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さらにいえば、日本の外交官でも、民間の海外駐在員でも、この証言を世界に広めてもらいたいものである。こんなに重要なことを、いまのアメリカの政治家や外交官は知らないし、学校でも教えるわけもなく、勉強するはずもない。外交官の場合、外交ルートを通じて公の場でこのようなことばかりをいうのは角が立つ場合が多いが、プライベートな範囲でいろいろな人に会えるだろう。ぜひこのマッカーサー証言から始めてもらいたい。マッカーサー証言は「歴史戦争」に勝つ鍵であり、そこから日本の弁明は始まらなければならないのだ。
ところがいま、海外でうっかり順序を間違えて「日本の大東亜戦争は自存自衛のための戦争だった」と表明すると、すぐに修正主義者を意味する「リビジョニスト(revisionist)」といわれかねない。英語圏で「リビジョニストだ」といわれると、人種差別的な意味も含めて強硬なナショナリストだという、非常に悪いイメージで見られてしまうから、たじろぐ人も多いだろう。
リビジョニストという言葉は、19世紀後半頃のイギリスで、教会の儀式をどうするかといった議論の中で使われた。その古い言葉が再び流行り始めたのは、1900年頃にドイツの社会主義者ベルンシュタインなどに対して、マルクス主義の用語として修正主義者なる批判が使われるようになったことによる。日本でも1960年代に、モスクワと北京が出した統一見解に日本共産党が反対し、修正主義者として批判されている。リビジョニストはいつも批判される側なのである。
第一次世界大戦後のアメリカでもリビジョニストという言葉が使われていた。第一次世界大戦にアメリカが参戦する際、参戦の理由がいろいろ掲げられたが、国民にはあまり理解されなかった。それでいてアメリカは同大戦で多数の死傷者を出したので、戦後になって「これはおかしい」という声が出てきたのである。敗戦国のドイツだけが悪いのではない、フランスのレイモン・ポアンカレ大統領も悪かったというように、プラスでもマイナスでもなく、歴史をきちんと見直そうという人たちをリビジョニストといったのだ。
ところが、そういう歴史見直し主義が一定の支持を得始めた頃に、ナチス・ドイツが台頭してきたため、歴史の見直しが誤ってナチス擁護と取られるようになってしまった。そのため、いまでもリビジョニズム(修正主義)といえば、ナ...


