本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
各国で翻訳! 谷崎の名著が当時を語る動かぬ証拠
本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命(17)英訳『細雪』がシナ事変を伝えてくれる
渡部昇一(上智大学名誉教授)
谷崎潤一郎の『細雪』が“The Makioka Sisters”というタイトルで各国語に翻訳されている。『細雪』はシナ事変の頃が舞台の作品である。こういう作品を英語で読むことができるのは重要で、書かれた当時の模様がまさに動かぬ証拠になる。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第七章・第17回。
時間:9分42秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月24日
≪全文≫
 私の専門は英語学だが、日本の政治学者や経済学者、歴史学者は何をやっているのか、という思いがある。私は自分の専門分野ではないことで、こうした発言をしているのだ。

 そもそも日本の戦後における政治学は、敗戦利得者の政治学者たちによって築かれた。日本のことを本当に考えていた学者たちが、公職追放に遭ってしまったからだ。作家の山本夏彦氏によれば、その公職追放令の穴を埋めたのは、本来なら「曳かれ者」である人たちだった。だから、いまの政治学や経済学、歴史学といった、本来なら日本のために弁明を行なうべき学者たちは、その多くが敗戦利得者であり、けっして日本の弁護はしない。敗戦利得者たちは、日本の敗戦によって地位を得、収入を得ていたわけだから、戦前の日本の良さとか言い分を絶対に認めるはずがないのだ。

 たとえば東大は秀才が非常に多いが、残念ながら、そこで日本を弁護するような発言をしている人は、政治、経済、歴史関連の学部ではなく、英文科や独文科といった文学畑出身の先生である。その理由は非常に簡単で、ドイツ文学や英文学などの先生たちは、ほぼ公職追放に遭っていないからだ。ただそれだけの理由である。

 先にも述べた通り、かつてある講演で「どうぞ皆さん、若し私の申したることが御解りになつたならば、日本の理想を生かす為めに、一先づ此の国を葬つて下さい」と述べた東大の矢内原忠雄元総長のような人物が戦後大手を振って活躍し、戦後の言論空間が形成されてきた。だからこそいま、国が本気になって、日本の弁護をしたり、日本語を英語に翻訳する人材を育てなければ駄目なのである。

 非常に残念ではあるが、こういうことはむしろ、シナや韓国のほうが金に糸目をつけずに大々的にやっている。

 繰り返しになるが、いま外国人は日本の本を非常に読みたがっている。だから専門的なものだけでなく、もっと基本的な本を英訳するのもいいだろう。

 たとえば私は、谷崎潤一郎の『細雪』が“The Makioka Sisters”というタイトルで各国語に翻訳されていることに感謝したい。

 『細雪』は、「こいさん、頼むわ」という書き出しで始まる、シナ事変の頃が舞台の作品である。東京裁判史観によれば、シナ事変の頃といえば、日本は軍国主義に染まった真っ暗な時代であるはずだ。ところが、この作品の中には、当時の関西のお嬢さんたちの姿が連綿として描かれてい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎