本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
重光葵がいなければ、戦後は英語が公用語になっていた?
本当のことがわかる昭和史《7》歴史を愛する日本人の崇高な使命(12)国連で喝采されたA級戦犯
渡部昇一(上智大学名誉教授)
東京裁判でA級戦犯として起訴され、禁錮七年の有罪判決を受けた重光葵は復帰後、第一次鳩山内閣の外務大臣兼副総理を務めている。重光は、昭和31年の国連総会で、日本が国際連合への加盟を全会一致で認められた際、演説を行なっているが、その演説を聴いた出席者たちは、万雷の拍手を惜しまなかった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第七章・第12回。
時間:4分20秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月24日
≪全文≫
 話が前後するが、そのマッカーサー証言から半年も経たないうちにサンフランシスコ平和条約が調印され、日本は主権を回復し国際社会に復帰した。

 当初、アメリカ軍は日本を数十年は占領するだろうといわれていたから、対日講和条約がいつ結ばれるのかについては皆目見当がつかなかった。ところが、朝鮮戦争が引き金になって、連合国と日本は講和に向けて大きく動き出したのである。

 よくいわれるように、サンフランシスコ平和条約に日本を非難する言葉は入ってない。シナや朝鮮などにおける権益を放棄するという条項はあるが、日本を責めてはいない。

 しかも前文に、日本と連合国との関係を、「公共の福祉を増進し、世界の平和と安全を維持するために対等な主権を有し、友好的な連携のもとに協力する」ものとすると記されているように、サンフランシスコ平和条約は本当の意味での講和条約なのである。

 同条約の第一条で「日本と各連合国との間の戦争状態は(中略)この条約が日本と当該連合国との間で効力を生じる日に終了する」と定められている。その意義深いサンフランシスコ平和条約を無視し、日本人がいまだに東京裁判にとらわれていることに、私は大きな疑問を禁じえないのである。

 日本がいまだに「A級戦犯」を忌避し、海外から糾弾されてたじろぐのは、単に無知だからだとしか思えない。

 たとえば、A級戦犯・重光葵(前章で見た大東亜会議を推進した外相)をどう考えるか。

 彼は東京裁判でA級戦犯として起訴され、禁錮七年の有罪判決を受けたが復帰し、第一次鳩山内閣(昭和29年〈1954〉12月10日~30年〈1955〉3月19日)の外務大臣兼副総理を務めている。昭和31年(1956)12月18日の国連総会で、日本が国際連合への加盟を全会一致で認められた際、重光葵外相は加盟受諾演説を行ない、こう述べている。

 「わが国の今日の政治、経済、文化の実質は、過去一世紀にわたる欧米及びアジア両文明の融合の産物であつて、日本はある意味において東西のかけ橋となり得るのであります。このような地位にある日本は、その大きな責任を充分自覚しておるのであります」

 重光外相の演説を聴いた国連総会の出席者たちは、万雷の拍手を惜しまなかった。

 そして彼は「これで私は日本国に尽くせるだけのことをした」と言い残し、その翌月の1月26日にこの世を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄