●フランスをはじめ戦勝国は日本以下になってしまった
―― 先生に薦められて(ダグラス・マレーの)『西洋の自死』を読みました。やはりすごくいい本でした。けれど、あれを書いた人がどこかに行ってしまったのですね。
執行 社会から抹殺されました。あれだけ売れてしまうと……。
―― 30万部も売れてしまったから。
執行 売れなかったら見逃してもらったでしょうが、あそこまで売れるとダメです。
―― でも書いてある内容はすごかったですね。
執行 そう。真実だから。
―― 選挙で選ばれるために「票だけ欲しい」となってしまうと、あのようになるわけですね。
執行 私は選挙のことも前から言っていますが、民主主義がダメというのではありません。ただ、選挙制度がある限り、絶対に多数派にしか正義はないのです。だから、必ず国は滅びます。エリートが作られないのだから、しょうがない。
―― そうですよね。
執行 システムがもうダメです。私は小学校で、選挙制度が国を潰すと気づきました。本を読み、いろいろ勉強して確信を持ちました。だから、選挙は一回もしたことがありません。反対だから、人から何と言われようと。
民主主義は選挙がなくても作れます、エリート層があれば。エリートがいろいろ考えて、いろいろな政治システムを作らないとダメです。エリートというのは、やはり教育システムなのです。
―― ヴィクトリア朝は、それがすごくうまくいっていたわけですね。
執行 だから、英国は18世紀、19世紀に成功しました。あれだけ膨大なシステムでも、ジェントルマンと認められている人たちは、一番いたときでも2万人です。
―― わずか2万人。
執行 今の選挙の票で言えば2万票です。それでもエリートになるような人は、2万票で大英帝国をつくれたのです。
―― 本当にすごいですよね。
執行 その英国ですら、今はパブリックスクールやオックスフォード、ケンブリッジのエリート教育は、民主主義の名のもと、できないのです。
―― 本当に出なくなりましたね。イートン(校)に行って、オックスフォード(校)に行って(といった人たちから)。
執行 ヨーロッパ人は今、最悪です。直接会うと日本人以下。私はずっと戦後レジーム(体制)がこの日本をダメにしたと思っていました、60歳まで。でも違います。
―― 違うのですか。
執行 私は間違っていまし...