本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
トーチカを占領できたのは日本軍をはめるための罠だった
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(14)土鼠退治と高笑い
渡部昇一(上智大学名誉教授)
1937年から始まる第二次上海事変の戦闘は実に熾烈を極めた。しかし、当時の歌『上海便り』は非常に勇ましく、日本軍は苦戦の末、土鼠(もぐら)退治のようにトーチカを占領していった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第一章・第14話。
時間:1分33秒
収録日:2014年11月17日
追加日:2015年8月13日
≪全文≫
 それにしても、上海での戦闘は実に熾烈であった。名古屋の第三師団の兵隊さんがかなりたくさん戦死している。にもかかわらず当時の歌は非常に勇ましく、「拝啓 御無沙汰しましたが」という歌詞から始まる『上海だより』には、「隣の村の戦友は 偉い元気な奴でした 昨日も敵のトーチカを 進み乗っ取り占領し 土鼠(もぐら)退治と高笑い」というフレーズがある。

 歌にある通り、日本軍は苦戦の末、土鼠退治のようにトーチカを占領していったのだが、それらはすべて、日本軍を嵌(は)めるためにあらかじめ構築されていた罠だった。

 蔣介石は、日本陸軍がドイツを手本に近代化されたことに範を取り、ワイマール共和国の参謀総長まで務めたゼークト将軍を軍事顧問団代表に招聘した。彼の跡を継いだファルケンハウゼン将軍が、第二次上海事変を含む軍事指導を行なっている。機関銃で武装されたトーチカ陣地を構築したのも、彼ら軍事顧問団の力によるものだった。日本軍に仕掛けて戦争になったら、このトーチカ群によって日本軍を撃滅しようという構想であった。

 このような準備がしてあったからこそ、盧溝橋事件や通州事件で日中の緊張が高まったことを受けて、シナ側は上海で戦争を仕掛けたのである。盧溝橋事件以後、蔣介石は第一次上海事変後に結ばれた協定に違反して十個師団もの軍隊を非武装地帯に配備していた。

 しかも上海で戦端が開かれる前には、上海にいた大山勇夫海軍中尉が殺害される事件まで起きていた。大山中尉は機関銃で射殺されたうえに、青竜刀で頭を真っ二つに割られていたという。

 シナ側は大山中尉がピストルでシナ兵を殺害したので反撃したと主張した。だが、日本軍がシナ兵の遺体を解剖してみると、出てきたのは小銃の弾丸であった。大山中尉は小銃など持っていなかった。つまり、シナ側の偽装だったのだ。

 さらシナの偽装保安隊1万千人が協定を無視して入ってくる。そしてシナ軍が上海の日本人居留民を守っていた海軍陸戦隊を攻撃し、爆撃まで仕掛けてきたことは、先に述べた通りだ。

 あの東京裁判さえ、シナ事変は日本軍の侵略だと裁くことはできなかった。なのに、この戦争がどうして日本の「侵略」なのであろうか。

 そもそも日本軍が中国にいたのが悪かったという人もいる。だが、たとえば盧溝橋事件が起きた地域に日本軍が駐留していたのは、北清事変(明治33...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
江戸とローマ~日本酒とワイン(2)ローマの酒文化とファストフード
ポンペイのファストフード店、遺跡が物語るローマの酒文化
本村凌二