本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「裁判」か「判決」か~問題はソクラテス裁判以来の話~
本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命(14)東京裁判史観が崩れるとき
渡部昇一(上智大学名誉教授)
外務官僚たちは「日本は東京裁判を受諾した以上、謝罪し続けなければならない」や「中国には何をいわれても仕方がない」という趣旨の発言をしているが、こうした誤った東京裁判史観が、どれだけ日本の名誉を傷つけてきたことか。朝日新聞の一連の「誤報」のように、そのうち東京裁判史観も崩れるのではないか。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第七章・第14回。
時間:5分00秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月24日
≪全文≫
 ちなみに、「裁判」を受諾するのか「判決」を受諾するのかという問題は、ソクラテス裁判以来の話である。

 ソクラテスはアテネの裁判で、青年たちを堕落させた罪を問われて死刑になり、収監された。脱獄を勧められたソクラテスは、裁判は受け入れ難いが、判決を受け入れなければ法治国家は成り立たないといい、刑死を選んだ。つまりあの時代に、ソクラテスは裁判と判決をはっきり区別していたのである。

 現代でも戸塚ヨットスクールの戸塚宏氏は、生徒が死んだとき、暴行致死でその親に訴えられ有罪にされた。しかし入獄中の戸塚氏は模範的だったので何度も刑期短縮の提案をなされたが、戸塚氏はすべて断り満期を務めて出所した。それは刑期短縮のためには「暴行致死させた」ことを認めなければならない。戸塚氏は業務上過失致死なら認めるが、暴行致死という「裁判」は認めなかった。しかし「判決」には法治国家の人間として従ったのである。ソクラテスのように。

 こうした区別を、日本政府がつけられないというのは、どういうことであろうか。外務官僚たちが、「日本は東京裁判を受諾した以上、謝罪し続けなければならない」とか「中国には何をいわれても仕方がない」という趣旨の発言をしているのを、私自身も直接聞いている。

 こうした誤った解釈が、どれだけ日本の名誉を傷つけてきたことか。シナをあのように図に乗らせ、「世界第二の経済大国」になってからもなお、ODA(政府開発援助)を提供し続けてきた根拠は、外務省のこうした誤った「東京裁判史観」にあるというほかはない。

 だが私は、朝日新聞の一連の「誤報」のように、そのうち東京裁判史観も崩れるのではないかと思っている。

 私はもう40年も朝日新聞社と論争を続けてきたが、同社はまるで「岩壁」のようだった。こちらが明らかに勝ってもまったく動じない。それでも金槌で叩き続けていれば、そのうちに崩れるときが来るのではないかと思い、40年間、その「岩壁」を叩き続けてきたのである。

 すると最近、意外なところから「岩壁」の崩落が始まった。その発端になったのが、福島第一原発の吉田昌郎元所長が残した「吉田調書」に関する誤報事件であった。次いで朝日新聞は、慰安婦を強制連行したと主張する吉田清治氏の証言、いわゆる「吉田証言」は虚偽だったとして、関連記事16本を取り消さざるをえなくなった。

 外...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓