本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
東京か? ワシントンか? 青天の霹靂だからか? 怠慢なのか?
本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命(2)宣戦布告遅延の責任はどこにあるのか
渡部昇一(上智大学名誉教授)
昭和16年、御前会議で対米開戦が裁可された後、条件付き開戦宣言を含む「帝国政府の対米通牒覚書(案)」が起案されていが、数日後には宣戦布告の部分が意図的に削除されてしまっていた。内容変更の背景には、軍部の大きな圧力があった。海軍側は、奇襲攻撃を成功させるために、開戦の通知をギリギリまで遅くせよ、と外務省に強硬に迫っていたという。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第七章・第2回。※本項には該当映像がありません。
時間:9秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月21日
≪全文≫
 もちろん、このような私の「極論」には異論も出される。

 たとえば、国際法ではきちんと戦闘行為に入る意志を表明しなければいけないと書いてあるのに、あのときの日本政府の最後通告には、対米交渉を打ち切るという文言はあっても、宣戦布告が明記されておらず、本来の意味での開戦通告になっていなかったという意見がある。

 実は、昭和16年(1941)12月1日の御前会議で対米開戦が裁可された2日後の12月3日に、条件付き開戦宣言を含む「帝国政府の対米通牒覚書(案)」が起案されていた。ところが、五日付案になると宣戦布告の部分が意図的に削除されてしまっていたというのである。

 こうした、たび重なる対米通牒覚書の内容変更の背景には、軍部の大きな圧力があった。海軍側は、奇襲攻撃を成功させるために、開戦の通知をギリギリまで遅くせよ、と外務省に強硬に迫っている。外務省からすれば「それさえなければ」ということだ、という主張である。

 また、当時駐米日本大使館にいた井口貞夫参事官の息子さんの井口武夫氏が、パール・ハーバーは駐米大使館員たちにとって青天の霹靂だったと戦後に話しているという。つまり当時は日本軍によるハワイ空襲など、とても考えられないような状態で、そこにいきなり長文の電報が送られてきて、翻訳やタイプに手間取ったという背景があるというのである。

 この話を受けて、出先の駐米日本大使館よりむしろ、東京の本省の責任が主だったのではないか、とする主張もある。だいいち、宣戦を布告するなら日本の外相が東京の在日アメリカ大使を呼びつけて開戦を通告すれば、法的には何の問題もなかったではないか、というのである。それはまさに、昭和20年8月9日のソ連対日参戦の際、モロトフ外相がモスクワで佐藤尚武大使に対日宣戦布告を行なったのと同じ方法だ。

 してみると、本来は東京の外務省本省の責任が「主」であったにもかかわらず、その罪を駐米日本大使館に押し付け、そのために責任をかぶるかたちになった大使館員たちは気の毒なので出世させたのではないか、という推論になる。

 私には、その背後の事情はよくわからない。ただ、私自身は、当時のことを知る外交官に、ワシントンの日本大使館のそのときの状況を聞いて、確認はしている。そもそも、前日に送別会をやったために間に合わなくなり、「何時に渡せ」といわれている命令...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
これから必要な人材と人材教育とは?(3)無謬性とジョブローテーション
もうゼネラリストを育てる人事制度では時代に対応できない
柳川範之
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
プロジェクトマネジメントの基本(9)リーダーシップとモチベーション
マズローの欲求階層説を発展させたアルダーファの理論とは
大塚有希子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司