テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.10.26

35歳が分かれ道?仕事が嫌になる年齢とは?

 あなたは仕事が好きですか? 嫌いですか?

 イギリスの人材関連企業ロバート・ハーフがイギリス人2,000人に行った調査で、「35歳以上の人たちは35歳以下の若い人たちよりも仕事で不幸と感じている傾向がある」という結果が出たそうです。その調査によると、35歳以上の人は6人に1人が「仕事で不幸」と感じており、これは35歳以下に比べると約2倍の数になるとのこと。主な理由は年齢が高くなるにつれて責任が重くなり、ストレスが増えること。また、家庭を持つことで収入に対するプレッシャーを抱えることなどが挙げられています。

30代は自分の意識も働く環境も変わってくる

 細かく見ていくと、たとえば20代の頃は輝く未来に向かって意気揚々と夢中で仕事に取り組んでいた人も、年齢と経験を重ねるにつれ、仕事にマンネリを覚えてしまうことが多いようです。また、30代は結婚や子どもが生まれるといったライフイベントが起きやすい時期。仕事を第一優先にしてきた人も、それ以上に大切なものや生きがいを見つけることで、「出世しなくても家族を養えればいいや」「仕事はそこそこにプライベート優先で」と向き合い方が変わることも。職場での環境や人間関係の変化も考え方に影響するということです。

 会社勤めをしている知り合いの女性Bさん(40歳)に、35歳から現在の仕事に対する考え方に変化があったかどうか聞いてみました。すると、「すごくありました。役職がついているわけではないけれど、後輩が増えて自分が年齢もキャリアも上になってくるといろいろ気がついてしまって。35歳から38歳ぐらいのときは特に、役職がなくても責任感からつい先回りして動いたり、フォローしたりすることが増えました。かといって誰も評価してくれないし、自分ばかりが損しているような気持ちになって、悶々としていました」とストレスを感じていたと話してくれました。今は「40歳になって、自己犠牲じゃないけれど、そういう役回りなのかなと受け止めて働けるようになりました」と、気持ちを割り切っているそうです。

転職を「する」「しない」で関わってくる?

 30代後半は仕事とプライベートのバランスを考え始める時期と先ほどいいました。執筆業を仕事にしている知り合いの女性Bさんに聞くと、「転職の度に仕事の内容とお給料などのステージが上がっていくので、楽しくて夢中で仕事していたらいつの間にか38歳になっていた」と笑っていました。しかし、この年齢になるとマンネリを感じはじめ、「このまま仕事ばかりの生活をしていていいのか…」とワーク・ライフ・バランスを考え始めたといいます。彼女は、40歳を迎える直前に思い切って仕事中心の生活を離れ、マイペースに仕事ができるフリーランスの道を選びました。フリーランスという道があったのは専門職の特権かもしれませんが、経済的には不安定。それでも自分らしく生きる道を選んだ彼女は、今は新しい世界に刺激を受けながら生き生きと仕事をしています。

 ほかの知り合いにこの話題について意見を求めると、「仕事への考え方が変わるのはもっと早いのでは」という反応も。これには「転職経験組」と転職をしたことがない「転職ゼロ組」の違いもあるような気がします。不満があっても転職できない、あるいは転職する気がない人は「しょせん仕事なんてこんなもん」と若いうちから割り切って仕事をしているからです。しかし、この達観が不幸かというと、そうでもありません。

 転職する、しないにかかわらず、働き方は人それぞれ。価値観も違いますが、「イヤだから仕事はしない」と言える恵まれた立場にいる人はそう多くはいないはず。楽しくなくたって辛くたって、仕事をしないと生きていけないからこそ、個人的には、職場の仲間といがみあったり足を引っ張りあったりしないで、「今日も頑張って働いて、自分たちエライよね」とお互いを刺激しあいながら、気持ち良く働ける環境が増えることを願っています。

<参考サイト>
・Robert Half:Research finds the age of discontent at work starts at just 35
https://www.roberthalf.co.uk/press/research-finds-age-discontent-work-starts-just-35
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

国家は助けてくれない…「三田会」誕生への大きな経験

国家は助けてくれない…「三田会」誕生への大きな経験

独立と在野を支える中間団体(6)慶應義塾大学「三田会」の起源

中間集団として象徴的な存在である慶應義塾大学「三田会」について考える今回。三田会は単に同窓会組織として存在しているわけではなく、「公」に頼れない場合に重要な役割を果たすものだった。その三田会の起源について解説す...
収録日:2024/06/08
追加日:2024/11/22
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授
2

日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化

日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化

日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化

大転換期の真っ只中にいるわれわれにとって、日本の特性を強みとして生かしていくために忘れてはいけないことが二つある。一つは日本が森林山岳海洋島国国家であるというその地理的特性。もう一つは、日本文化の根源としての縄...
収録日:2020/02/05
追加日:2020/09/16
田口佳史
東洋思想研究家
3

謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像

謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像

日本語と英語で味わう『源氏物語』(1)紫式部の人物像と女房文学

日本を代表する古典文学『源氏物語』と、その著者である紫式部は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の放映をきっかけに注目が集まっている。紫式部の名前は誰もが知っているが、実はその半生や人となりには謎が多い。いったいどのよ...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/14
4

次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂

次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂

今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点

猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
神藏孝之
公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事
5

国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題

国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題

教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担

人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19
森田朗
一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事