本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜシナ事変が本格的な戦争にならざるを得なかったのか
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(13)シナ側が仕掛けたシナ事変
渡部昇一(上智大学名誉教授)
1937年7月7日に勃発したいわゆる盧溝橋事件は、シナ事変(日中戦争)の直接の導火線になったといわれるが、4日後には停戦協定に調印を終え、軍事衝突は一応収まっている。なぜ、この事変が本格的な戦争にならざるをえなかったのか。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第一章・第13話。
時間:2分56秒
収録日:2014年11月17日
追加日:2015年8月13日
≪全文≫
 このように、先の戦争をめぐって慨嘆したくなる事例はさまざまにある。「もう少し、このようにしてくれていたら」と思わざるをえないことも、いくつも数え上げられる。だが、そこに常に日本側の「悪」があったかのように解釈するのは、正しいことだろうか。

 半藤氏の本を読んでいて非常に気になるのは、常に悪い指揮官が登場し、その人物のせいでこうなったというストーリー展開が多いことである。

 たとえば昭和12年(1937)7月7日夜に、日本軍とシナ軍が衝突した盧溝橋事件が起きているが、そのとき日本軍は夜間演習をしていて、兵隊たちは鉄兜(かぶと)もかぶっていなかった。ところが夜10時半頃に日本軍が機関銃(空砲)を発射したところ、実弾の射撃を二度受けたのだ。

 半藤氏はさすがに、天津駐屯の第一旅団第一連隊長・牟田口廉也大佐(のち中将)の「敵に撃たれたら撃て。断乎戦闘するも差し支えなし」(『昭和史』)という独断命令でシナ事変が始まってしまった、というのは早計だとしている。

 だが半藤氏は、現地で9日に停戦協定が締結されたあとに、牟田口大佐が、

〈停戦協定を知らされ承知しながらも「中国側が協定を守るはずはない。危険性はかなり高い。その時に遅れをとってはいけない」と部隊に前進を命じたのです〉
(同書)

 と書いている。

 その結果、シナ軍が日本軍に向けて再度発砲し、それに対して牟田口大佐が攻撃命令を出したため、交戦状態に入ったのは事実だ。しかし、それをきっかけにしてシナ事変が「既定の事実として」(同書)始まったとするのはいかがなものか。

 11日の午後2時からの閣議で「あくまで事件不拡大・現地解決を強調する」「動員後も派兵する必要がなくなったならば、ただちにこれを中止させる」(勝田龍夫『重臣たちの昭和史 下』〈文藝春秋〉)ことが確認され、同日午後8時に、日本とシナの両代表は停戦協定に調印を終えている。結局、内地の三個師団の動員も中止された。つまり、この時点で日本とシナの軍事衝突は、一応は収まっているのだ。

 その後、7月29日に北京東方の通州という町で、200人以上の日本居留民(朝鮮人を含む)が冀東(きとう)防共自治政府の保安隊に残酷に虐殺される通州事件が起きているが、それでも北シナの情勢は収まった。

 ところが8月13日、上海の日本人居留民を保護していた日本海...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之

人気の講義ランキングTOP10
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
いま夏目漱石の前期三部作を読む(7)『門』に込められたメッセージ
『門』の主人公は神経衰弱…根拠を求める人の不幸とは
與那覇潤
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹