本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
マッカーサーは全て知っていた~朝鮮戦争と東京裁判~
本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命(11)身をもって体験した「赤化の危険」
渡部昇一(上智大学名誉教授)
朝鮮戦争が始まると、マッカーサーは国連軍最高司令官に任命された。しかし、国連軍司令部からの指示が徹底さを欠いたため、マッカーサー率いる連合軍は大きな損害を被った。マッカーサー自身、北朝鮮やシナ人民解放軍の攻撃に直面して、東京裁判で日本側が口々に証言した「アジア赤化の危険」を、身をもって体験することとなった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第七章・第11回。
時間:6分29秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月24日
≪全文≫
 私はずっと、マッカーサーが議会でなぜあんな証言をしたのか不思議に思い、いろいろと調べてみたのだが、それは彼が朝鮮戦争で勝たせてもらえなかったことが非常に大きいと思う。

 われわれの常識からいっても、戦争末期に日本にやってきたアメリカの勢力はとてつもない規模だった。沖縄上陸作戦に参加した米軍艦艇は約1500隻で、空母だけでも40隻を超えていた。そこまで強大なアメリカ軍を中心とする国連軍が、毛沢東の人海戦術ごときに負けるはずがないのだ。

 朝鮮戦争が始まると、マッカーサーは在日連合国最高司令官のまま国連軍最高司令官に任命された。マッカーサーはアメリカ軍司令官ではなく、一応、国連軍最高司令官という肩書きだったが、最初東京に置かれ、のちにソウルに移された国連軍司令部からの指示が、どういうわけか徹底さを欠いていた。東シナ海の港の封鎖や、橋の破壊など許可されなかったという。そうなると、いくらアメリカ兵が良い装備を持とうが、優位性が失われてしまう。かたや兵隊はいくら死んでも構わないという、人海戦術で怒濤のごとく押し寄せる毛沢東軍の猛攻で、マッカーサー率いる連合軍は大きな損害を被った。マッカーサーには、そうした仕打ちに反発する感情があったのではないかと思う。

 事実、マッカーサーはトルーマンと意見が合わず、シナの人民義勇軍の参戦で押し戻された戦線を立て直すため、原爆の使用を主張して解任されている。そこで彼は、議会では本当のことを話してやろうと考えたのではないかと私は思うが、これはあくまで想像だ。

 もう一つ、マッカーサーは東京裁判の一部始終を見て、日本が一方的に悪かったのではないことを身に沁みて感じていたはずだ。

 東京裁判でも、最初は〝悪魔のごとき〟日本人の弁護など御免被ると、アメリカ人で日本側被告の弁護人を務めようとした者はほとんどいなかった。指名されても辞退する人もいた。極東国際軍事法廷を一応の裁判の形式で進めるために、無理矢理に弁護人を引き受けさせられたわけだが、裁判が始まるや、アメリカ人弁護人たちは真実を追及してあの戦争の実相を知り、誠心誠意弁護に努め、文字通り完全燃焼したのである。そういう人たちの姿を、マッカーサーも見ていたはずだ。

 それでも一応のケリをつけるために、A級戦犯七人の死刑は認めた。ところがパル判事は被告人の全員無罪を主張し、ベル...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
デカルトの感情論に学ぶ(2)感情をコントロールするには
恐怖をなくす方法と感情のコントロール…デカルトの考え方
津崎良典
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ