本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか
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リットン調査団の真実!もし調査が数年ずれていたら…
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(4)イギリスはわかっていた
渡部昇一(上智大学名誉教授)
満洲事変後の1932年に派遣されたリットン調査団の報告書も、日本を厳しく非難していない。また、清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の家庭教師だった英国人、レジナルド・ジョンストンの著書『紫禁城の黄昏』には、溥儀が満洲国の元首になるまでの皇帝周辺の事情が克明に記されていた。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第一章・第4話。
時間:6分13秒
収録日:2014年11月17日
追加日:2015年8月10日
≪全文≫
 一方で、イギリスはきちんと情報を分析していた。

 そう考えていくと納得できるのだが、満洲事変が起きたあと、昭和7年(1932)に国際連盟がリットン調査団を派遣し、そこには団長であるイギリス人のリットン卿を筆頭に、5カ国から調査委員が加わっているのだが、彼らが作成したリットン報告書も、不思議なことに日本をあまり厳しく非難していないのである。

 おそらくリットン卿は、現地における調査を重ね、張作霖爆殺事件や満洲事変における真相を知ったのだろう。だから、

〈問題は極度に複雑だから、いっさいの事実とその歴史的背景について十分な知識をもったものだけがこの問題に対して決定的な意見を表明する資格があるというべきだ。この紛争は、一国が国際連盟規約の提供する調停の機会をあらかじめ十分に利用し尽くさずに、他の一国に宣戦を布告したといった性質の事件ではない。また一国の国境が隣接国の武装軍隊によって侵略されたといったような簡単な事件でもない。なぜなら満洲においては、世界の他の地域に類例を見ないような多くの特殊事情があるからだ〉
(渡部昇一解説・編『全文 リットン報告書』〈ビジネス社〉)

 と、リットン報告書は日本の立場をかなり認めているのである。

 さらにいえば、リットン調査団が満洲を訪れる2、3年前に、あの『紫禁城の黄昏』が出版されていたら、何の問題も生じなかったと思う。

 『紫禁城の黄昏』は、清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀の家庭教師だったイギリス人、レジナルド・ジョンストンの著書である。

 ジョンストンは当時の世界的なシナ学者で、溥儀は彼を非常に信頼していた。ジョンストンは、昭和9年(1934)に出版された同書に、家庭教師時代から溥儀が満洲国の元首になるまでの皇帝周辺の事情や、清朝、中華民国における歴史的な動きなどを記している。

 大正十三年(一九二四)に軍閥の馮玉祥(ふうぎょくしょう)が起こしたクーデター(北京政変)により、溥儀は紫禁城を追われて北京内城にある醇親(じゅんしん)王府(北府)に住んでいた。ところが憑玉祥が北府に軍隊を差し向けてくる恐れも出てきたため、溥儀は、砂塵朦々(さじんもうもう)として警戒がゆるんだ風の日に、このイギリス人の家庭教師と一緒に逃げた。実は、そこが日本公使館なのである。

 日本公使は当惑しながらも、溥儀一行を丁重に処遇し...

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