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DATE/ 2017.10.28

急増する「定期購入トラブル」とは?

 インターネットでの買い物もすっかり身近になって、最近では日用品もネット通販で取り寄せている人も多いのではないでしょうか。スマホでワンクリック、時間も場所も選ばず簡単なネットショッピングですが、そのお手軽さの陰でトラブルも急増しています。

 情報伝達の早いインターネット時代では悪質な商売の手口も素早く変化しています。SNSやメールをチェックしていると大きな文字で飛び込んでくる「今ならお試し価格500円!」「無料トライアル実施中!」などと掲げられた健康食品やダイエットサプリの広告……お得そうだし試してみようかなと思われたことのある方は御注意ください。お試しだけではすまないかもしれません。

「お試し価格」は条件付き

「初回のみ」「お試し価格」で1回きりと購入してみたサプリメントやスムージーがなぜかその後も届き、クレジットカードの利用明細をみればしっかり定価で支払われてしまっている……いわゆる「定期購入トラブル」はここ数年で26倍と急増しているそうです。

 どうしてこんなことにと、件の商品のホームページを見直してみれば、大きく掲げられた「お試し価格」の陰に、スマートフォンの画面ではとても気づかないような小さく目立たない文字で「定期購入が条件です」の表記。サイトのすみっこに「有料会員に契約する」とチェックがあらかじめふられた状態でセットされていたなんて被害報告も出てきています。

 こんなはずじゃなかったと解約を申し出ようとしても「連絡先が見つからない」「電話がまったくつながらない」「つながっても契約期間が終わらない限り解約に応じないと断られる」「海外の会社で日本語がほとんどおぼつかないスタッフの対応になった」と遅々として進まないうちにまた商品が届いてしまいどんどん代金が加算されてしまう……まさに目も当てられない状況です。

看板に偽りなしだから詐欺とは言えない

 こんなのって詐欺じゃないかと怒りの声をあげたくなりますが、残念ながらどんなに小さくとも「定期購入が条件です」と表記してあれば詐欺罪には問えないそうです。また、通信販売はクーリングオフの範囲外になってしまうので適用されません。

「定期購入トラブル」に陥りやすいのは意外かもしれませんが、インターネットに不慣れな世代ではなく、30代から50代までの女性が圧倒的に多いことが国民生活センターの統計により明らかになっています。これら「定期購入トラブル」の宣伝媒体は、インターネットでの告知が8割を占めています。ネット通販に慣れている世代であればあるほど、「いつものショッピングと同じだろう」と思い、こうした「定期購入トラブル」に巻き込まれるのです。

もしもあなたが巻き込まれてしまったら

 そんな「定期購入トラブル」、巻き込まれないのが一番ですが、もしもの時のための対策を覚えておくことをお勧めします。

・その1:購入前に事前調査をすること
 まずは商品の評判や情報を検索してユーザーの声を確かめてみましょう。被害者の声が出てくることも多々有ります。サクラ広告や偽の口コミなどもありますので情報を選別するのも大事です。

・その2:広告から購入条件や解約方法、連絡先を控えておく
 スマートフォンの画面では小さくて読みづらいかもしれませんが、少額でも契約は契約、念には念を入れてチェックしてください。また、ホームページや広告を削除してしまう業者も居るそうなので、画面のスクリーンショットや印刷したものをとっておくとトラブルになったとき、役に立つかもしれません。

・その3:専門家に相談
 被害にあった時は専門家に相談しましょう。事態が悪化する前に最寄りの消費生活センター、消費者ホットライン 局番なしの188番、または弁護士などに出てきてもらうのが解決への早道です。

 いつの時代も人が集まるところはトラブルの集まるところ、インターネット空間であってもそれは変わらないようです。快適なネットショッピングを続けるためにも、お得な話にはご用心ください。

<参考文献・参考サイト>
・『こうしてあなたはだまされる 詐欺・悪徳商法100の手口』(多田文明著、産経新聞出版)
・『Q&A 詐欺・悪徳商法 相談対応ハンドブック』(村千鶴子著、ぎょうせい)
・国民生活センター:「定期購入が条件」である旨が分かりにくい健康食品の通信販売業者」
http://www.kokusen.go.jp/jirei/data/201609_1.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授