がるのは強い者を応援することです。でも強い者、優れた者を応援しないなら、国は衰退の一途です。
勉強なら、できる子が得をする。できる子が便利になる。できる子が褒められる。できる子のために何かやる、ということ。でも、それらをやっても多分、今は社会的評価はされない。なぜなら社会全体が悲観主義だから。
―― 悲観主義で、妬みと嫉妬。
執行 そうです。社会全体がそうなのです。
●明治維新を遂行した縁の下の力持ち
執行 社会全体が楽観主義だった時代が明治などです。
―― やはり明治は偉大な時代ですね。そのバックボーンは江戸期の教育ですよね。
執行 それから先ほど言った、高木兼寛や三島通庸。全員、武士ということです。
―― やはり武士なのですね。
執行 出身が。だから、高木兼寛の奥さんも士族の娘ということです。高木兼寛も武士の子だから。
―― やはり武士階級がいた時代の明治は強いのですね。
執行 (以前に)「テンミニッツTV」で話したと思いますが、日本の武士階級が、もともと英国で言えばジェントルマンですから。
―― 特に500石、600石がいいわけですね。
執行 私の家は600石でした。この辺が一番素晴らしい。手前みそで言うのではなく。
―― (『鬼平犯科帳』の)長谷川平蔵みたいな人が出てくるわ...