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「評価されたい」と思わなければ人間は自由になれる

価値と人間(2)「50点でいい」と思う勇気

概要・テキスト
人間にとって最も尊い思想は「人間はみんな平等」ではない。それよりも、「家族が一番大切」という価値観のほうが尊い。人間は神ではないから、最善のものなどあるわけがない。必ず欠点がある。だから、最善を狙わない。つまり、全ての子どもを愛するのではなく、自分の子どもを愛することが人間の出発点なのだ。大事なのは、最善を目指さず、「50点でいい」と思う勇気を持つこと。そうすれば自由に生きることもできる。(全8話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11:09
収録日:2024/01/31
追加日:2024/04/05
カテゴリー:
≪全文≫

●「人間はみんな平等」は、実は優しさでも何でもない


執行 ヨーロッパとアメリカは、ヒューマニズムを自分たちがやっていたので、今はもう首を絞められて動けない。今、動けるのは日本しかありません。日本はヒューマニズムではなく、もっと尊いものを持っていた国ですから。

―― もともと武士道があったし、武士階級があったからですね。

執行 もちろん慈悲や情けは大切ですが、もっと大切なものがあるということを、文化としてずっと持っている国です。だからできると思います。

―― 「もっと崇高なものがある」という意識を持っていた国ですね。

執行 そうです。だから前回に言った、イヴァン・イリイチがいつも言っているローマ帝国のことわざになるのです。ローマ帝国で一番重んぜられていた教養人の「教養の根源とは何か」ということを、当時の哲学者がたくさん書いています。そのときに必ず出てくる言葉がこれで、(つまり)ローマ帝国の時代に教養人とは何かというと、「最善の堕落したものが最悪である」ということをわかっているかどうか。つまり、ヒューマニズムは最悪なのです。

 実は本当に国家や人の役に立てるのは、もう少し綺麗ではないということなのです。

―― そういうことですね。

執行 だから、「人間はみんな平等」というのは、実は優しさでも何でもない。もっとわかりやすく言うと、人間にとって一番尊い思想は、「自分の家族が一番大切」ということなのです。

―― なるほど、自分の家族が一番大切だと。

執行 人に何と言われようと、自分の子どもが一番かわいい、自分の家族が一番いいと思うことが、一番正しい。そこから出発しなきゃダメということです。そして次は、親孝行です。例えば昔は、親孝行な人間しか会社は採りたがりませんでした。

 なぜなら、まず親を尊敬する。親を尊敬している人が学校に上がれば、先生を尊敬します。先生を尊敬している人が社会に出ると、会社の社長などを尊敬します。だから親孝行な人しか、昔の会社は採らなかった。

―― なるほど。

執行 私の父は大秀才でしたが、大学を出るときにものすごく心配したのは、父親が10歳で死に片親だったことです。結局、三井物産に入りましたが、成績トップで、大学もいい、全てがいいのに心配で心配でしょうがなかったのは、片親だからなのです。

―― なるほど。

執行 そのくらい、いい...
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