本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか
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張作霖爆殺事件はなぜ起きたのか?その真相に迫る
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(2)あの当時、相手側が何をしたのか
渡部昇一(上智大学名誉教授)
東京裁判は、日本の侵略戦争の始まりは満洲事変だと断定した。今回は、その遠因となった1928年の張作霖爆殺事件にスポットを当てる。果たして、この事件は世間でいわれるように日本陸軍の陰謀だったのか? 上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第一章・第2話。
時間:5分38秒
収録日:2014年11月17日
追加日:2015年8月10日
≪全文≫
 さらに、「あの当時、相手側が何をしたのか」をきちんと書かないと、「戦争をしたがる日本人がどんどん堕落して馬鹿な戦争を始め、彼らのせいで罪なき日本人が戦地で無残な死を遂げ、空襲で焼かれ、ついには原爆を落とされて負けた」という一方的な話になってしまう。これは非常に危険なことである。

 その一例として、「満洲事変」のことを考えてみよう。

 東京裁判は、日本の侵略戦争の始まりは満洲事変(昭和6年〈1931〉)だと断定した。

 半藤氏も次のように書いておられる。

〈(前略)強国になった日本を保持し、強くし、より発展させるためにはどうしても朝鮮半島と満州を押さえておかなければならない。未来永劫(みらいえいごう)に。それにはどんどん悪化しつつある状況にどう対応すべきか、問題をどう処理すべきか、これが日本にとっての大使命であり、昭和の日本人がもっとも解決を急(いそ)がされる命題としてつきつけられた。ここから昭和がはじまるのです。

 昭和史の諸条件は常に満州問題と絡(から)んで起こります。そして大小の事件の積み重ねの果てに、国の運命を賭とした太平洋戦争があったわけです。とにかくさまざまな要素が複雑に絡んで歴史は進みます。その根底に〝赤い夕陽の満州〟があったことは確かなのです〉

 現在の日本人の中には、このような意見を聞いて心の底から納得する人も多いだろう。「なぜ軍部は満洲などという地を手に入れようとしたのか。そんなところに進出して、ズルズルと戦線を拡大させた馬鹿な軍部エリートのせいで、日本は悲惨な末路を迎えることになったのだ」──そう考えている人も多いはずだ。

 その満洲事変の遠因になったのが張作霖爆殺事件(昭和3年〈1928〉)である。これは関東軍参謀の河本大作大佐を首謀者とする日本陸軍の陰謀だということになっており、歴史を研究している人たちの多くも、いま普通にそう考えている。

 私は平成18年(2006)に出版した『東條英機 歴史の証言』(祥伝社)で、同事件について検証したことがある。

 田中義一首相は当初、容疑者を軍法会議で処罰すると上奏したが、陸軍の反対で果たせず、事件をうやむやのうちに処理しようとした。それに怒った昭和天皇は田中首相を叱責し、田中内閣は総辞職した。田中首相は昔気質の元軍人で、天皇陛下の信任を失ったことを気に病み、悶死したともいわ...

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