本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
リットン調査団の真実!もし調査が数年ずれていたら…
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(4)イギリスはわかっていた
渡部昇一(上智大学名誉教授)
満洲事変後の1932年に派遣されたリットン調査団の報告書も、日本を厳しく非難していない。また、清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の家庭教師だった英国人、レジナルド・ジョンストンの著書『紫禁城の黄昏』には、溥儀が満洲国の元首になるまでの皇帝周辺の事情が克明に記されていた。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第一章・第4話。
時間:6分13秒
収録日:2014年11月17日
追加日:2015年8月10日
≪全文≫
 一方で、イギリスはきちんと情報を分析していた。

 そう考えていくと納得できるのだが、満洲事変が起きたあと、昭和7年(1932)に国際連盟がリットン調査団を派遣し、そこには団長であるイギリス人のリットン卿を筆頭に、5カ国から調査委員が加わっているのだが、彼らが作成したリットン報告書も、不思議なことに日本をあまり厳しく非難していないのである。

 おそらくリットン卿は、現地における調査を重ね、張作霖爆殺事件や満洲事変における真相を知ったのだろう。だから、

〈問題は極度に複雑だから、いっさいの事実とその歴史的背景について十分な知識をもったものだけがこの問題に対して決定的な意見を表明する資格があるというべきだ。この紛争は、一国が国際連盟規約の提供する調停の機会をあらかじめ十分に利用し尽くさずに、他の一国に宣戦を布告したといった性質の事件ではない。また一国の国境が隣接国の武装軍隊によって侵略されたといったような簡単な事件でもない。なぜなら満洲においては、世界の他の地域に類例を見ないような多くの特殊事情があるからだ〉
(渡部昇一解説・編『全文 リットン報告書』〈ビジネス社〉)

 と、リットン報告書は日本の立場をかなり認めているのである。

 さらにいえば、リットン調査団が満洲を訪れる2、3年前に、あの『紫禁城の黄昏』が出版されていたら、何の問題も生じなかったと思う。

 『紫禁城の黄昏』は、清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀の家庭教師だったイギリス人、レジナルド・ジョンストンの著書である。

 ジョンストンは当時の世界的なシナ学者で、溥儀は彼を非常に信頼していた。ジョンストンは、昭和9年(1934)に出版された同書に、家庭教師時代から溥儀が満洲国の元首になるまでの皇帝周辺の事情や、清朝、中華民国における歴史的な動きなどを記している。

 大正十三年(一九二四)に軍閥の馮玉祥(ふうぎょくしょう)が起こしたクーデター(北京政変)により、溥儀は紫禁城を追われて北京内城にある醇親(じゅんしん)王府(北府)に住んでいた。ところが憑玉祥が北府に軍隊を差し向けてくる恐れも出てきたため、溥儀は、砂塵朦々(さじんもうもう)として警戒がゆるんだ風の日に、このイギリス人の家庭教師と一緒に逃げた。実は、そこが日本公使館なのである。

 日本公使は当惑しながらも、溥儀一行を丁重に処遇し...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
AI時代と人間の再定義(5)AI親友論と「WE」という概念の問題
AI親友論って何?「Self-as-WE」と京都学派の思想
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(2)有志多国籍軍と西側同盟の可能性
国連改革は可能か…残されているのは「西側同盟」の可能性
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
プロジェクトマネジメントの基本(7)アジャイルプロジェクトと成功の鍵
発注側と受注側で異なるプロジェクトの成功・失敗要因
大塚有希子
会計検査から見えてくる日本政治の実態(3)戦後初となる補正予算の検査
繰越金が4割も…戦後初「補正予算の会計検査」の実態
田中弥生
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
齋藤純一