本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
東京裁判で不採用だった一級資料本『紫禁城の黄昏』とは?
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(5)田中隆吉vs『紫禁城の黄昏』
渡部昇一(上智大学名誉教授)
東京裁判では、関東軍参謀などを務めた田中隆吉を証人として重用し、多くのエピソードを語らせたが、誰が見ても第一級史料である『紫禁城の黄昏』の証拠書類としての採用は却下された。それはなぜなのか。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第一章・第5話。
時間:5分12秒
収録日:2014年11月17日
追加日:2015年8月10日
≪全文≫
 中華民国も昭和8年(1933)に日本との間に停戦協定である塘沽(タンクー)協定を結んでいるから、事実上、日本が満洲国に有する権益を認めていたことになる。ローマ法王庁をはじめとして、ドイツ、イタリア、スペイン、ポーランドなど21カ国が満洲国を承認し、ソ連も満洲国の領事館開設を認めている。

 当時は、欧米列強の植民地だった国々が独立した現在とは異なり、国家の数は多くなかった。国際連盟の原加盟国は42カ国だったから、世界の大半といってもよい数の独立国家が満洲国を認めていたのだ。

 ところが東京裁判では、全般的に信用できる第一級史料の『紫禁城の黄昏』を証拠書類として採用することが却下された。

 同書に記されている、溥儀が紫禁城から追われてから満洲国設立に至るまでの記述を証拠として取り上げれば、日本を侵略国家として一方的に断罪しようという東京裁判そのものの存在意義が失われてしまうからだろう。そのため満洲国は、いわば歴史から消されてしまったのである。

 そもそも満洲国の建国に最も反対したのはアメリカである。そのためであろうか。戦後、チベットやウイグルがシナの侵略を受け、弾圧され、国が消滅したことは国際的なニュースになったが、戦後、中国共産党の手によって満洲人たちが弾圧され、散り散りにされたことは誰も問題にしていない。戦争で日本に勝ったアメリカをはじめとする連合国は、「満洲国は日本の陰謀によってつくられた傀儡(かいらい)国家である」という立場を取っているから、その存在に触れることすら見送ったのだろう。それで満洲民族は現在では「消されて」しまっている。

 東京裁判は、『紫禁城の黄昏』を証拠書類として採用しなかったが、その一方で、関東軍の参謀や陸軍省兵務局長などを務めた田中隆吉を証人として重用し、多くのエピソードを語らせた。

 彼は関東軍参謀時代に内蒙古を独立させようとして謀略を行ない、失敗した男である。本来は戦犯になるはずだったが、東京裁判では検事側の証人として、検事たちがつくりあげた筋書きに沿った証言を行ない、戦犯指定を免れている。同僚の旧軍人たちが巣鴨プリズンに拘置されている頃、彼の自宅にはウイスキーから何から何まで物資が豊富にあったといわれている。

 田中隆吉は東京裁判で、あたかも、どんな場面でも第一証言者になれる立場にいたような口を利いていた。だ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
技術と民生から見た明治維新(1)遠藤謹助
遠藤謹助―造幣局をつくった「造幣の父」
山内昌之
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
編集部ラジオ2026(18)4種の「利き脳タイプ」分析
【10min解説】最終話に注目!4種の「利き脳タイプ」分析
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
メンタルヘルスの現在地とこれから(3)世代論とワークライフバランス
ワークライフバランスがストレス!?…仕事と家庭の両立は
斎藤環
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
飽食時代の「選食」のススメ(2)ファスティングの効用
ファスティングこそ究極のサプリメント!摂食・絶食の効果
堀江重郎
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子