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「住みたい街1位」吉祥寺に代わる人気の街とは?
この10年ほど、東京都武蔵野市の吉祥寺と言えば、「住みたい街ランキング」の首位を走ってきたというイメージがあります。ところが昨年、住宅情報誌「SUUMO」を運営するリクルートが毎年実施している「住みたい街ランキング」で、恵比寿に1位の座を明け渡しました。
2017年のランキングでは再び1位にかえり咲いたものの、その他の大手不動産会社が行うランキングでも少しずつその順位を下げつつあります。なかにはトップ10の圏外に落ちることも……。
なぜ吉祥寺離れは進んでいるのでしょう? 吉祥寺のかわりにどんな街に人気が集まっているのでしょうか?
人気の高さが如実に表れるのが地価や、マンション・アパートなどの賃料です。それまでは、より都心に近い隣駅の西荻窪や、同じくターミナルとなっている荻窪駅などと比べ、吉祥寺周辺のマンションなどの賃料は平均的な水準にありました。ところが、このランキングの上位に顔を見せるようになってから、周辺の駅でも最高値を記録するようになったのです。しかし、それを物ともせず、多くの人が吉祥寺を「住みたい街」に推したのは、それだけ住環境が魅力的だったからでしょう。
そんな吉祥寺に対して、ここ数年で注目されている街がいくつも登場して来ています。まず、2016年のリクルートのランキングではじめて1位となった恵比寿です。地価や物価の高い街ではありますが、山手線、日比谷線、埼京線などさまざまな路線にアクセスができ、収入の高い層にとっては都心にいながら、整った住環境のなかで質の高い生活のできる街といえます。
大手不動産情報サイト「HOME’S」が発表した今年の首都圏版「住みたい街ランキング」では、何と池袋が1位に! 「治安の悪い街」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、2014年に人口減少が止まらず「消滅可能都市」とされてしまった豊島区は、「女性にやさしい」を掲げてイメージ向上をはかったのです。住環境や駅前などの街の整備を進め、街全体を明るいイメージに塗り替えつつあります。見事躍進をとげた街と言えるでしょう。
こうした都市開発が積極的に行われている街は人が集まる傾向にあり、都内であれば品川や中目黒なども、都市開発によって人気をあげています。また、これまで人口が少なかった千代田区などの中心部にも人が戻ってきています。子育て支援の充実など、地価が高い分暮らしのサポートが手厚いのが魅力的で、あらゆる場所へのアクセスが可能という魅力もあります。
いずれもベッドタウンとして整備され、都心へのアクセスが容易という点があげられます。またファミリー層に好まれる理由としては、千代田区と同様に子育て支援が手厚いというところです。東京一極集中から、近郊の住みやすく、子育てをしやすいソフト面の充実した街への興味関心も高まっているのです。
昨年、『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』というマンガがドラマ化されました。吉祥寺にある不動産業を営む双子が、他の街の魅力を紹介するという内容の物語です。それぞれの街に利点や魅力があり、行政も人を呼び込もう戦略を練っています。
それぞれの家庭や人の価値観によって、合う都市も大きく異なる現代。ランキングの変動や、東京郊外の人気の高まりなどは、住む場所の選択肢が増え、それぞれの人が自分に合った土地を選んだ結果なのかもしれません。
2017年のランキングでは再び1位にかえり咲いたものの、その他の大手不動産会社が行うランキングでも少しずつその順位を下げつつあります。なかにはトップ10の圏外に落ちることも……。
なぜ吉祥寺離れは進んでいるのでしょう? 吉祥寺のかわりにどんな街に人気が集まっているのでしょうか?
2000年代後半からはじまった吉祥寺人気
吉祥寺が住みたい街ランキングで首位を獲得したのは2008年のことです。おしゃれなお店が多く、商業施設も駅周辺に複数集まっているため暮らしには困りません。チェーン店だけでなく、個人営業の隠れた名店や雰囲気のよい喫茶店などもあり、豊かな自然が魅力の井の頭公園も人気です。JR線と京王井の頭のターミナル駅ということから、利便性の高さも注目されました。人気の高さが如実に表れるのが地価や、マンション・アパートなどの賃料です。それまでは、より都心に近い隣駅の西荻窪や、同じくターミナルとなっている荻窪駅などと比べ、吉祥寺周辺のマンションなどの賃料は平均的な水準にありました。ところが、このランキングの上位に顔を見せるようになってから、周辺の駅でも最高値を記録するようになったのです。しかし、それを物ともせず、多くの人が吉祥寺を「住みたい街」に推したのは、それだけ住環境が魅力的だったからでしょう。
吉祥寺に代わる人気の街は?
とはいえ、まだまだ人気のある吉祥寺ですが、少しずつ陰りが見えて来ています。 その後も地価の価格は現在も上がり続け、現在は新築マンションもファミリータイプで7000万円が相場という世界。比較的安価な賃料で探してみると、駅から徒歩20~30分ほど離れなくてはなりません。また、街そのものが観光地としても人気のため、休日は人であふれかえるという環境も、「住むよりも遊びに行く」という感覚を強めています。そんな吉祥寺に対して、ここ数年で注目されている街がいくつも登場して来ています。まず、2016年のリクルートのランキングではじめて1位となった恵比寿です。地価や物価の高い街ではありますが、山手線、日比谷線、埼京線などさまざまな路線にアクセスができ、収入の高い層にとっては都心にいながら、整った住環境のなかで質の高い生活のできる街といえます。
大手不動産情報サイト「HOME’S」が発表した今年の首都圏版「住みたい街ランキング」では、何と池袋が1位に! 「治安の悪い街」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、2014年に人口減少が止まらず「消滅可能都市」とされてしまった豊島区は、「女性にやさしい」を掲げてイメージ向上をはかったのです。住環境や駅前などの街の整備を進め、街全体を明るいイメージに塗り替えつつあります。見事躍進をとげた街と言えるでしょう。
こうした都市開発が積極的に行われている街は人が集まる傾向にあり、都内であれば品川や中目黒なども、都市開発によって人気をあげています。また、これまで人口が少なかった千代田区などの中心部にも人が戻ってきています。子育て支援の充実など、地価が高い分暮らしのサポートが手厚いのが魅力的で、あらゆる場所へのアクセスが可能という魅力もあります。
東京から離れ、千葉や神奈川の都市にも人気が
都内だけにとどまらず、東京近郊の千葉や神奈川の都市にも注目が集まっています。千葉方面であれば柏や流山、津田沼などが人気が高い傾向にあり、神奈川では横浜、武蔵小杉、戸塚、町田なども人気の街です。いずれもベッドタウンとして整備され、都心へのアクセスが容易という点があげられます。またファミリー層に好まれる理由としては、千代田区と同様に子育て支援が手厚いというところです。東京一極集中から、近郊の住みやすく、子育てをしやすいソフト面の充実した街への興味関心も高まっているのです。
昨年、『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』というマンガがドラマ化されました。吉祥寺にある不動産業を営む双子が、他の街の魅力を紹介するという内容の物語です。それぞれの街に利点や魅力があり、行政も人を呼び込もう戦略を練っています。
それぞれの家庭や人の価値観によって、合う都市も大きく異なる現代。ランキングの変動や、東京郊外の人気の高まりなどは、住む場所の選択肢が増え、それぞれの人が自分に合った土地を選んだ結果なのかもしれません。
<参考サイト>
・「住みたい街」ランキングで吉祥寺が首位陥落した理由 「家を買いたい」街の1位はどこ?
https://zuuonline.com/archives/139745
・関東 住みたい街ランキング2017
https://suumo.jp/edit/sumi_machi/2017/kanto/
・2017年首都圏版「買って住みたい街」「借りて住みたい街」ランキング
https://www.homes.co.jp/cont/town/town_00111/
・「住みたい街」ランキングで吉祥寺が首位陥落した理由 「家を買いたい」街の1位はどこ?
https://zuuonline.com/archives/139745
・関東 住みたい街ランキング2017
https://suumo.jp/edit/sumi_machi/2017/kanto/
・2017年首都圏版「買って住みたい街」「借りて住みたい街」ランキング
https://www.homes.co.jp/cont/town/town_00111/
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