本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
エース・パイロットが語った戦場でのもう一つの真実
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(11)上層部は身内をかばい、責任は現場に
渡部昇一(上智大学名誉教授)
上層部が身内をかばい、責任を現場に押し付ける――いつの時代にもあるこのような構図が太平洋戦争中の海軍においても見て取れた。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第一章・第11話。
時間:2分21秒
収録日:2014年11月17日
追加日:2015年8月13日
≪全文≫
 南雲中将はミッドウェー海戦で敗れたあと、南太平洋海戦(昭和17年〈1942〉)で、空母翔鶴と重巡筑摩が大破、空母瑞凰が中破のほか飛行機損失92機などという被害を受けながらも、米空母ホーネットと駆逐艦ポーターを撃沈、駆逐艦スミス大破、空母エンタープライズ中破という戦果を上げ、昭和19年(1944)3月にサイパンに司令部を置く中部太平洋方面艦隊の司令長官になった。

 南雲中将は赴任前の壮行会で「今度という今度は白木の箱か男爵様だ」と述べている。死ぬ覚悟があるのはいいのだが、その覚悟が先に立ちすぎて、島の防衛策構築が徹底しなかったという評もある。

 話が前後するが、南雲機動部隊の参謀長を務めた草鹿龍之介少将(のち中将)は、ミッドウェー海戦に敗れたあと、山本大将に呼び出され、涙ながらにこう訴えたと半藤氏は書いている。

〈おめおめと生きて帰れる身ではありませんが、ただ復讐の一念にすがって、生還して参りました。このままでは何としても死ねません。できれば今一度、特別のお計いで現職のまま陣頭に立たせ、死に場所を与えていただきとうございます〉
(半藤一利『指揮官と参謀』〈文春文庫〉)

 山本大将は一言、「承知した」と答えたという。

 ここに、上層部の偉い人たちが身内をかばう構図が見て取れる。普通の組織ならまだしも、軍内でそういうことが常態化すると、責任者の信賞必罰はどんどん希薄化し、むしろ現場にどんどん責任が押し付けられることになっていく。

 戦後、ラバウル航空隊のエース・パイロットだった坂井三郎元一飛曹(最終階級は中尉)が書いた『大空のサムライ』(光人社)が世界的なベストセラーになったが、その続編である『続・大空のサムライ』(同社)の中に、不幸にして被弾し、海上に不時着したあと現地人に保護され、紆余曲折を経て帰還した中攻(中型陸上攻撃機)の搭乗員たちの話が出てくる。

 坂井氏は平成4年(1992)、この搭乗員たちについて、日本外国特派員協会での講演でこう述べている。

〈連合艦隊司令長官・山本五十六や軍令部総長は、この搭乗員たちを許さなかったんで
す。捕虜になったやつらだと。ぜひこいつらは処刑しろということで、私たちがラバウルに行っておりましたときに、その8人の搭乗員は、森玉部隊(注:第四海軍航空隊。司令・森玉賀四大佐)という中攻隊に回されまして、軍令部...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(33)鎌田東二先生の法華経講義解説-2
【10min名作探訪】大丈夫だよと励ましてくれる『法華経』…鎌田東二先生の講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫