本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか
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エース・パイロットが語った戦場でのもう一つの真実
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(11)上層部は身内をかばい、責任は現場に
渡部昇一(上智大学名誉教授)
上層部が身内をかばい、責任を現場に押し付ける――いつの時代にもあるこのような構図が太平洋戦争中の海軍においても見て取れた。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第一章・第11話。
時間:2分21秒
収録日:2014年11月17日
追加日:2015年8月13日
≪全文≫
 南雲中将はミッドウェー海戦で敗れたあと、南太平洋海戦(昭和17年〈1942〉)で、空母翔鶴と重巡筑摩が大破、空母瑞凰が中破のほか飛行機損失92機などという被害を受けながらも、米空母ホーネットと駆逐艦ポーターを撃沈、駆逐艦スミス大破、空母エンタープライズ中破という戦果を上げ、昭和19年(1944)3月にサイパンに司令部を置く中部太平洋方面艦隊の司令長官になった。

 南雲中将は赴任前の壮行会で「今度という今度は白木の箱か男爵様だ」と述べている。死ぬ覚悟があるのはいいのだが、その覚悟が先に立ちすぎて、島の防衛策構築が徹底しなかったという評もある。

 話が前後するが、南雲機動部隊の参謀長を務めた草鹿龍之介少将(のち中将)は、ミッドウェー海戦に敗れたあと、山本大将に呼び出され、涙ながらにこう訴えたと半藤氏は書いている。

〈おめおめと生きて帰れる身ではありませんが、ただ復讐の一念にすがって、生還して参りました。このままでは何としても死ねません。できれば今一度、特別のお計いで現職のまま陣頭に立たせ、死に場所を与えていただきとうございます〉
(半藤一利『指揮官と参謀』〈文春文庫〉)

 山本大将は一言、「承知した」と答えたという。

 ここに、上層部の偉い人たちが身内をかばう構図が見て取れる。普通の組織ならまだしも、軍内でそういうことが常態化すると、責任者の信賞必罰はどんどん希薄化し、むしろ現場にどんどん責任が押し付けられることになっていく。

 戦後、ラバウル航空隊のエース・パイロットだった坂井三郎元一飛曹(最終階級は中尉)が書いた『大空のサムライ』(光人社)が世界的なベストセラーになったが、その続編である『続・大空のサムライ』(同社)の中に、不幸にして被弾し、海上に不時着したあと現地人に保護され、紆余曲折を経て帰還した中攻(中型陸上攻撃機)の搭乗員たちの話が出てくる。

 坂井氏は平成4年(1992)、この搭乗員たちについて、日本外国特派員協会での講演でこう述べている。

〈連合艦隊司令長官・山本五十六や軍令部総長は、この搭乗員たちを許さなかったんで
す。捕虜になったやつらだと。ぜひこいつらは処刑しろということで、私たちがラバウルに行っておりましたときに、その8人の搭乗員は、森玉部隊(注:第四海軍航空隊。司令・森玉賀四大佐)という中攻隊に回されまして、軍令部...

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